組み込み系エンジニアの仕事内容|活かせるスキルや平均年収は?

IT関連の職種のひとつに「組み込み系エンジニア」というものがあります。開発を行う点では、ほかのエンジニアと共通しますが、開発の対象や求められる知識・スキルが特有で す。どのような仕事内容であり、転職するにはどうすれば良いのか紹介します。

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組み込み系エンジニアの仕事内容やキャリア

まずは、組み込み系エンジニアの仕事内容やキャリアプランについて見てみましょう。

具体的な仕事内容

組み込み系エンジニアは、あらゆる機器を動かすためのシステムを開発するのが主な仕事です。最近の機械は、ほとんどが「マイコン(マイクロコントローラー)」と呼ばれる小さなコンピューターを搭載しており、さまざまな機能を実現しています。

洗濯機であれば、水を入れる、パルセーターを回すためにモーターを動かす、脱水するといった機能です。組み込み系エンジニアは、これらを実現するシステムを開発します。

単にプログラミングをするだけではなく、要件定義から設計、実装、テストに至るまでが、組み込み系エンジニアの担当です。ときには、各部品に至る電子基板など、ハードウェアの開発まで携わる場合もあります。

開発に使用するプログラミング言語は「C言語」が中心です。50年近い歴史があり、ほとんどの機能を実現できるほどの汎用性があります。動作するハードウェアが多いところも、機械を動かすプログラムを開発する上で好都合です。

ほかにも、C言語で開発したプログラムは、ファイルサイズが小さいというメリットがあります。一般的なシステムの開発とは異なり、機械向けではコストを抑えるために処理能力や容量に制限があり、ファイルサイズは小さいほうが望ましいわけです。

C言語以外では、C++やJava、アセンブラなども使われます。組み込み系エンジニアが使う言語については、以下の記事も参考になるでしょう。

組み込み言語の種類|おすすめのOSや勉強方法について紹介

このように、組み込み系エンジニアは、シンプルで短いプログラムを作成し、コストを削減するスキルを求められているのが、ほかのエンジニアとの大きな違いです。

制御開発との違い

組み込み系エンジニアと似ている職種に「制御開発エンジニア」があります。本来、両者は役割が異なりますが、両方を兼ねて開発する場合もあるため、「組み込み系/制御開発」と併記されている求人も少なくありません。

制御開発エンジニアは、機械を制御するための開発を行います。洗濯機を例にすると、電源のON/OFFや水量の調節、脱水を止めるタイミングなど、動作を制御するシステムを開発するのが、制御開発エンジニアの役割です。

制御と動作は同時に必要なので、制御開発エンジニアと組み込み系エンジニアは密接な関係があるといえるでしょう。

同じ制御開発エンジニアでも、電気をコントロールする電気制御や、制御の順番をコントロールするシーケンス制御などに役割分担されている場合もあります。

キャリアプラン

組み込み系エンジニアは、入社すると最初にコーディング(設計に基づいてプログラムコードを記述する作業)やテストを任されます。開発に慣れてくると要件定義や設計まで携わるようになるところは、一般的なシステムエンジニアと同じです。

その後はマネジメントを目指すか、スペシャリストとして究めるという選択肢がありますが、スペシャリストとしてスキルを磨き続けるよりも、マネジメントに軸足を置くほうが一般的です。

まずは機能の一部を担当するリーダーになり、最終的にはプロジェクトのリーダーをまとめるプロジェクトマネージャーになるという流れです。管理職に近付くにつれて、開発の現場からは離れ、プロジェクト管理や人材育成に関する業務が中心になります。

組み込み系エンジニアのスキルや知識

では、組み込み系エンジニアを目指すには、どのようなスキルや知識が必要になるのでしょうか。

必要となるスキル

まずは、C言語のスキルです。C言語を使いこなせれば、多くの開発現場で通用します。まったくの未経験では厳しいでしょう。最低限、大学の授業で学ぶレベルには達しておきたいところです。

先ほど説明したとおり、機械を動かすときのシステムを開発するときは、電子基板の設計まで携わる場合もあります。電子回路やその先にある部品(ハードウェア)の知識があると、シンプルでコンパクトなプログラムを作成しやすくなるでしょう。もちろん、コアとなるマイコンの処理能力やメモリの仕組み、I/Oについても知っておきたいところです。

コミュニケーション能力も非常に重要な要素でしょう。将来、リーダーやプロジェクトマネージャーを目指すのであれば、なおさらです。開発には大勢が参加します。意思の疎通ができていないと、要件どおりのプログラムを作成できません。

コーディングやテストを担当しているときは、リーダーやプロジェクトマネージャーの意図を正確に読み取る必要があります。一方、自分が将来その立場を担う際には、メンバーを的確にディレクションしなければいけません。どちらにしても、普段からのコミュニケーションが大事です。

活かせる資格

組み込み系エンジニアになる上で、資格はそれほど重要ではありません。しかし、関係する資格を保有していれば、実力や理解度の可視化につながり、転職で有利になる可能性もあります。

例えば、「基本情報技術者試験」です。出題範囲は基礎理論からハードウェア、マネジメントに至るまで多岐にわたり、取得していれば組み込み系エンジニアに必要な知識が備わっているという証明になるでしょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。上位資格として「応用情報技術者試験」もあります。

組み込み系システムに関する実力を証明するのであれば、「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」が良いでしょう。設計や構築、ソフトウェアやハードウェアの開発、保守に至るまで出題されます。取得すれば、組み込み系システムの開発をひととおりこなせるだけでなく、メンバーの指導もできるという証明になるでしょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。

組み込み系エンジニアの年収

続いて、組み込み系エンジニアの年収について見てみましょう。

平均年収

タイズ社の調べによると、組み込み系エンジニアの年収は以下のとおりです。

(単位:万円)

大手 中小
20代 450~600 400~550
30代 550~750 500~650
40代 650~900 600~750

※2020年度タイズ経由での決定者・理論年収データ

ほかのエンジニアに比べると、平均年収は総じて高い傾向があります。雇用形態や働き方によって差はありますが、スキルに応じて年収も上がるのが一般的です。

組み込み系エンジニアに向いている人

これから組み込み系エンジニアを目指す場合、どのような人が向いているのでしょうか。

モノづくりが好き

何かを作って動かすのが好きな人は、組み込み系エンジニアに向いています。例えば、学生時代に「ロボコン(ロボット・コンテスト)」に出場した経験があるなら、組み込み系システムを開発する現場でも活かせるでしょう。

同様に、PCを自作した経験や、電子工作などの趣味も、組み込み系システムを開発する現場で活かせます。プログラムのスキルだけでなく、ハードウェアの知識も身についているからです。

協調性がある

先述のとおり、組み込み系システムの開発には大勢が参加するので、チームプレーが多くなります。その過程では別の部門と作業したり、派遣や請負といった立場の違う人と協力したりする機会もあるでしょう。

特にコーディングやテストを担当するときは、相手の気持ちを汲み取れる協調性があると、円滑に開発を進められます。

組み込み系エンジニアの転職事情

最後に、組み込み系エンジニアがどのような理由で、どこへ転職しているのか知っておきましょう。

転職傾向

転職の理由は大きく分けて4つあります。

まずは、ステップアップです。派遣から正社員、部品のメーカーから完成品メーカーといった具合に、従来の環境からステップアップするために転職します。

次に業種の変更です。組み込み系システムの開発を行う業種は、家電や自動車、通信機器、産業機械などがあります。ほかの業種に興味を持って、転職する人も少なくありません。

職場の状況を理由とする場合もあります。例えば、業績悪化によって会社の将来性が低いと感じたときや、パワハラが横行している職場環境から脱却するためなどが挙げられます。

そして、勤務地やワークライフバランスを変えるために転職する組み込み系エンジニアもいます。一般的なエンジニアと同じく、組み込み系エンジニアは残業が多い仕事です。特に納期が近づいているときは、長時間の残業が連続します。

ただし、開発の手法に「アジャイルモデル」を採用しているメーカーであれば、ワークライフバランスを重視する人は決め手のひとつになるでしょう。短いサイクルで要件定義から設計、実装、テストを繰り返すため、万が一問題が発生しても修正がしやすいのがメリットです。しかしコスト面やフローの関係から組み込み業界ではあまりこの手法は採用されていません。

一方、開発の主流である「ウォーターフォールモデル」では、ひとつのプロセスが完了してから先に進むので、後戻りが大変です。特に組み込み系システムを開発するときは、製品が世に出てしまうと修正できないため、正確さが求められます。そうなると、現場にいる限りワークライフバランスを重視するのは難しいでしょう。しかし、中には働き方改革を推進し、ワークライフバランスを重視した会社もあるため、開発手法だけでなく社風や社内制度も大きく影響するといえます。

転職時のアピールポイント

組み込み系エンジニアが転職するときは、指示待ちの働き方よりも、自分から積極的にスキルや知識を身につける働き方をアピールするほうが有利です。さらに、後輩を指導したり、リーダーを務めたりした経験があると良いでしょう。

部品メーカーから本体のメーカーに転職する場合は、部品への豊富な知識が求められます。業種を変えるなら、現職のスキルや知識がどれくらい役に立てるか、アピールするのが望ましいでしょう。

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現職のスキルや知識が、転職先でどれくらい役に立てるか、自力で把握するのは難しいものです。また、社風や社内制度などを求人票から詳しく知ることは困難でしょう。そんなときは、タイズが転職のアドバイスやサポートをいたします。

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社内システムエンジニアへの転職支援実績ですが、以下の記事も参考になります。

「会計知識と開発スキルを活かして、新しいことにチャレンジしたい」株式会社MonotaROのシステム開発に転職成功したストーリー

まとめ

組み込み系エンジニアは、機械を動かすためのシステムを開発するのが主な仕事です。要件定義から設計、実装、テストまで行い、ハードウェアの開発まで携わる場合もあります。転職するにはC言語のスキルが必須の場合が多く、コミュニケーション力や協調性があると良いでしょう。

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

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