国家プロジェクトも始動!「次世代電池」のメリットや市場予測・求人情報について

「次世代電池」のメリットや市場、求人情報について

全世界でガソリン自動車から、電動化自動車への移行が加速している中で、「次世代電池」が今後自動車の電動化を大きく普及させるカギとなります。市場規模は5年で2倍以上、国家プロジェクトも始動するなど、今後ますます注目が集まる中で、次世代電池開発エンジニアの採用ニーズが高まっています。

電動化自動車に搭載されるリチウムイオン電池のメリット

現在、電気自動車(EV)やハイブリッド(HV)、プラグインハイブリッド(PHV)に搭載されている二次電池(バッテリー)は、そのほとんどが「リチウムイオン電池(LiB)」です。これまでは、エンジンの起動やライトの点灯に使われている「鉛蓄電池」が自動車に搭載されていました。EV車にもライトやドアの開閉のために「鉛蓄電池」が搭載されていますが、鉛蓄電池は電極が化学反応を起こすことで充放電を行いますので、その分、電池の劣化が見られます。

これに対してリチウムイオン電池は、電解液の中に電極を浸し、リチウムのイオンが正極から負極へと電解液中を移動して負極に取り込まれることで充電され、逆に負極にたまったリチウムイオンが正極へ移動して放電が行われます。鉛蓄電池と違い、電極が化学反応を起こさないため、充放電を繰り返しても劣化が少なく、長持ちする利点があります。

さらにリチウムイオン電池は、電池の最小単位である1セル当たりから得られる電圧が、現在実用化されているその他の電池の中で、最も高く、大きなパワーを発揮することができるのです。

世界市場は2022年7兆3914億円に達すると予測

リチウムイオン電池は自動車だけでなく、ノートパソコンやスマートフォン、太陽光システム、充電式電動工具、アシスト自転車などでも利用が拡大しています。

調査会社「富士経済」の発表によると、リチウムイオン電池の世界市場は電機自動車用、自然エネルギーなどの電力貯蔵システム用、無停電電源装置用、携帯電話基地局用など様々な分野で需要が拡大し、特に電動化自動車用の市場拡大が加速して、2022年、世界の市場規模は2017年比2.3倍の7兆3914億円に達すると予測しています。(2019年1月発表)さらに世界的な「脱ガソリン」の流れもあり、今後新しい技術開発によって高機能・低価格化が進めば、ますますリチウムイオン電池市場は大きく成長すると考えられます。

注目を集める「全固体電池」とは

リチウムイオン電池の歴史はまだまだ浅く、いくつかの課題を抱えています。電解液は可燃性のため、想定外の大きな負荷がかかって温度が急上昇すると燃える可能性があり、また低温では充放電の効率が落ちてしまいます。つまり温度変化に弱いのです。

そこで、今大きな注目を集めているのが「全固体電池」です。

全固体電池とはリチウムイオン電池の電解液を固体の電解質に置き換えたもので、リチウムイオン電池の一種です。現在は硫化物や酸化物などの無機材料で開発が進められていますが、これらの材料は製造過程で500~1000度に加熱してつくられるので、従来のリチウムイオン電池と違い耐熱性が高く、また、低温でも性能低下の度合いが少ないのです。

さらに、熱に強い固体電池は急速充電による加熱にも耐えることができ、電池セルの正極と負極を交互に積み重ねる構造をしているので、セルの広い面に電流を流すことで、電気抵抗を大幅に減らすことができ、大きな電流が流れた時の発熱そのものを少なくできるのです。熱に強く発熱も少ないため、これまでの電池に比べて同じ容量で、容積を半分~1/3小型化できる可能性があるとも言われているのです。こうした特性から「全固体電池」は大きな注目を集めているのです。

次世代電池の開発に国家プロジェクトも始動!

2018年6月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は全固体リチウムイオン電池の早期実用化を目的とした研究開発プロジェクトを始動。自動車・蓄電池・材料メーカー23社と大学・公的研究機関15法人が連携・強調し、全固体リチウムイオン電池実用化のための要素技術や量産プロセス、電気自動車搭載への適合性評価技術などの開発に乗り出しました。

このプロジェクトでは2030年頃の量産を目指し、現在のリチウムイオン電池に比べて体積エネルギー密度で3倍の600Wh/L、急速充電時間を1/3の10分、コストを1/3の1万円/kWhにすることを目指しています。

しかしながら、全個体電池の実用化への開発はまだまだ始まったばかり。最適な電極材料とは何か、その電極材料は量産化可能か、量産の製造プロセスはどうなるのかといった課題も多いのです。オールジャパンで全個体電池の実用化・量産化に取り組むことで、こうした課題を解決して、ぜひ世界市場での主導権を獲得してほしいと思います。

【中途採用】次世代の電池開発で必要とされるエンジニアとは

まず、電池の開発では、化学や材料に関する知識が必要です。しかし、材料開発だけが電池関連の仕事ではありません。電池を車に搭載するための筐体設計や、セルの温度・充放電をコントロールする制御技術、大量の製品を効率よく作る生産技術・生産装置設計、リチウムイオン電池の汎用性を高めて応用分野を拡大する技術、性能を高めるための評価・検査・計測技術など、電気・電子、機械・メカトロなどの分野で活躍するエンジニアも必要とされています。

エンジニアにとって、次世代電池の開発・量産に携わることは、石油をエネルギーとしてきた時代からバッテリーに蓄えた電気をエネルギーとする、自動車の歴史的な変革期に立ち会える、大きな魅力を感じられる仕事であるともいえます。

興味や関心のある方は、関連求人をご覧になり、検討されてみてはいかがでしょうか?

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タイズマガジン編集部

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