業界トレンド
【世界トップシェア】日本の産業用ロボット市場とエンジニア採用について
日本が世界一の生産量を誇る産業用ロボット。
人口減少・人件費高騰などにより、いま世界中で産業用ロボットによる労働力の需要が増加しています。今後、ますます市場の拡大が予測されるロボット業界で求められる人材とは?関西・メーカー専門の転職エージェントタイズが、産業用ロボット市場の現在と未来、最新の注目ロボットや産業用ロボットに携わる仕事の魅力などをご紹介。動画でも詳しく解説しております。ぜひご覧ください。
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日本のロボット市場の現状と予測 2035年9.7兆円に拡大
日本は現在、人口減少や高齢化社会によって、労働力不足が大きな課題となっています。こうした環境の中で、いま産業用ロボットによる作業自動化が急速に進められています。
日本ロボット工業会の統計によると、2017年の産業用ロボットメーカーの受注額は9447億円で前年比27.8%の増加。米中貿易摩擦の影響を受けた2018年でも9623億円と前年を上回りました。
また、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、産業用の自動化に使われる産業用ロボットと日常生活支援サービスロボットの日本市場の規模が、2015年の1.5兆円から2035年には9.7兆円、5倍以上に拡大すると予測しています。労働力が加速度的に減少していく中、少ない労働力でこれまで以上の生産力を実現するために、産業用ロボットへの期待がますます高まっているのです。
世界のロボット市場の現状と予測 2021年まで年平均14%で成長と予測
産業用ロボットは、人口減少が進む日本だけでなく、人件費が高騰するアジアやヨーロッパなどの世界市場でもニーズが高まっています。国際ロボット連盟(IFR)は、産業用ロボットの世界販売台数が2021年まで年平均約14%で成長する見通しを発表しました。2012年は15万9000台でしたが、そこからはずっと右肩上がりとなり、2017年には倍増して34万6000台、2019年は43万3000台、2020年には52万1000台になるとの見通しを立てています。(2018年10月発表データ)
日本は世界トップの産業用ロボット生産国ですが、IFRの発表によると2017年時点で日本メーカーの産業用ロボットは、世界販売台数の56%を占めたそうです。現在、日本には世界トップクラスのシェアを誇る産業用ロボットメーカー企業も数多くあります。
産業用ロボットの今後
産業用ロボットが一番多く使われているのは自動車産業で、世界総販売数の約30%を占めています。また、それとほぼ拮抗するのが電気・エレクトロニクス産業です。今スマホなどの電気製品のバッテリーやチップ、ディスプレーなどの生産ニーズが高まっており、その中で高速・高精度で極小部品を扱うロボットなどが、大きく販売台数を伸ばしています。
金属産業も産業用ロボットの販売台数がここ数年で倍増し、世界販売台数の約10%を占めるようになりました。特に電気自動車のバッテリーに使用されるレアメタルの生産に産業用ロボットの導入が進んでいます。
今後も世界的な人件費の高騰、日本国内の人口減少などを課題に対応するため、自動車産業や電気・エレクトロニクス産業以外の、食品や医薬品といった他業界にも産業用ロボットの導入が進んでいくと考えられています。さらにAIやIoTなどの情報テクノロジーと組み合わせることで、受注から材料仕入、生産数などをリアルタイムで把握する、ロボットの不具合を検知する、ロボット自身が動作を学習して精度を高めるといったことを実現するための研究が進められています。
トップクラスのシェアを誇る、日本の産業用ロボットメーカー
- 株式会社ダイフク:「マテリアル・ハンドリング」と呼ばれるモノの保管・搬送・仕分けシステムで独メーカーと世界トップシェア・ランキングを争う、世界最大手企業。
- 川崎重工業株式会社:産業用ロボット国産1号機を開発した、ロボットメーカーのパイオニア。産業用ロボットの出荷台数は世界第5位を誇ります。
- パナソニック株式会社:電子部品をプリント基板に配置するチップマウンターで日本45%、世界30%のトップシェア企業。
- ユーシン精機:樹脂射出成形の取出ロボットで世界トップクラスのシェアを獲得。「IoTを使った工場のみえる化」の実現、など革新的な技術と開発力で話題の企業。
今、大きな注目を集めている産業用ロボット
人と一緒に働く「協働ロボット」
これまでの産業用ロボットは、事故を防ぐため、大きな柵で囲み、専用の生産ラインを構築する必要がありました。つまり、人とロボットの作業範囲を分離しなければ導入することはできませんでした。しかし、法律の規制緩和が行われ、80W未満のロボットであれば、安全柵や専用の生産ラインを設置しなくても人との協働が可能になりました。
人の代わりにロボットを導入するので、専用ラインをつくる必要がなく、初期導入コストを抑えることができます。また、導入研修の必要がなく、熟練度による不良が少なくなり、労働効率が低下することがないため生産量を増やすことができます。最近では人と腕のように使える「双腕ロボット」を開発されて、人と同じ作業を高速かつ正確に行うことができるようになっています。
川崎重工業株式会社「双腕スカラロボットduAro」
川崎重工業(株)公式HPより:双腕スカラロボットduAro1
“「双腕スカラロボットduAro」は、小型で異なる仕事を柔軟にこなし、外装はウレタンで柔らかく、力も強すぎず、万が一ぶつかっても衝突検知機能がロボットを停止させて事故を防止するので、人間との協働が可能です。ダイレクトティーチング(人がロボットの先端を手で動かし、その操作経緯をリモコンやコントローラーに記憶させる方法)や、タブレット端末での操作・教示ができるため、ロボットを使用したことがない方でも容易に直感的に操作することができます。”(出典:ロボスタ)
物流業界の課題を解決する「自動搬送ロボット」
ネットショッピングの利用が急速に拡大する中で、大型倉庫でのモノの保管・ピッキング・搬送作業は、構内で荷物を運搬するフォークリフト運転手を始め、多くの働き手が必要となり、人手不足で人件費も増加を続けています。
これまでも物流業界は体力的に厳しい作業が多く、労働力の確保が大きな課題となってきましたが、現在では、人に替わって商品や製品を搬送する自立式搬送ロボットを導入する企業も多くなっています。人が倉庫内で移動する必要はなく、作業を大幅に削減することができます。
株式会社ダイフクの自動化倉庫
“ダイフクはファーストリテイリングと物流自動化の戦略提携し、従来比9割省人化できる層を開発しました。トラックからの積み下ろし、仕分けと倉庫への入庫からピッキング、梱包、配送箱の組立、配送地別の仕分け、空のケースの解体までのほとんどを自動化しました。これまで100人必要だった作業を10人でできるようになる計算で、将来的には100%全自動の実現を目指しています。”
【中途採用】産業用ロボットの開発に求められる技術
産業用ロボットの市場がますます拡大する中、下記のような技術分野の技術を持ったエンジニアへの需要がさらに高まっています。
- ロボット開発エンジニア:マニピュレーター(人の手や腕の代わりに作業する機構・アーム)の設計やロボットコントローラーの設計
- AI技術:ロボットに適用するAI開発
- IoT技術:統計処理データに基づいたデータ分析
- ロボットインストラクター:ロボットの使い方をユーザーに教える
その他、制御設計・回路設計・サービスエンジニア・セールスエンジニア・品質保証・購買・生産技術など、様々な技術・職種が求められています。
産業用ロボットに携わる仕事の魅力・やりがい
日本は世界一のロボット生産国。世界販売台数の約50%を日本メーカーが占める、そんな産業を支えて、さらに進化させる仕事に携わるのはエンジニアとしても大きなやりがいを感じることができるはずです。また、日本メーカーが世界トップシェアを獲得している分野も数多く、最先端のメカトロ技術に触れることができます。協働ロボットはより人の腕の動きに模して作業し、人と共存して作業を行うので、ロボットという言葉のイメージから想像するようなロボットに、より近づいていくという面白さもあります。
近年では産業用ロボットにAIやIoTが搭載され始めており、技術革新が急速に進み、需要・市場も世界中でどんどん大きくなっていく、そんな成長産業で働く醍醐味も味わえます。みなさんもご検討されてみてはいかがでしょうか。