50代での転職は厳しい？その理由と転職を成功させるポイントを解説

一般的に「50代での転職は難しい」といわれていますが、これまで培ってきたスキルや経験を生かすことで転職は十分に可能です。しかし、若い世代に比べて条件面でのハードルが高く、転職には難しさも伴います。

厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、年齢が上がるにつれて転職入職率が下がる傾向があり、50代は全年齢に比べてやや低い結果です。これは、50代の転職難易度が高いことを示唆しています。

引用：厚生労働省｜令和5年雇用動向調査結果の概況

しかし、定年が75歳に引き上げられる流れや企業の慢性的な人手不足などにより、転職市場は拡大傾向です。50代にも多くのチャンスが広がっているので、自身のスキルや経験をフル活用して転職を成功させましょう。

50代での転職が難しいといわれる主な理由は以下の通りです。

• 50代の採用に積極的な企業が少ない
• 定年退職までの期間が短い
• 体力面に不安がある
• 指導面で扱いづらいイメージがある

企業が抱く50代へのイメージを把握して、対策方法を探していきましょう。

50代の採用に積極的な企業が少ない

50代を含めた中高年の採用に対し、積極的な企業は少ない傾向です。

厚生労働省の「中途採用の年齢別の採用方針」によると、「35歳未満の求職者は積極的に採用を強化したい」と考えている企業は40％以上でした。一方で、45〜54歳の採用を強化したい企業は約3％、55歳以上は1％となっています。

このように、企業側は50代の採用にあまり積極的でない現状が見受けられ、転職が難しいと感じる方も少なくありません。年齢の壁を乗り越えるには、自身のスキルと経験をしっかり見直し、転職に対して前向きな姿勢をもち続けましょう。

定年退職までの期間が短い

50代は定年退職までの期間が短く、長期的な活躍が難しいと見なされ、転職のハードルが高くなることがあります。早ければ数年で定年を迎えるため、企業側は採用コストに見合ったメリットを感じにくいでしょう。

企業は即戦力だけでなく、長期的に活躍できる人材を求めています。若い世代よりも働ける期間が短い50代の求職者にとって、できるだけ長く働く意欲があることをしっかりアピールするのが重要です。

体力面に不安がある

50代を過ぎると、体力や気力の衰えを実感することが増え、転職活動でも予想以上の疲労を感じることがあります。企業は体調不良や業務への影響を懸念し、年齢をリスクと見なすことも少なくありません。

50代で転職を目指す際は、健康管理を徹底し、体力に適した働き方ができる企業を選ぶことが大切です。また、若い世代にはない豊富な経験やスキルなど、体力以上に貢献できるような自身の強みをしっかりとアピールしていきましょう。

指導面で扱いづらいイメージがある

50代は人間関係や業務の指導面で扱いにくいイメージがあり、採用に消極的な企業も存在します。若い世代よりも社会人歴が長いため、指示に従えるのか、仕事にこだわりすぎていないかといった懸念を抱かれがちです。

また、50代で転職すると若い上司や同僚がいる可能性が高く、職場への適応力が不安要素と見なされることもあります。扱いづらいイメージを払拭するには、50代でも柔軟で協力的な姿勢を示すことが大切です。協調性やチームワークを重視する姿勢を伝えていきましょう。

50代での転職を成功させる人の主な特徴は、以下の3つです。

• 高い専門性やスキルをもっている
• コミュニケーション能力が高い
• 転職回数が少ない

自身と照らし合わせて、適正があるかどうか判断していきましょう。

高い専門性やスキルをもっている

企業にとって即戦力となる高い専門性やスキルをもつ人は、転職成功の確率が大いに高まります。とくに、企業に関する知識や経験があれば、50代でも採用されやすくなるでしょう。

例えば法務やIT系、技術系の職種の場合は高い専門スキルや経験があれば、転職成功する可能性が高いでしょう。高度な専門性と経験を求める企業も多く、人材不足な職種であるためです。

専門的な知識に加えて、マネジメント能力をアピールするのも効果的です。50代の多くは責任ある業務や管理職の経験があるため、これまでにどれだけの人数を管理してきたか、携わった業務や実績を具体的に伝えていきましょう。

コミュニケーション能力が高い

50代での転職においては、柔軟なコミュニケーション能力が成功のカギです。転職すれば20～30代の若い同僚や上司と業務をこなすことも多く、異なる年齢層とのスムーズな関係ができる人は重宝されます。

基本的に、転職では年齢に関係なく、新しい職場やチームに適応する力が重要です。とくに50代はさまざまな年齢層と信頼関係を築く能力が求められます。柔軟で適切なコミュニケーション能力があれば、転職の成功率を高められるでしょう。

株式会社村田製作所では、採用において周囲とのコミュニケーションや協調性を大切にしています。詳しく知りたい方は、ぜひインタビュー記事をチェックしてみてください。

転職回数が少ない

50代で転職を成功させている人の特徴として、これまでの転職回数が少ないことが挙げられます。社会人歴が長く、転職回数が少ない50代は、長期間ひとつの企業で活躍することを期待されやすくなるでしょう。

一方で転職回数が多い場合は、長期的に勤務できないと判断されることがあり、採用のハードルが上がる可能性があります。複数回転職を経験している場合は、転職理由を前向きに説明し、印象を悪化させないように工夫しましょう。

50代での転職を成功させる主なポイントは、以下の4つです。

• キャリアやスキルを棚卸する
• 企業の規模や働き方にこだわらない
• 前職と同じ業界を選択する
• 新たに資格を取得する

ポイントをしっかり把握して、50代での転職を実現させましょう。

50代での転職活動をスムーズにするための面接対策や、履歴書の書き方については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
転職ガイドライン

キャリアやスキルを棚卸しする

50代での転職を成功させるためには、これまでのキャリアやスキルを棚卸し、自己理解を深めることが重要です。とくに、長いキャリアをもつ50代は自身の経験や価値を再評価し、自己分析をおこなう必要があります。

自身のキャリアやスキルを分析することで自己PRが明確になり、企業選びもスムーズになるでしょう。また、即戦力であることもアピールできるようになるため、体力面や指導面でのマイナスなイメージを払拭できます。

50代ならではの強みを伝えるための自己PR方法については以下の記事で解説しているので、こちらもあわせて確認しておきましょう。
シチュエーションや強み別の例文付き！自己PRの書き方など3ステップで解説

企業の規模や働き方にこだわらない

50代で転職する際は、企業の規模や働き方にこだわりすぎないのも重要です。たとえば、大手企業ではなく中小企業やベンチャー企業を視野に入れたり、正社員だけでなく非正規雇用も検討したりしてみましょう。

これまでの年収や役職にこだわってしまうと、選択肢が狭まり転職が難しくなってしまいます。とくに、ひとつの企業や業界に長く勤めてきた場合、ほかの業界への視野が狭くなりがちです。転職は幅広い視野をもって取り組んでいきましょう。

前職と同じ業界を選択する

50代での転職では、前職と同じ業界に絞ることも有効な選択肢です。とくに、未経験の職種に挑戦する場合はイチから知識を身につける必要があり、企業が指導面で懸念を抱くことも少なくありません。

企業にとって50代の転職者に期待するのは、豊富な経験とスキルによる即戦力です。同じ業界であればこれまでの経験を生かしやすく、新しい職場で活躍できるでしょう。未経験の分野に挑戦したい場合は、これまでのスキルを生かせる職種を検討してみてください。

新たに資格を取得する

スムーズな転職を実現するためには、新たに資格を取得するのもおすすめです。たとえば、以下のような資格があります。

• 宅地建物取引士
• 中小企業診断士
• ファイナンシャルプランナー

業界によっては専門的な資格が必要な職種も多く、必須ではない場合でも資格取得者を求めている企業は少なくありません。資格があれば即戦力として期待され、年齢がネックにならずに転職が実現しやすくなります。

50代で資格を取得することは、キャリアの幅を広げるのに有効です。これまでの経験を生かしたスキルアップや、新たなジャンルへの挑戦として取得してみましょう。

50代での転職で注意する点は、以下の2つです。

• 転職後は年収が下がる場合もある
• 転職活動が長引く可能性がある

注意点をしっかり把握し、計画的に転職活動を進めていきましょう。

転職後は年収が下がる場合もある

50代で転職すると、これまでの年収よりも下がるケースがあります。厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、前職の賃金に比べて以下のような結果が出ています。

• 「増加」した割合は37.2％
• 「減少」した割合は32.4％
• 「変わらない」の割合は28.8％

年収が増加する理由としては、高度な専門スキルや資格、または管理職や役職への就任があげられます。自身の経験を生かせる職場を選べば、年収の増加も期待できるでしょう。

一方、未経験の業界やワークライフバランスを重視した転職によって、年収が下がる場合もあります。しかし、即戦力として採用されれば、現職と同水準の年収を維持できるでしょう。

転職活動が長引く可能性がある

50代での転職では、転職活動が長期化する可能性を覚悟しておきましょう。50代を募集している企業が少なく、求人も限られているためです。

一般的に転職活動は半年程度を要する傾向にありますが、50代の場合はそれ以上の時間がかかることもあります。転職活動をおこなう際は、十分な時間と経済的な余裕を確保しておきましょう。

また、転職活動を焦らずに進めるために、スキルアップや資格取得を並行しておこなうことも有効です。これにより、転職活動中も自分自身の成長を促せるでしょう。

50代での転職には、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントに登録することで、専任のアドバイザーによるサポートを受けられます。

具体的なサポート内容は以下の通りです。

• 50代でも企業の目を引く経歴書の作成方法
• 面接で経験やスキルを効果的にアピールする方法
• 企業研究やスキルの棚卸しのサポート

即戦力が求められ、求人数が限られる50代の転職では、プロのアドバイザーの知見が非常に役立ちます。転職活動が長期化する可能性もあるため、早い段階から転職エージェントを利用していきましょう。

実際にタイズで転職された方は、転職エージェントを活用してスムーズな転職を実現できたと実感しています。詳しい内容を知りたい方は、以下の事例をチェックしてみましょう。

転職エージェントのメリットやデメリットについては、以下の記事で解説しています。転職エージェントを使うか迷っている方は、ぜひこちらも参考にしてください。
転職エージェントは使うな？メリット・デメリットや使うべき人を解説！

50代からの転職は、自身の経験やスキルを整理し、理解しておくことが重要です。若い世代に比べて転職の難易度は高くなるものの、十分な準備をおこなえば50代でも転職を実現できます。

転職を成功させるには、これまでの職種と同職を選ぶほか、転職に役立つ資格を取得するのも効果的です。自分にあった求人が見つからないときや、転職活動がうまくいかないときは、転職エージェントの活用も検討してみてください。

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