業界トレンド
繊維メーカー・業界とは?アパレルとの違いや企業例、主な職種の仕事内容を解説
繊維メーカーが取り扱う繊維は、衣料品だけではなく、航空機や自動車などさまざまなシーンで使われています。
衣食住に欠かせない企業のひとつであり、人や社会に貢献できる仕事をしたい方の中には、繊維メーカーに興味をもっている人がいるのではないでしょうか。
本記事では、繊維メーカーの主な企業や職種別の仕事内容、アパレルとの違いなどを解説します。やりがいや平均年収なども紹介するので、就職・転職を考えている人もぜひ参考にしてみてください。
01. 繊維メーカー・業界とは、アパレルメーカー・業界との違い
繊維メーカー・業界とは
繊維メーカーとは、さまざまな製品に使用される繊維を製造する企業です。繊維の中には、木綿や絹などの天然繊維や、ナイロンやアクリルなどの化学繊維があり、さまざまな繊維の生産によって多くの製品製造に貢献しています。
近年では技術の発展により、繊維は衣料品に限らず、住宅の断熱材から樹脂・フィルムまで多岐に渡る分野で利用されています。化学メーカーに分類される企業が製造しているため、繊維に限らず他分野の製品も取り扱っていることが多いです。
繊維メーカー・業界とアパレルメーカー・業界の違い
繊維メーカーとアパレルメーカーの違いは、以下のとおりです。
取り扱う製品 | 業務の領域 | |
繊維メーカー | 衣料品や産業資材などに使用する繊維 | 繊維素材など原材料の製造と提供 |
アパレルメーカー | 衣料品 | 衣料品の製品化と販売 |
繊維メーカーは、衣料品に使用する繊維だけではなく、産業資材に使われる炭素繊維をはじめとした化学繊維も取り扱っています。繊維の製造はもちろん、研究や開発などにも取り組み、新たな技術や素材の発見を目指しているのが特徴です。
一方、アパレルメーカーは繊維製品の中でも、衣料品に特化した業界です。衣料品の製造や販売、プロモーションなどを行い、消費者にファッションアイテムを届けています。
繊維メーカーとアパレルメーカーはどちらも衣料品にかかわる業界であるため、混同される場合があります。実際には、業務の領域が異なるため、業界を知るうえで違いを理解することが大切です。
02. 繊維メーカー・業界の主な企業一覧
繊維メーカー・業界には、さまざまな企業があります。その中でも、代表的な企業は以下の通りです。
- 東レ株式会社
- 帝人株式会社
- 東洋紡株式会社
- ダイワボウホールディングス株式会社
- 旭化成株式会社
- 小松マテーレ株式会社
- 三菱ケミカルグループ
東レ株式会社は繊維業からはじまった総合化学企業で、業界を代表するメーカーです。炭素繊維の活用を積極的に行い、アメリカの航空会社に向けにも素材を供給しています。
帝人株式会社は東レ株式会社に次ぐ繊維メーカーで、アラミド繊維でシェアを獲得しています。アラミド繊維は、自動車のタイヤや防護服などに使われている素材です。
東洋紡株式会社は、綿や原糸などはもちろん、さまざまな事業を展開しています。技術力の高さが評価されており、機能性の高い繊維を製造している企業です。
その他にも、大和紡績株式会社をはじめとしたグループ会社をもつダイワボウホールディングス株式会社や、衣料ファブリックを得意とする小松マテーレ株式会社など、特徴のあるメーカーが活躍しています。
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- 技術職への深い知見
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03. 繊維メーカー・業界の主な職種と仕事内容
繊維メーカー・業界では、さまざまな職種がそれぞれの役割を果たし、連携しながら製品を生産しています。
繊維メーカー・業界の主な職種は、以下の3つです。
- 研究開発職
- 生産管理
- 営業職
それぞれの仕事内容を理解して、自分にあっているかを考えてみましょう。
研究開発職
繊維メーカーの研究開発職は、繊維の研究や開発に取り組む職種です。新商品の開発に向けて、新たな素材や技術を発見するために研究に従事したり、研究成果の実用化に向けて検証を繰り返したりすることで、製品を製造する土台をつくります。
日本の繊維メーカーは、世界的に技術力が高く評価されています。研究開発は技術力の根幹であり、繊維メーカーの中でも重要な職種といえるでしょう。
研究開発職の仕事内容や向いている人の特徴などは以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
研究開発職とは?仕事内容・向いている人の特徴・転職成功事例を紹介
生産管理
生産管理とは、製品をつくる生産にかかわる業務全般を管理する職種です。品質の高い繊維製品をつくるために、製造工程や各業務をチェックしたり、トラブルが起きたときに解決策を練ったりします。
また、製造を正しくコントロールするために、生産数や納期なども管理します。質の高い製品を計画通りつくるうえで、生産管理は重要な役割をもつ仕事です。
生産管理の仕事内容や向いている人の特徴は以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
生産管理とは?仕事内容や向いている人の特徴、転職を成功させるポイントを解説
営業職
繊維メーカーの営業職は、自社の繊維製品を顧客に提案する職種です。商品の特徴を伝えるだけではなく、顧客にとってのメリットを提案することが重要で、質の高い提案によって売上をつくれます。
新規顧客へのアプローチ以外には、既存顧客との関係維持も重要な仕事です。適宜フォローや提案を行うことで、継続的な取引や新たな契約などを期待できます。
メーカー営業の転職事情は以下の記事で解説しているので、営業職に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
メーカー営業への転職は未経験でもできる?メリット・デメリットや成功させるポイントを解説
04. 繊維メーカー・業界の現状・課題と将来性
繊維メーカー・業界を深く理解するうえで、現状・課題と将来性は知っておくべきポイントです。
現在どのような業界なのか、今後どのような業界になっていくかを知ることで、広い視野で理解を深められるでしょう。
ここでは、繊維メーカー・業界の現状・課題と将来性を詳しく解説します。
繊維業界の現状・課題
経済産業省が発表した「2030年に向けた繊維産業の展望」によると、繊維業界の国内市場は2000年代以降横ばいで推移し、2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大によって落ち込んでいます。ただ、日本化学繊維協会の発表によると、2021年の合成繊維生産量は前年を上回っており、回復傾向が見られているのが現状です。
繊維メーカーを取り巻く環境は近年変化しており、外出自粛などによる衣料品の需要減や 、中国をはじめとした海外輸入増などへの対策が課題となっています。
繊維業界の将来性
繊維メーカー・業界は全体的に縮小傾向が見られていますが、日本のメーカーの技術力は高く、技術を生かした海外進出や新たな技術開発などに期待が寄せられています。
経済産業省が発表した「2030年に向けた繊維産業の展望」によると、海外のアパレル需要は2019年に1.8兆米ドルだった市場規模が、2025年には2.3兆米ドルに拡大すると予想されています。衣料品向けの繊維事業を海外で展開することで、新たなシェア獲得を期待されているのが現状です。
その他にも、衣料品などのオンライン消費が2019年13.9%から2020年19.4%に拡大しており、デジタル化にともなうビジネスモデルの転換も今後の施策として検討されています。
タイズの強み
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- 技術職への深い知見
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05. 繊維メーカー・業界で働くやりがい・魅力3つ
繊維メーカー・業界で働くやりがい・魅力は、以下の3つです。
- 最新の技術や製品にかかわることができる
- 衣食住や産業などさまざまなシーンで間接的に貢献できる
- 世界に目を向けたグローバルな仕事に携われる
最新の技術や製品に触れながら、社会のさまざまなシーンで貢献できるのが魅力です。仕事に求めることを振り返り、繊維メーカー・業界で働くことを一度考えてみましょう。
最新の技術や製品にかかわることができる
繊維メーカー・業界では、衣料品に使われる繊維はもちろん、炭素繊維をはじめとした先進的な製品の開発にも取り組んでいます。
新たな技術や製品に触れる機会が多いため、日々新しいものにかかわりながら、仕事に取り組めるでしょう。
技術力は競争力の強化に欠かせないため、最先端の技術や製品が身近にある環境で、スキルアップしながら働けるのが魅力です。
タイズで転職された方は、刺激的な環境で働けることに満足しており、大きなやりがいを感じています。
実際にタイズで転職された方の声
バリバリ仕事がしたい、とにかく忙しいところで働きたいと考えていましたので、終電近くになることもあるこの職場にすごくやりがいを感じています。
転職エージェントの存在をあまり詳しく知らず、お金を取られるんじゃないか(笑)と思っていたくらいです。|メーカー転職成功事例・体験談
衣食住や産業などさまざまなシーンで間接的に貢献できる
繊維メーカー・業界が扱う繊維製品は、さまざまなシーンで使われています。主な使用用途である衣料品は、生活に欠かせないものであり、自社の繊維が使われている製品を目にする機会は多いです。
また、炭素繊維は航空機、アラミド繊維は防護服など、実は身近にたくさんの繊維が使われています。いろいろな場所で自分が携わった繊維が使われていることは、やりがいにつながるでしょう。
世界に目を向けたグローバルな仕事に携われる
繊維メーカーはすでに海外向けに事業を展開していることも多く、国内市場の動向から今後さらに海外進出が強まると考えられています。
働く人にとっては、海外を舞台に働けるチャンスが増えるといえるでしょう。海外出張や海外赴任などの機会があれば、日本を飛び出してグローバルな仕事に携われます。
タイズで転職された方は、海外出張の機会がある繊維メーカーに入社し、規模の大きな仕事ができることに期待感を膨らませています。
実際にタイズで転職された方の声
私は海外に携わる仕事をしてきたので、現在の会社に入れば海外出張などの機会も多くなるとの印象がありました。前職では、海外駐在後は海外に行くことはまったくなくなりました。仕事も難しいものではなく、どちらかと言えばルーティン業務がメインで物足りなさも感じていました。このままずっと同じ担当で、中堅クラスで終わるのかなという思いもありました。現在の会社ならば、扱う案件も大きくダイナミックな仕事にスピード感を持って携われるんじゃないか、そんな期待感もあり、入社を決めました。
転職は大きな決断で、一人でやっていると思い込みとかで判断を結果的に誤ってしまうことが多くあると思います。|メーカー転職成功事例・体験談
06. 繊維メーカー・業界の平均年収、向いている人の特徴5つ
繊維メーカー・業界の平均年収
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」 によると、給与所得者全体の平均が458万円に対して、繊維メーカー・業界を含む製造業の平均年収は約501万円でした。
タイズのデータによると、繊維メーカー・業界の平均年収は以下の通りです。
大手企業(正社員) | 中小企業(正社員) | |
20代 | 450 | 400 |
30代 | 620 | 500 |
40代 | 750 | 600 |
単位:万円
引用:タイズ経由で転職成功された方の実績(2023年度)
ただし、実際の年収は企業規模や職種などによって異なります。平均はあくまで目安であるため、求人票や募集要項などで具体的な金額を確認しましょう。
繊維メーカー・業界に向いている人の特徴5つ
繊維メーカー・業界で活躍できる人には、以下のような特徴があります。
- ものづくりへの興味がある
- 成果に向かって根気強く取り組める
- 時代と流行の変化に対応できる
- 最新の技術やトレンドにアンテナを張っている
- 語学スキルや海外志向をもっている
自分の興味やスキルなどを整理し、繊維メーカー・業界に向いているかを見極めてみましょう。
ものづくりへの興味がある
繊維メーカー・業界は製造業のひとつであり、製品をつくる仕事がメインです。そのため、ものづくりに興味があったり、「自分の仕事で何かを生み出したい」という思いがあったりすると、意欲的に取り組めます。
製造現場での仕事はなくても、すべての業務がものづくりにつながっています。何かを生み出すことに関心がある人は、繊維メーカーを志してみましょう。
成果に向かって根気強く取り組める
繊維メーカー・業界は、国内市場が縮小傾向にある中、新たな付加価値をもつ製品の開発に取り組んでいます。
開発は一筋縄ではいかず、失敗する場面も多くあるのが現実です。思うような成果が出なくても、開発のヒントを見つけられたと捉え、根気強く努力できる人は繊維メーカー・業界に向いています。
時代と流行の変化に対応できる
繊維メーカー・業界はこれからの成長を実現するために、変化を求められています。企業が変化するためには、人材にも変化への柔軟性やチャレンジ精神が必要です。
業界の動向や将来性を見据えて自らが変化し、時代や流行にあった発想や仕事ができる人材は繊維メーカーで重宝される傾向があります。
実際に、東洋紡株式会社では、以下のような人材を求められています。人材像以外のポイントも知りたい方は、以下の企業解説もご覧ください。
東洋紡は従業員が持つべき価値観を、「私たちは、変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくります」と定めています。これは当社が140年以上にわたり、⾃ら変化を繰り返して⽣き抜いてきた歴史からの教訓でもあります。そして、更に変化が加速するこれからの未来を⽣き抜くために、⾃らが⼤きな変化を起こし、それを楽しめる人材を求めています。
最新の技術やトレンドにアンテナを張っている
繊維メーカーでは、最先端の技術を取り扱う機会が多く、トレンドへの対応も求められます。そのため、最新情報や流行にアンテナを張り、日々情報収集に取り組んでいる人は繊維メーカーに適性があります。
SNSでリアルタイムのトレンドをチェックしたり、現場で新しい技術に興味をもったりするなど、情報収集力はもちろん、知的好奇心もある人は、繊維メーカーに必要な人材になれる可能性が高いです。
語学スキルや海外志向をもっている
繊維メーカーは海外進出に舵を切る事例が増えているため、語学スキルや海外志向をもつ人にも向いている業界といえます。
持ち前の語学力で海外の人とも円滑にコミュニケーションができると、海外出張や海外赴任などで活躍できます。
いつか海外で働きたいという思いがある人も、グローバルな視点をもつ企業で活躍できる人材になる資質があるでしょう。
タイズの強み
- メーカー特化型エージェント
- 技術職への深い知見
- メーカーとの太いパイプと
転職支援実績
07. 繊維メーカー・業界の就職・転職事情とまとめ
繊維メーカー・業界の就職・転職事情
繊維メーカー・業界の就職・転職事情として、求人数は比較的多いものの、中でも代表的なメーカーは競争率が高くなっています。
繊維業界では、海外進出や競争力の強化などを背景に、研究や開発に携わる人材の需要増加が見込まれています。
需要の高い職種を目指し、他の求職者よりも求められる人材になるためには、希望するメーカーや職種に関連するスキルや経験をもっていることが重要です。一定のスキルや経験をもつ人材は評価されやすいため、自分ならではの強みをアピールしましょう。
繊維メーカー・業界でさまざまな場面で活躍しよう
繊維メーカー・業界では、天然繊維や化学繊維などを製造し、衣料品や航空機などさまざまな製品の素材を供給しています。
研究開発職や生産管理などの職種があり、さまざまな部門が連携しながら、製品を開発しているのが特徴です。
業界全体では縮小傾向が見られるものの、海外進出や高い技術力による新素材開発などによって、今後成長する可能性を秘めています。
繊維メーカー・業界への転職を検討している方には、メーカー転職を専門にしているタイズがおすすめです。繊維メーカーへの転職成功事例も多くあるので、ぜひ一度ご相談ください。
タイズの強み
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- 技術職への深い知見
- メーカーとの太いパイプと
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