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電機メーカー・業界とは?種類・職種・向いている人の特徴・年収を解説
生活と密接な仕事をしたいと考えている方の中には、電化製品や設備などを生産する「電機メーカー」に興味をもっている方もいるのではないでしょうか。
電機メーカーにはいくつかの種類があり、身近な家電製品から生活を支えるインフラ設備まで、さまざまな領域に分けられます。電機メーカーについて理解するためには、各領域の仕事内容を知っておくことが重要です。
本記事では、電機メーカー・業界の種類や主な職種の仕事内容、向いている人の特徴などを詳しく解説します。仕事のやりがいや大変なことも紹介しているので、就職・転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
01. 電機メーカー・業界とは
電機メーカーとは、家電製品やパソコン、映像機器などを製造する企業・業界です。製品をつくるために必要な電子部品や、半導体などを製造する企業も電機メーカーに含まれてます。
取り扱う製品によって業種が細分化され、家電メーカーや音響メーカー、精密機器メーカーなどに分類されるのが特徴です。
電機メーカーと呼ばれる企業の代表例として、ソニーやパナソニック、三菱電機などが挙げられます。家電を中心に、パソコンやスマートフォンなどのIT機器、さらには半導体や電子部品まで、幅広い製品を手がけています。
電機メーカーの特徴は、高度な技術力をもっていることです。最新のIT技術を活用して、より便利で魅力的な製品を次々と生み出しており、グローバルに事業を展開している企業も多い傾向です。
02. 電機メーカー・業界の種類と主な企業例
電機メーカー・業界は、以下の4種類に大きく分けられます。
- 家電メーカー・業界
- 時計メーカー・業界
- OA機器メーカー・業界
- 重電メーカー・業界
取り扱う製品に違いがあり、職種や仕事内容も変わってきます。4つの種類について、特徴や企業例をチェックしていきましょう。
家電メーカー・業界
家電メーカー・業界は、生活家電を製造している企業のことで、冷蔵庫や洗濯機など身近で使用される製品を手がけています。
家電メーカーは、取り扱う商品によって総合家電メーカーと特化型家電メーカーに分かれています。
総合家電メーカーは、家電全般を製造し、幅広い品目の製品を販売・提供しているのが特徴です。一方、特化型家電メーカーは、空調やエアコンなど特定の製品のみを取り扱っています。
それぞれの企業例は、以下の通りです。
総合家電メーカー |
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特化型家電メーカー |
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タイズでは、家電メーカーの大手であるパナソニック株式会社に、インタビューを実施しました。詳しい仕事の内容や求めている人材などを調査しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
【パナソニック株式会社】求める人材や中途採用の状況について、採用担当者にインタビュー!
時計メーカー・業界
時計メーカー・業界は、時計の製造や販売をしている企業のことで、さまざまなメーカーがあります。
多くの人が身につけている腕時計や、住宅や店舗に設置している掛け時計のほか、スポーツや競技に使う計測用の時計も製造しています。
時計メーカー・業界の代表的な企業は以下のとおりです。
- カシオ計算機株式会社
- シチズン時計株式会社
- セイコークロック株式会社
- セイコータイムクリエーション株式会社
- 株式会社フォッシルジャパン
工場生産で時計を大量に製造しているメーカーもあれば、手作りで一つひとつつくり上げている企業もあります。メーカーによって独自の事業展開をしているのが特徴です。
OA機器メーカー・業界
OA機器メーカー・業界では、OA(オフィスオートメーション)機器を生産・販売している企業です。
オフィスで使用される機器のことで、電話やコピー機、シュレッダーなどの製品が該当します。OA機器メーカー・業界では、製品の生産・販売にとどまらず、メンテナンスや保守まで幅広く対応しているのが特徴です。
OA機器メーカー・業界には、以下のような企業が属しています。
- キヤノン株式会社
- 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
- 東芝テック株式会社
- サンワサプライ株式会社
- 株式会社デュプロ
上記のような企業を中心として、OA機器全般を扱う企業や、特定のOA機器に特化した企業があるのが業界の特徴です。
重電メーカー・業界
重電メーカー・業界は、発電設備や工業用の機器などを手がける企業です。発電所で使用する設備を製造したり、工場で使う大型の電子機器を生産したりするなど、大規模なプロジェクトに携わっています。
重電メーカー・業界の主な企業は、以下の通りです。
- 三菱電機株式会社
- 三菱重工業株式会社
- 住友電気工業株式会社
- 川崎重工株式会社
- 株式会社IHI
タイズでは、三菱電機株式会社の受配電システム製作所についてインタビューを実施しました。中途採用の状況についてもお聞きしているので、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
03. 電機メーカー・業界の平均年収
電機メーカー・業界の平均年収は、国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」 の電機メーカーを含む製造業のデータを参考にすると、約501万円です。給与取得者全体の平均年収は458万円であるため、比較的高い収入を期待できるでしょう。
タイズのデータでは、電機メーカーの平均年収は以下の通りです。
年代 | 大手企業(正社員) | 中小企業(正社員) |
20代 | 450 | 400 |
30代 | 620 | 500 |
40代 | 750 | 600 |
単位:万円
引用:タイズ経由で転職成功された方の実績(2023年度)
上記はあくまで平均であるため、企業の規模や職種によって変動があります。企業や職種の年収を確認し、自分の希望と合うかをリサーチしましょう。
04. 電機メーカー・業界の現状と将来性
電機メーカーに関する理解を深めるためには、業界の現状と将来性について理解しておくことが重要です。統計データをもとに、電機メーカー・業界の動向を確認しておきましょう。
電機メーカー・業界の現状
電機メーカー・業界の現状として、経済産業省が発表した「経済構造実態調査」によると、2021年の製造品出荷額は330兆2,200億円でした。出荷額の推移は横ばいの状態が続いており、需要は安定しているものの、急成長は見られていません。
業種に目を向けてみると、時計メーカーやOA機器メーカーなどは、出荷額は減少傾向にあります。とくにOA機器メーカーは、デジタル化やペーパーレス化などの影響を受け、機器の需要が低下しており、今後さらに厳しい状況に陥るかもしれません。
一方、就職・転職の現状は、現場の人手不足が顕著であるため、中途採用の需要があります。一定のスキルや経験があれば、電機メーカー・業界に転職できる可能性があるでしょう。
電機メーカー・業界の将来性
電機メーカー・業界は、IT技術の発展やデジタル化の進展などによって、大きな変化を求められています。たとえば、IoT家電やスマートスピーカーが普及し、新たな技術を活用した製品が今後さらに求められていくでしょう。
また、少子高齢化や国内の市場縮小などから、海外に目を向けているメーカーが増えていくと予想されています。電機メーカー・業界で働きたい人にとっては、今後グローバルな活躍ができるチャンスが広がっていくでしょう。
05. 電機メーカー・業界の主な職種と仕事内容
電機メーカー・業界では、以下のような職種が働いています。
- 研究職
- 開発職
- 生産技術
- 品質管理
- 営業
各職種の特徴を理解して、気になる仕事を見つけてみてください。
研究職
電機メーカーの研究職は、製品をつくるために必要な技術を研究する職種です。電機メーカーでは、ソフトウェアエンジニアとして研究に従事するケースがあります。
基礎研究と応用研究という2つの分野に分かれ、基礎研究ではまだ世の中にない技術、応用研究では発見した技術を製品に活用する方法を研究します。
研究職の種類や仕事内容などは以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
研究職とは?種類・仕事内容・転職するメリット・向いている人の特徴を解説
開発職
電機メーカーの開発職は、研究職が見つけた技術や概念を活用し、製品の開発や改良を行う職種です。
電機メーカーでは、開発職は設計にかかわる機会が多くあります。機械や電気回路を設計したうえで、正常に動作するか何度も試作やシミュレーションを繰り返します。
製品に直接かかわる機会が多く、仕事の成果が目に見える形になる点で、やりがいを感じやすい職種と言えるでしょう。
開発職の仕事内容を詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
生産技術
生産技術とは、製品を生産するための設備やラインなどを設計する職種です。製品を効率的かつ正確に製造できるように、設計から導入、試運転までを行います。
生産技術の役割は、製品の生産・販売に大きくかかわるため、企業の利益に直結する責任の大きい仕事です。
生産技術の仕事をより理解したい方は、以下の記事も参考にしてみましょう。
品質管理
品質管理とは、製造された製品が一定の品質基準を満たすために、工程や業務などを管理する職種です。
基準を満たした製品をつくるためのマネジメントだけではなく、問題が生じた際の調査や改善なども担当します。
品質管理の仕事内容や品質保証との違いは以下の記事でまとめているので、詳しく理解したい方はぜひ確認してみてください。
品質管理とは?品質保証との違いや仕事内容・転職成功事例を解説
営業
電機メーカーの営業は、自社製品を店舗や法人などに提案する職種です。製品を取り扱ってもらえるように商談を行い、成立後には店舗への陳列や現場への導入などをサポートします。
営業職の成果は、企業の利益に直結するため、非常に重要な職種のひとつです。提案力やコミュニケーション力などを発揮できれば、企業に大きく貢献できるでしょう。
メーカー営業への転職を考えている方は、以下の記事もぜひチェックしてみましょう。
06. 電機メーカー・業界に向いている人の特徴3つ
電機メーカー・業界に向いている人の特徴は、以下の3つです。
- 電気や電子、機械などに詳しい
- 最新の技術や情報をこまめに収集している
- 外国語でコミュニケーションがとれる
自分のスキルや経験などを振り返りながら、適性があるか考えてみましょう。
電気や電子・機械などに詳しい
電機メーカー・業界は、電気や機械を扱う場面が多いため、取り扱う製品や分野に詳しい人に向いています。
電気系の資格をもっていたり、電子機器の開発にかかわった経験があったりすれば、適性をアピールしやすいです。
電機メーカーのひとつである「パナソニック株式会社」では、キャリア採用において「尖った強み」を求めています。電気や機械などに関する専門性があれば、大きな強みとなるでしょう。
Q.キャリア採用ではどのような方を求めていらっしゃいますか。
A.当社がキャリアの方に求めるのは「チャレンジ・変革・尖った強み」。世界と戦うために必要な「尖った強み」を持っていること。パナソニックで夢をもってチャレンジし、変革のリーダーとなって欲しいと考えています。
最新の技術や情報をこまめに収集している
新しい知識を得ることが好きだったり、情報収集が得意だったりする人は、変化の多い電機メーカー・業界に向いています。
電機メーカーは、家電製品やAV機器、パソコン、スマートフォンなどの電子機器を生産する企業で、高度なIT技術を活用した製品開発が特徴です。そのため、電機メーカーでは常に最新の技術動向を把握し、製品開発に活かすことが重要となります。
業界を取り巻く技術進歩を楽しめる人は、電機メーカーへの就職に向いていると言えるでしょう。
外国語でコミュニケーションがとれる
電機メーカー・業界の中には海外に拠点を構えている場合も多く、海外の顧客やスタッフとかかわる機会があります。
そのため、外国語でコミュニケーションをとれる人は、電機メーカー・業界でグローバルに働けるでしょう。日常会話やビジネス上の会話を外国語でそつなくできると、海外出張や駐在などのキャリアも拓かれる可能性があります。
電機メーカーのひとつである「オムロン株式会社」では、世界中にいる開発やシステムエンジニアとコミュニケーションをとる機会があるそうです。外国語を習得していれば、海外を視野に入れたグローバルな機会が広がります。
Q.海外とのやり取りも多くありますか。
A.特に開発とSEは世界中にいるので、開発はグローバルのメンバーと、どういう商品が欲しいのか、どんなニーズがあるのかなど、コミュニケーションを取る機会が多くあります。今はコロナで少なくなりましたが、コロナが終われば出張する機会にも恵まれると思います。
07. 電機メーカー・業界で働くやりがいと大変なこと
電機メーカー・業界には、働くことで得られるやりがいや魅力が多くあります。一方で、達成感や充実感を得るまでには、大変なことにも直面します。
電機メーカー・業界で働くことを考えている方は、やりがいと大変なことの両方を理解しましょう。
やりがいと大変なこと
電機メーカー・業界で働くやりがい
電機メーカー・業界で働くことで、生活や社会を支えている製品に携われます。普段の生活で自分がかかわった製品を目にする機会もあり、人や社会を支えていることを実感できるのがやりがいのひとつです。
また、グローバルな展開をしている電機メーカー・業界も多いため、世界を意識した仕事ができます。国内にとどまらず、世界の人々にも受け入れられる製品にかかわることで、より達成感を得られるでしょう。
電機メーカー・業界で働くうえで大変なこと
「電機メーカー・業界はやめとけ」という声を聞くこともあり、働くうえでの大変さはあらかじめ知っておく必要があります。
電機メーカーは会社の規模が大きい分、体制が固まっていることが多く、自由な裁量で働きにくい点に大変さを感じるかもしれません。企業によっては、自分のやりたいことを実現しにくかったり、個性を発揮できなかったりするため、企業風土を事前に確認しておきましょう。
また、国内や海外に複数の拠点をもっているメーカーの場合、転勤が発生する場合があります。生活拠点が変わったり、人間関係を新たに構築する必要があったりするため、ひとつの場所で生活や仕事に取り組みたい方は、事前に調べておく必要があります。
電機メーカーの理解を深めて就職・転職を検討してみよう
電機メーカー・業界には、家電メーカーや時計メーカーなどの業種があり、身近な家電製品や工業用の電気設備などを製造・販売しています。
研究職や開発職などが製品づくりに取り組んでおり、さまざまなかかわり方で製品を通して生活や社会に貢献できるでしょう。
電機メーカー・業界に向いている人の特徴ややりがいなども理解し、ぜひ就職・転職を検討する際に役立ててみてください。