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機械メーカーとはどのような業界?職種別の仕事内容や年収・向いている人の特徴を解説
機械に携わる仕事に興味がある方の中には、機械メーカーが気になっている方もいるのではないでしょうか。
機械メーカーにはさまざまな業種があり、機械の開発や設計・営業などの職種で、製品を通して人や社会に貢献しています。
本記事では、機械メーカーの主な業種や職種、将来性、転職事情まで詳しく解説します。実際に機械メーカーに転職した事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
01. 機械メーカーとは
機械メーカーとは、工作機械・建設機械・重機などをつくる業界および企業のことです。機器全般をつくる業界・企業を含んでおり、主に企業・法人を対象に事業を展開しています。
機械メーカーとは何かを理解するために、以下3つのポイントで特徴を解説します。
- 機械メーカーの主な業種
- 機械メーカーの主な企業一覧
- 機械メーカーの年収
機械メーカーの主要な業種や企業名などを参考にして、機械メーカーへの理解を深めましょう。
機械メーカーの主な業種
機械メーカーは、取り扱う機械によって、以下のように業種が分かれています。
- OA機器
- 精密機械
- 工作機械
- 計測機械
- 重機
- 建設機械
- 医療機器
主に、工作機械や重機など、ものづくり・建築にかかわる業種が挙げられます。企業向けの業種以外にも、オフィスで使われるOA機器や病院で使われる医療機器は、生活の中で触れる機会がある製品をつくる業種です。製品の製造から実際に生活内で利用する商品まで、関連する幅広い業種が含まれています。
機械メーカーの主な企業一覧
機械メーカーには幅広い業種があるため、さまざまな企業が機械メーカーに含まれます。数多くの企業がある中で、代表的な企業の一覧は以下の通りです。
- パナソニック株式会社
- 三菱電機株式会社
- グローリー株式会社
- 株式会社クボタ
- ダイキン工業株式会社
- 株式会社小松製作所
- 住友電気工業株式会社
他にも多くの企業があり、それぞれ取り扱う機械や事業が異なります。各企業の詳細な情報を知りたい方は、「企業徹底解説」も参考にしてみてください。
機械メーカーの年収
タイズのデータによると、機械メーカーの平均年収は、550万円程度です。
年代別に大手企業と中小企業の正社員に分けた年収データは、以下を参考にしてみてください。
年代 | 大手企業(正社員) | 中小企業(正社員) |
20代 | 450 | 400 |
30代 | 650 | 500 |
40代 | 750 | 630 |
単位:万円
引用:タイズ経由で転職成功された方の実績(2023年度)
機械メーカーには、専門的な知識やスキルが必要な職種も含まれるため、平均年収は全体的に高くなる傾向があります。ただし、個々の年収は業種や企業規模によるため、希望年収にあわせて求人を確認するとよいでしょう。
02. 機械メーカーの主な職種・仕事内容
機械メーカーでは、さまざまな機器を製造・販売するために、以下のような職種が活躍しています。
- 研究開発
- 設計開発
- 生産管理
- 品質管理・品質保証
- セールスエンジニア
- 営業
職種別に仕事内容を解説するので、ぜひ機械メーカーで気になる職種を見つけてみてください。
研究開発
研究開発職とは、製品を開発するための研究や開発を行う職種です。研究は、まだ世の中にない技術や概念を見つける基礎研究、発見した研究成果を製品化につなげる応用研究に分かれます。
機械メーカーにおいては、新製品の開発や既存商品の改良などの場面で、研究開発が行われています。製品開発の土台となる職種であり、高い技術やノウハウはもちろん、発想力も重要な職種です。
研究開発職の仕事内容は以下の記事でも解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
研究開発職とは?仕事内容・向いている人の特徴・転職成功事例を紹介
設計開発
設計開発とは、製品の設計を行う職種で、機械メーカーではエンジニアのような役割を担います。
製品の図面を作成したり、電子回路を設計したりするほか、機械を動かすためのソフトウェア設計や動作シミュレーションなど、担当する仕事はさまざまです。
設計開発とかかわりが深い「機械設計」という職種を以下の記事で紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
生産管理
生産管理とは、製品の生産にかかわる業務を管理する職種です。生産計画を作成するところから携わり、資材の調達や在庫管理、現場での業務チェックなど、仕事内容は多岐にわたります。
機械メーカーでは、顧客が求める数量や納期などを把握したうえで、適切な生産計画を立てます。計画に沿って進捗しているか、進捗が思わしくないときにどう改善するかなどを日々考え、計画通りに生産することが重要な役目です。
生産管理の仕事内容や向いている人の特徴は、以下の記事で解説しているので、生産管理の仕事に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
生産管理とは?仕事内容や向いている人の特徴、転職を成功させるポイントを解説
品質管理・品質保証
品質管理とは、一定の品質を備えるために工程や業務などを管理する職種です。主に製造過程の管理を担当し、機械製品の品質を担保するためにマネジメントや検証などを行います。
品質管理の詳しい仕事内容は、以下の記事を参考にしてみてください。
品質管理とは?品質保証との違いや仕事内容・転職成功事例を解説
品質管理と同じく品質に関する職種として、品質保証があります。品質保証は、製品に対してあらかじめ定められた基準を満たしているかを確認・検証する職種です。万が一製品の不備やクレームがあった場合には、顧客対応も担当します。
品質保証の仕事内容や品質管理との違いを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみましょう。
品質保証とは?品質管理との違いや仕事内容・向いている人の特徴を解説
セールスエンジニア
セールスエンジニアとは、営業職を技術面からサポートする職種で、機械メーカーでは重要な役割を果たします。専門的な機械を取り扱ううえで、技術に関する説明やサポートを顧客に提供することは、営業の決め手にもなる部分です。
新規営業に同行したり、既存顧客に対してアフターフォローをしたりするなど、幅広い仕事を担当します。
セールスエンジニアの仕事内容や必要なスキルを知りたい方は、以下の記事も確認してみてください。
営業?技術職?セールスエンジニアの仕事内容と必要なスキルを解説
営業
営業職は、自社の製品・サービスを顧客に提案する職種です。営業の成果が企業の売上・利益に直結するため、新規顧客の獲得や既存顧客との関係維持で活躍を求められます。
機械メーカーにおいては、取り扱う製品の金額が比較的高いため、導入するメリットを的確に伝えるスキルが求められます。
機械メーカーをはじめとしたメーカーの営業職への転職については以下の記事で解説しているので、営業職への転職に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
03. 機械メーカーの現状と将来性
機械メーカーについて理解を深めるうえで、業界の現状と将来性は重要な情報です。
メーカー・業界が現在どのような状況なのか、将来どのようになっていくと予想されているかを知ることで、就職や転職を検討しやすくなります。
機械メーカーの現状と将来性から、業界の特徴を捉えていきましょう。
機械メーカーの現状
機械メーカーは、新型コロナウイルス感染症の影響で一時需要が落ちたものの、現在は安定的な機械受注が続いている状態です。
内閣府が発表している「機械受注統計調査報告」 によると、2020年に受注総額が落ち込んだものの、徐々に回復し、2023年には安定して受注できている状態になっています。
また、 日本工作機械工業会が公表している「工作機械主要統計」 によると、2020年の約9億9千万円の受注で2019年から落ち込みましたが、2021年には約1兆6億円、2022年には約1兆7億円と大きく回復しています。
さまざまな分野で技術革新が起きており、製造・生産に機械が必要になる場面も多く、需要が拡大していると予測可能です。
一方で、海外メーカーの成長が著しく、中国をはじめとする企業が業界の競争に参入してきています。今後、さらに多くの海外メーカーが進出してきた際に、「国内の機械メーカーがポジションを確立できるか」という点は、現在の懸念点といえるでしょう。
機械メーカーの将来性
機械メーカーは、近年人手不足や海外メーカーの進出などの課題に直面していますが、IoTの活用や自動化などの普及にともなって、需要はさらに増えていくと考えられています。
機械メーカーが取り扱う製品の中でも、機器に不可欠な半導体を製造する装置はとくに需要が見込まれる商材です。さまざまな機械を取り扱う業界であるため、それぞれの需要が高まれば、将来的に成長を期待できるでしょう。
就職・転職においては、全体的に人手不足が顕著であり、今後も状況が続くと考えられています。そのため、一定のスキルがあれば即戦力として評価を受けやすく、中途採用の需要は比較的高いといえるでしょう。
04. 機械メーカーに向いている人の特徴3選
機械メーカーへの就職や転職を検討するうえで、どのような人が業界に向いているかを知ることで、相性を判断しやすくなります。
機械メーカーに向いている人の特徴は、以下の3つです。
- ものづくりに興味・関心がある
- 最新技術や知識を取り入れる姿勢がある
- 専門スキル・語学力を習得している
タイズで実施した企業インタビューの内容も紹介するので、実際に企業がどのような人を求めているかもチェックしていきましょう。
ものづくりに興味・関心がある
機械メーカーは製品づくりにかかわる機械が多いため、ものづくりやクリエィティブに興味・関心がある人に向いています。
新しいものを生み出したい、何かをつくることが楽しいと考えられる人は、持ち前の創造性や好奇心を仕事に活かせるでしょう。
機械メーカーのひとつである「株式会社安田機械製作所」で人事を担当されている方へのインタビューでは、求める人材像について以下のように話しています。
Q.どんな方と一緒に働きたいとお考えですか?
A.未完成さに面白味を感じてくれる方に来ていただきたいと考えています。「毎日が決まったことの繰り返しではない」ことに居心地の悪さを感じる方には、当社は向いていないと思います。当社の完成していない部分に対して「こうした方がいいのでは」「自分はこうしたい」と発信できる方、「これはどうしてこうなってるの?」と疑問を持つ方と、一緒に面白い仕事をしていきたいですね。
最新技術や知識を取り入れる姿勢がある
機械メーカーは、最新技術や概念が日々あらわれる業界であるため、新しいことを柔軟に取り入れられる姿勢が欠かせません。
主体的に情報を収集していたり、新しい技術を習得するために努力したりできる人は、機械メーカーに向いています。
実際に、機械メーカーの「ナプテスコ株式会社」では、以下のような人材を求めていると話しています。
Q.求める人材についてお聞かせください。
A.ナブテスコで働くことでエンジニアとして成長して欲しいと思っています。そのために自律的に行動できる方を求めています。指示待ちではなく、「次はこういう局面が来るだろうから、こういう準備をしておきます」とか「こういう風にしたいと思っているので、これでいいですよね」というくらいの勢いでリーダーや上長に対して自分の意見を述べて、自分で仕事を回せるエンジニアに成長して欲しいと考えています。
少し重めのタスクを任せることもあると思います。それを自分のテーマ、自分のタスクだという意識を持ってもらって、積極的に取り組むことで、ステップアップできる環境をつくりたいと考えています。
専門スキル・語学力を習得している
機械メーカーでは、専門的な技術を求められるため、スキルや資格をもっている人は活躍が期待できます。開発に活かせる設計の技術や、品質管理に役立つマネジメントなどのスキルは、重宝される能力です。
また、機械メーカーは海外に拠点を置いたり、海外メーカーと連携したりする場面があるため、語学力があると現場で活用できます。
機械メーカーである「村田機械株式会社」の方に、求めるスキルや経験などをお話いただきました。どのような人材を求めているか知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
Q.求める人物像についてお聞かせください
A.キャリア採用の場合、ITソリューション本部に足りていないスキルを持った方を募集することが多く、その時々で求める人材は違ってきます。現在はERP関連の経験やスキルを持った方を募集しています。
資質の部分については、課題を与えられて取り組むというのは社会人である以上必要だと思いますが、与えられた課題の周辺を含めて幅を拡げて考えられるとか、自分のスキルアップのために自ら学ぶ姿勢を持っているとかを重視しています。そして、自ら発信できる人が来ていただけるとメンバーの活性化につながると思っています。
05. 機械メーカーで働く3つの魅力とやりがい
機械メーカーで働くことによって、以下のようなやりがい・魅力を感じられるでしょう。
- 携わった製品が世の中に流通する達成感を得られる
- 最先端の技術に触れながら働ける
- 幅広いスキルを身につけられる
仕事を通して世の中に貢献したり、新しい技術を身につけられたりするのが、機械メーカーで働く大きな魅力です。
携わった製品が世の中に流通する達成感を得られる
機械メーカーで働くことで、自分が携わった製品が世の中に送り出され、大きな達成感を得られます。
自分がかかわった製品を身近な場所で目にしたり、顧客からうれしい声を聞いたりする瞬間は、働いていてよかったと思えるでしょう。
タイズで機械メーカーに転職された方は、身近で使われている製品に携わっていることにやりがいを感じています。
実際にタイズで転職された方の声
良かったのはいろんな事業に携われるところです。前職ではB to Bで、世の中では全然知られていない機械を担当していました。現職では、エアコンやブレーカーなど、割とキャッチ―というか、みんなが知っている製品に携わっている。そこにもやりがいを感じて、本当に楽しくやれています。
大切なのは転職を通じて、何を実現したいのか、自分がどうなりたいのかを、まずははっきりさせることだと思います。|メーカー転職成功事例・体験談
最先端の技術に触れながら働ける
機械メーカーでは先進的な技術を積極的に活用するため、新しいものに触れながら仕事に取り組めます。
新しい技術や素材などのすごさを実感しながら、よりよい製品作りにかかわれます。新鮮な気持ちで働けるのもメリットといえるでしょう。
実際にタイズで機械メーカーに転職された方は、これから本格的に働く段階ですが、社員一人ひとりが機械や技術を理解している環境で、一人前の技術者になれると感じています。
実際にタイズで転職された方の声
まだ研修段階ですので職場では働いていないのですが、活気があり明るい印象を受けています。また、働く社員に関しては一人ひとりがしっかりと機械のことを理解して、技術を持っています。この会社で一人前の技術者になれると感じたことは間違っていなかったんだなと思いました。
『地元の関西で一人前の技術者として成長できる職場環境にUターンしたい』大手機械メーカーに転職成功したストーリー|メーカー転職成功事例・体験談
幅広いスキルを身につけられる
機械メーカーにはさまざまな職種があり、それぞれが多種多様な仕事に取り組んでいます。そのため、いろいろな業務にかかわる機会があり、幅広いスキルを身につけられるのが魅力です。
企業によっては、教育プログラムに力を入れている場合もあり、働きながら専門的なスキルを習得できる機会もあります。
タイズで機械メーカーに転職された方の中には、中途採用向けの教育プログラムを通じて、スキル習得のサポートを受けている方もいます。
実際にタイズで転職された方の声働きやすさの観点でいうと、村田製作所はキャリア採用も積極的に行っているため、中途向けの教育プログラムが非常に充実しており、立ち上がりまでしっかりサポートしてくれます。職場の雰囲気もよく、入社当時は新しい環境への戸惑いもありましたが、会社と配属部署が無理なく馴染みやすい雰囲気をつくって下さったのですぐに馴染むことができました。
「より深く製造業に関わる仕事がしたい」村田製作所のビジネス改革プロセス職に転職したストーリー|メーカー転職成功事例・体験談
06. 機械メーカーに就職・転職する難易度は高い?
機械メーカーへの就職・転職は、職種によっては専門性を求められるため、未経験では難易度が高くなる傾向があります。また、文系より理系の方が有利になる職種もあり、文系だと不利になる可能性にも注意が必要です。
ただし、未経験や文系でも、機械メーカーや希望する職種に関する知識や経験があれば、就職・転職できるチャンスが十分にあります。
志望する企業が求めているスキルや経験などを確認し、自分の強みをアピールして就職・転職を実現しましょう。
07. 機械メーカーへの理解を深めて転職を検討してみよう
機械メーカーは、さまざまな機械を製造・販売する企業で、機械需要の増加から将来性のある業界といわれています。
研究開発や設計開発などの職種があり、さまざまな職種が連携しながら、よりよい製品の開発に取り組んでいるのが特徴です。
未経験や文系でもスキルや他業界での経験を活かして、就職・転職できるチャンスがあるので、機械メーカーへの理解を深めて働く選択肢を考えてみてください。