企業インタビュー
【(株)椿本チエイン】アグリビジネス部長に業務内容・やりがい・将来像についてインタビュー!
アグリビジネス担当 アグリビジネス部長
佐治 智之 様
01. 会社概要
1917年創業以来、機械メーカーとして、機械部品から搬送システムまで幅広い分野で、世界中の「動く」を支え続けてきました。産業用チェーン、自動車エンジン用チェーンでは世界シェアナンバーワンを誇り、現在、つばきブランドは、世界26の国・地域に82拠点にまで拡大。22年度の海外売上高比率63.3%、海外従業員比率52%とグローバルに事業を展開しています。次の100年に向け、企業理念に掲げている「〝動かす〟ことに進化をもたらし、社会の期待を超えていく」ことを目指し、チェーン、モーションコントロール、モビリティ、マテハンの既存事業に磨きをかけるとともに、その枠にとらわれず、新規ビジネスへも挑戦し、社会課題解決への貢献を目指しています。
1917年の創業以来、モノづくり企業として「チェーン」「モーションコントロール」「モビリティ」「マテリアルハンドリング」の4事業へと拡大。
02. ご経歴について
入社の経緯についてお聞かせください
以前、椿本チエインの本社があった鶴見緑地で、「国際花と緑の博覧会」(大阪花博)が行われた1990年に新卒で入社しました。私は院卒ですが、実は学卒の時は不況期で新卒の求人が少なく、この時には就職活動をしないで大学院に進みました。その後、景気が回復して、私の大学に椿本チエインの求人票が来ていたので、その就職雑誌を読んで、大阪にある機械系の企業で、地道にしっかりとしている会社だと感じたので、応募することにしたのです。
その後、教授から椿本チエインの推薦が来て、私の専門である材料系で学んできたことを活かせる仕事があるかなということで入社を決めました。
入社されてからの経歴についてお聞かせください
希望した通りに開発部門に配属となり、材料系の開発をしたのが最初の仕事でした。その後は、チェーン事業部の商品開発や他部門での新商品の開発など、材料系を中心とした商品開発に取り組んできました。
20年前に開発部門が京田辺市に移転となり、その時に「もっと新しいことをしよう」という人が上司となり、それまでの材料開発から機械系の仕事や作業現場の改善業務、新規事業開発などいろんなことにチャレンジさせてもらいました。
▲椿本チエイン・京田辺工場のエントランスに展示されている商品(佐治様が開発部門時代に携わったジップチェーン)
03. アグリビジネス事業部について
アグリビジネス事業が発足した目的についてお聞かせください
アグリビジネスは椿本チエインの新しい事業の一つとして植物工場および農業に関する事業を広げていこうということで今から10年位前に正式に発足しました。
私は今から5年前に、急遽、前任の部長と交代することになり、何の知識もない状態でアグリビジネスの部長となり、現在まで駆け抜けてきました。
椿本チエインには、チェーン・マテハン・MC・モビリティの根幹となる4つの事業部があり、それに続く新しい事業を構築することが経営計画で明文化されています。また、社会に貢献するということに対して、食の安心・安全の分野で新しい事業を開発することが必要だと考え、椿本チエインのモノづくりの技術を活かして、この分野で貢献できるという観点から始まりました。
数名規模でスタートして、事業としては始まってから10年が経っています。
具体的にはどんな商品を提供されていますか
一つのターゲットは人工光型植物工場です。簡単にご説明すると密閉した工場の中でLEDの光を当てながら葉物野菜(レタス類)を中心に栽培するのが人工光型植物工場です。今後この工場がつくるレタスの需要が拡大し、さらに多くの量をつくる必要があるので、それに対応した自動機・省力機の製造・販売したのが事業の始まりです。
現在もこの人工光型植物工場を基本としてアグリビジネスに関する自動化・省力化機器の製造販売を行っています。
椿本チエイン初となる植物工場建設の目的などをお聞かせください
椿本チエインは機械メーカーなので、機械やモノを動かすことについては豊富な経験と知見があります。但し、野菜は生き物なので、100個あっても同じものは一つもありません。これらをハンドリングする場合では、成長のバラツキや栽培条件を考慮する重要性をいろいろと経験しました。
こうした経験を踏まえて、私たちは栽培に関する経験や知識をしっかりと積んで、栽培をよく理解した上で機械をつくっていかないとお客様に受け入れてもらえず、事業が広がっていかないことを痛感しました。それならば、「自分たちでも野菜をつくろう」ということになり、機械メーカーでありながら椿本チエインが自前で次世代モデルの人工光型植物工場を建設することにしました。この植物工場は日本国内で9番目(2023年6月現在)に大きな規模を持ち、2025年5月、福井県三方郡美浜町に竣工する予定です。
私たち自身も植物工場で野菜をつくって販売することでお客様が本当に必要なもの、困っていることが把握できます。現場にあった機器を新たに開発し、拡販することで事業を広げることが新工場建設の目的のひとつです。
大規模工場を自前で立てることになったので、現在それを担う人材が足りない状況です。
▲椿本チエイン・京田辺工場エントランス アグリビジネス事業についての展示前にて
現在の部門の課題についてお聞かせください
現在、23名で新規事業の一部門として事業を展開しているので、すべての業務を今いるメンバーでやる必要があります。事業部門であれば、業務担当がそれぞれ分かれています。当部門には明確に業務担当が分けられないため、一人が受け持つ守備範囲が広くなっています。技術部であれば、設計することが業務ですが、当部門の現状は技術であっても調達や製造のフォローまで守備範囲を広く取る必要があるという課題があります。
採用面接の時にも応募者の方にお話ししていますが、アグリビジネスはベンチャー企業と同じように、一人でやるべき仕事の範囲がとても広いです。その分裁量権が大きく、高い自由度で仕事ができますが、この業務だけをピンポイントでやりたいという方には向いていません。機械系だけど機械の中で、その前後の業務を合わせた仕事も広くいろんなことをしたい、もしくは、その業務を新しく変えたい、提案したいという方には向いている仕事環境だと思います。
もちろん、今の組織運営でよいとは思っていません。まだまだ人数が少ない状況の中で、今は受注から生産、販売、品質保証までを現在の体制で担う必要があります。拡大する業務を分担して効率よく進めていくために人員の拡大は急務となっており、昨年は5名採用して、今年も8名を採用予定しており幅広い業務で求人を出しています。
今後の事業計画についてお聞かせください
アグリ関連の機器のビジネスをメインとしていますが、新工場をつくることによって栽培もビジネスにしていきます。レタスをつくって売るビジネスでも売上を上げていきます。新工場での栽培事業、機器・システム事業の2本立てで2030年売上50億円の事業計画を達成したいと考えています。
新工場はレタスをつくるために建設しますが、もう一つの目的として、私たちの機械を工場に入れて、機械の優位性を直接お客様に見ていただいて、システムを買っていただく拡販の役割もあります。この工場をモデルルームとすることで機器システム事業の売上も上げていきたいと考えています。
将来の事業展開についてお聞かせください
機械と栽培をセットにした新しい植物工場を提供できるようにしたいと考えています。それを実現することで事業の出発点であった社会課題の解決に貢献し、安心・安全な生活基盤の構築のためのターゲットの一つとして農業を選択して、それに貢献することにつながっていけばいいと思っています。
もっと将来として夢のあることでいえば、宇宙開発時に農業関連で私たちの機械が貢献できればいいなと思います。今のビジネスの範囲だけではなく、将来のことを見越して事業を考え続けたいです。
佐治さまはアグリに興味はありましたか
どちらかというと興味はなかったです。実は学生時代に野草を食べるサークルにいました。あまり深い意味はないのですが、アグリビジネスを担当するお話をいただいた時に への 異動の話があった時、何か植物に縁があるのかなと感じました。
材料系のエンジニアなので、農業にはあまり接点がありませんでしたが、携わってみるといろいろと面白いこともあって、今は家でも水耕栽培をしています。
この工場(京田辺工場)の中でもレタスをつくっていますし、イチゴやトマトもつくっています。実際に栽培してみると面白いし、食べてみたら美味しいもの、そうでないものがあり、栽培方法でこんなに品質が違うのだということも分かるようになりました。
新卒の方はアグリに興味を持っていますか
最近は農業系の新卒も採用しています。自前で植物工場をつくると発表したら、応募する人たちも増えてきました。以前は椿本チエインで農学系の人を採用するのは至難の業でした。まったく応募者がいない状況でしたが、昨年1名採用できてからは、どんどん増えています。
04. やりがい・働き方について
アグリビジネスのやりがいについてお聞かせください
今まで新規事業や開発をやってきて、うまくいったものもあれば、ものにならなかったものもあります。自分がやったことが製品までつくりあげて、お客様で稼働するところまで立ち合えることが一番のやりがいです。さらにそれが今までは商品の開発でしたが、今回は新規事業を任されて、この部門の事業を大きくすることに取り組んでいます。メンバーには今までなかったものをつくっていること、社会に貢献するビジネス、機器をお客様が使うことで喜んでいただけることに対してやりがいを感じてほしいと思っています。
職場の雰囲気についてお聞かせください
メンバーは一つの業務だけでなく、幅広い分野を担当しているので、オープンなカタチで仕事をしてほしいと話しています。ここ数年はキャリア入社の方が増えているので、新しい人が入ってきても仕事がしやすい雰囲気になるようコミュニケーションを取るようにしています。新規事業の部門なので守りに入っても仕方ないので、メンバーは失敗を恐れずに積極的にチャレンジするように日々お話ししています。
コロナ後、働き方に変化はありますか?
コロナの流行時は、基本的に勤務の半分が在宅でした。現在は在宅勤務制度も整備され、平均週1日の在宅勤務を行っています。在宅勤務も対面で仕事をする事にもメリットがあります。ただ、在宅勤務やリモートワークは今後当たり前になっていくと思います。そんな状況の中でも、きちんと仕事をこなせるようにしておくことが必要だと思います。コロナの次に何かが起きても、業務効率を落とすことなく対応できるように仕事のやり方を考えておかないといけないと考えています。
当社では「人材が最大の経営基盤」と考え、従業員の成長につながる人材育成活動を積極的に展開しています。離職率も業界平均よりも低くなっています。入社1年目からフレックス制度が使えて、時間管理もある程度任せてもらえます。キャリアを積むと裁量労働制になり、定めた目標と業務を遂行すればフレックスで出退社時間を組むことができます。残業は多くて月に20時間程度で、京田辺の工場は定時が17:30ですが、事務所も19:00にはほとんどのメンバーが退社しています。毎週金曜日は定時退勤日となっており裁量労働制で何時に出社しても17:30に退社することが定められています。休暇もしっかりとれますし、業務時間もきちんと管理されているので、居心地の良い環境だと思います。
入社後の仕事の進め方についてお聞かせください
限られた人数なので、業務量や重要性などを考えながら新入社員でもある程度仕事を任せます。キャリア採用の方は、即戦力として業務を依頼しますし、幹部職で入社いただいたら、幹部職としての仕事をしっかりとしてもらいます。入社して2ヵ月のメンバーでもキャリア採用の面接に入ってもらうなど社歴はフリーで仕事をしてもらっています。
教育制度についてお聞かせください
新卒にはきちんと決まった教育制度があります。会社として基礎的な技術教育はテクノスクールという大学で学んだ知識をもう一度やり直す教育機関があって、それを受けていただいています。
キャリア採用の方には、決まった教育プログラムがあるわけではなく、現地で現物を見るのが一番なので、私たちがお客様のところへ伺う時に現場に同行してもらい、現地現物でのOJTを行います。また、外部教育機関での受講も合わせて、仕事に必要な知識を身に付けていただいています。
05. キャリアパスや求める人物像ついて
キャリアパスについてお聞かせください
新卒で入った人と変わりはありません。一定の教育を受けてキャリアアップしていきます。入社前に決めていた職位や業務も、入社後にもっとスキルが高いと判断すれば、早期に昇格して次の新しい仕事をしてもらうこともあります。実際に昨年係長で採用したキャリアのメンバーが今年の春から課長代理となり、より責任のある仕事に取り組んでもらっています。業務をしっかりとこなして、成果を上げてもらえれば、新卒入社の人との間にキャリアアップに差はありません。
求める人材についてお聞かせください
いろんなことにチャレンジできる人、自分の考えを持って動ける人であれば、前職の仕事と違っていても関係なく活躍できます。自分が先頭にたって、リーダーシップをとって、仕事を進めていけるコミュニケーション能力の高い人材を求めています。
活躍している人のタイプについてお聞かせください
先ほどお話しした、今春に課長代理に昇格したメンバーは、やはりコミュニケーション能力が高く、主体的に動いて、自分の意見や考えをしっかり言える人で、このようなタイプのメンバーが活躍しています。
スキルを持ちながらも広く全体の業務ができる人材が活躍できると思います。
タイズの印象
他エージェントと違って、営業とコンサルタントをやられているので、私たちが伝えたいことをきちんと熱量を変えずに、担当者様が応募者に伝えていただいているので、私たちの熱量も伝わりやすいし、候補者様にはこちらのニュアンスも含めて伝えてくれているのでフォローもしやすいです。実績も高く、これからもその姿勢に期待しています。
06. 転職希望者へメッセージ
椿本チエインでは、「長期ビジョン2030」の実現に向け、既存事業領域に加え、次世代ビジネス領域へと事業拡大することで、人・社会・地球の持続的成長に貢献できる企業グループを目指しています。新規ビジネス創出が大きな課題となっている中、このアグリビジネスでは新工場建設をはじめ、次々と新たな挑戦をしていく勢いのある部門です。そして、私たちの仕事が、フードロス削減や農業が抱える社会課題の解決につながると自負しています。新ビジネスに向け一緒に挑戦していただける方を待っています。
一緒にチャレンジしたいと思う方がいれば、ぜひ来ていただきたいと思います。
▲アグリビジネス部長 佐治様 と 担当コンサルタント松本
▲人事部 山口様 と 担当コンサルタント松本