転職の秘訣
転職活動成功(キャリアアップ)のために【ITエンジニアがやるべきこと】
01. IT業界の人材供給
■IT人材をとりまく需要と供給との大幅なギャップ
依然として人材不足が叫ばれるIT業界ですが、データが示す通り、人材供給は右肩上がりではあるものの将来的にそれを大きく上回る人材不足が予測されています(中位シナリオでも2030年時点で45万人不足)。
それだけ大幅な人材不足ということは、現実に働いているITエンジニアの方々が「なんとか」している、つまり長時間労働などにより賄っている現実があると考えられ、転職を決めた理由として、「休日出勤や残業が多い」が上位に位置していることからも明らかです。
このように転職市場において需要が大きく、人材供給が大幅に不足しているITエンジニアは、転職によって希望する条件を実現できる可能性が高いといえます。
※③はみずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査」をもとに作成
02. ITエンジニアの転職理由
■ITエンジニアにとっての「転職を決めた理由」
ITエンジニアにとっての「転職を決めた理由」を深掘りするために、レバテックキャリア社の記事をみてみましょう。
※回答数:170人
参考:PR-times レバテックキャリアによるエンジニア転職意識調査
上記では17種類の理由が挙げられていますが、分類すると「希望を叶えるため」「不満を解消するため」「やむを得ず」「なんとなく」の4種類に分類されると思います。
【1.希望を叶えるため】(3項目)
収入アップのため、キャリアアップのため、他にやりたい仕事が見つかった。
【2.不満を解消するため】(9項目)
会社や業界の将来性に不安を感じて、技術スキルが伸ばせないと感じたから、休日出勤や残業が多い、評価制度への不満、雇用形態を変えたい、働く環境が整備されていない、昇進が望めない、福利厚生が充実していない、教育環境が整備されていない。
【3.やむを得ず】(4項目)
職場の人間関係トラブル、会社都合、体調不良、家庭環境の変化
【4.なんとなく】(1項目)
友人・知人に誘われた
上記の【1.希望を叶えるため】と【2.不満を解消するため】は現状より条件をよくする為の転職となるため、「キャリアアップ」のための転職をまとめることができると思います。
【3.やむを得ず】の中にも人間関係や体調不良は労働環境改善のため、会社都合は会社の将来性不安と同様に将来性のある会社へのキャリアアップのため、【4.なんとなく】の友人・知人に誘われたというのもやりがいのある仕事内容や高い給与条件などのキャリアアップが含まれると考えられるため、転職を決めた理由の大半は「キャリアアップ(不満解消を含む)」だと考えられます。
ITエンジニアの「キャリアアップ」ですが、大きく分けると「仕事内容」と「条件面」の2つに目的が集約されると思います。スキルアップややりたい仕事を実現するのが「仕事内容」に関すること、給与アップや長時間労働の解消が「条件面」に関すること、といえます。
03. ITエンジニアの転職活動
■ITエンジニアの転職活動への不安
大幅な需給ギャップにより、キャリアアップ可能なITエンジニア向けの求人は膨大な数が存在します。もちろん希望する条件である勤務地、仕事内容、給与等条件、会社規模、社風など、あまりに多くを求めすぎると希望通りの求人と出会えないということもあるのですが、ではITエンジニアが転職活動を行うにあたっての不安についてみてみましょう。
170※回答数:170人
上記では12種類の理由が挙げられていますが、分類すると下記4種類に分類されると思います。
【1.転職後の環境についての不安】(2項目)
次の職場で上手くやっていけるか、転職先の開発環境に馴染めるかどうか。
【2.転職活動そのものについての不安】(5項目)
自分が入社したいと思える転職先が見つかるか、入社したい企業から内定がもらえるか、入社先をどのように決めるべきか分からない、選考面接や技術テストなど対策の仕方が分からない、転職相談を誰にするべきかわからない。
【3.現職を退職する際の不安】(4項目)
強引な引き留めなど退職交渉が難航しそう、退職までの給与やボーナスが下がらないか、退職理由をどのように伝えるべきかわからない、退職までの間職場の雰囲気が悪くならないか。
【4.特になし】(1項目)
回答率20%以上のものは【1.転職後の環境についての不安】と【2.転職活動そのものについての不安】、【4.特になし】ですね。
特になしというのは情報を扱うのに長けているITエンジニアらしい回答にも感じられますが、それでも転職に不安はつきものです。そんな不安は情報不足によるものが多いと考えられます。インターネット上の情報をうまく集めること、集めた情報をうまく活用することはもちろん、転職経験者からの情報や応募先企業からの情報など集めにくい情報にいかにアプローチするかが理解できれば、解消できるものだと思います。
04. 転職方法の種類
■転職方法3種類
そもそも転職活動をするとなったときに、転職者はどのような転職方法で転職されているのでしょう。弊社の過去記事になりますが9つのやり方を紹介した記事が下記となります。
記事の中でご紹介していない別の視点で転職方法を分類すると、求人企業の採用コストによる分類が可能です。
・企業の採用サイトやハローワーク:無料
・求人・転職サイト :広告料として前課金(10万円~100万円前後)
・転職エージェント :成功報酬(決定年収ベースで主に100万円以上)
費用対効果の側面から、それぞれの特徴を具体的に見てみましょう。
【企業の採用サイト】
採用企業の立場からすると無料で採用できるのでメリットはありますが、最初から最後まで自社の採用担当者が動くのはそれだけ人件費がかかります。またわざわざ個別企業の採用サイトに訪問してくれる転職希望者は少ないため、応募が集まりにくいデメリットがあります。
【求人・転職サイト】
企業が応募者集めのために求人サイトを利用するケースも多いですが、数十万円のコストを払って応募がゼロということもあり、また求人サイトに登録されている個人情報では判断するのに十分な情報が得られないなど、費用対効果に懸念が残ります。ただし、1回WEBで一定期間(例えば2週間)求人広告を出して採用できた場合、何人採用しようが追加コストはかかりませんので場合によってはお得になるといえます。
【転職エージェント】
採用企業の立場からすると成功報酬のためそれなりにメリットがあります。応募獲得から書類選考、面接、意思決定から退職交渉まで、最初から最後までエージェント仲介してくれるため、応募者が気づいていない本人の経験やスキル、魅力について引き出してくれることで、企業の採用サイトや求人・転職サイトから個人が直接応募されたケースと比べると比較的よい人材を獲得することができるといえます。
上記のような特徴を踏まえたときに、企業の分類を ①採用力のある大手企業 と ②採用が難しい中小企業 とに大別した場合、以下のことが想定されます。
① 採用力のある大手企業経験者が採れる。
→求人は経験を活かしたキャリアアップ求人
→募集はコストがかかってもピッタリの経験者をしっかり吟味できる【転職エージェント】
② 採用が難しい中小企業
経験者を採るのが難しい。
→求人は未経験も応募可能なキャリアチェンジ求人
→募集は無料、もしくは安価に採用できる【企業の採用サイト】【求人・転職サイト】中心
もちろん最近は大手企業のあいだでも【リファラル採用】(※)を積極的に採用することで、社員紹介による安心できる採用、コストを抑えた採用を推進していたり、(※リファラル採用とは、社員紹介などで近しい立場の方を募集し選考する方法)
中小企業の中でもニッチトップ企業など小さくても採用力がある企業は、積極的に【転職エージェント】を採用していたりすることも多く、様々なケースがあります。
別の軸で転職方法の種類を切り分けるとすると、①企業直接 と②エージェント仲介 とに大別することができます。それぞれの特徴を観てみましょう。
① 企業直接:転職希望者が直接企業に応募するケース。
書類選考:内容不十分な応募書類のため経験能力を判断できず不合格になるケースも。
面接:慣れない面接で企業側の立場や考え方を理解できず不合格になるケースも。
② エージェント仲介:転職希望者がエージェントを介して応募するケース。
書類選考:第三者目線で企業が求めるものを書類に落とし込むアドバイスを受けることで合格になるケースも。
面接:面接アドバイスにより最適な伝え方や適切な対応方法がわかることで合格になるケースも。
もちろん、書類作成が得意、面接・プレゼンテーションに自信あり、という方もいらっしゃるので企業直接の方がメリットある方もいらっしゃると思います。またネットなどで入手困難な、真偽の判別が難しい企業情報を提供してくれるエージェントであれば、自信のある方にとってもエージェントを利用するメリットは十分にあると思われます。