【(株)村田製作所】新規事業推進部「備えプロジェクト」を担う、技術イノベーション戦略部 部長に業務内容・やりがい・将来像についてインタビュー!

技術イノベーション戦略部 部長

01. 会社概要

直近10年で売上約3倍(1兆6867億円)営業利益率17.7%と圧倒的成長と高収益を実現。設備投資2500億円/研究開発1000億円以上。海外売上比率90%以上のグローバル企業。スマホ向けの積層セラミックコンデンサーシェア35%、Wi-Fiモジュールシェア60%、SAWフィルタ40%など、世界トップクラスシェア多数。
誠実、まじめ、穏やかな方が多い風土。技術開発には積極的で、原材料から設備まで自社開発を行う自前主義を徹底し、世界初、日本初にこだわり、世にない技術、真似できない技術を追求する企業。権限移譲、任せる風土があり、係長クラスから決裁権を任されている場合もあります。

02. ご経歴について

大学院を卒業して、1997年に村田製作所に新卒で入社し、圧電セラミックの材料開発部門に配属となりました。
まず入社後、最初に配属されたのは製造工場で、最初の3年間は、セラミック発振子向けの材料開発を行っていました。その後2年間のアメリカでの海外研修を経て、帰国後は、研究開発拠点の配属となり、携帯電話で使われる極薄のスピーカー等の発音部品や、アクチュエータという商品の材料の開発をしていました。
2008年頃から新しい事業を考える必要があると思い始めた頃に、外部のベンチャーキャピタル(ベンチャー投資会社)に半年ほど研修し、その後は新規事業関係の部門を経て、現在、備えプロジェクトを行う技術イノベーション戦略部を担当しています。

03. 「備えプロジェクト」について

ムラタは新しい技術に挑戦するというイメージがあります

セラミックコンデンサは昔からより小さくしていくという開発の流れがあります。商品を小さくした時に、本当にさらに小さくすることができるのかということに常に問われており、外の技術や既存の材料に変わるものを探していこうという風潮がありました。新規事業についても、何年かに一回は新しいこと、次のことをやっていこうという風土があり、それを継続することで事業がブラッシュアップされていき、数多くの新商品を生み出してきたのです。
常に独自の商品を生み出そうという風土があり、新商品比率を40%以上にするという目標を掲げていたこともありますし、新しい商品を生み出すことには貪欲です。
2年前に新しく中島社長が就任された時には、今までの取り組みに加えて、10年先を見据えた事業の仕込みをしようということ、「備えプロジェクト」がスタートしました。
ムラタのVision2030の実現に向けて、次世代通信である6G通信や光通信の世界での新規事業立ち上げや、低炭素化・クリーンエネルギー導入、資源循環および生態系保全などの環境諸課題に対する解決を社内と社外の共創を通じたイノベーションによって実現を目指しています。さらにウェルネス・生体エレクトロニクスに関わる社会変化の潮流を大局的に捉え技術開発戦略立案、将来の競争力の源泉となる外部技術の発掘も重要と考えています。また、それらを支えるこれまでムラタになかったスタートアップへの直接投資などコーポレートベンチャリングの複数の手法を組み合わせ最適な仕組みや運営組織を作り上げていく部門もございます。

「備えプロジェクト」の名前の由来についてお聞かせください

中期方針2024の中に、ありたい姿の実現に向けた「長期環境変化に対する備え」という言葉があります。この「備え」を経営戦略部で検討していこうということで、管理職以上のメンバーが集まって、「どんなことに備えるべきか」という議論を行い、その後「備え」という言葉をつけた「備えプロジェクト」が生まれました。

「備えプロジェクト」はどのようにスタートさせましたか?

2020年10月から3ヵ月間で、「備えプロジェクト」でどんなことをすればいいのかという検討会が行われました。その時のコンセプトは、長期の事業環境を考えた時にムラタの事業に甚大な影響を与える事象について考えようというものでした。“分かっているがやれていないこと”、“気付いてもいないしやれていないこと”の2つの領域を「備え」領域とし、技術分野だけではなく企業活動全体についての備えを検討しました。
例えば米中のデカップリングや南海トラフ地震といった経済に影響を及ぼすような事象に対してどうするかというのも「備え」ですし、技術面では否定技術や非連続技術といったものが該当します。様々な議論を重ねた結果、技術、政治経済、人材なども含めた「備え」テーマがいくつか出てきました。その中で私は技術関係を受け持つことになりました。
検討会終了当初はクロスファンクショナルチーム(CFT)を形成し、各方面の有識者が集まって議論をしましたが、重要な備えについては、専任組織で推進する方が良いということで2021年10月から技術イノベーション戦略部としてプロジェクトをスタート、今は30名規模の体制となっています。
ただ「備え」の領域はムラタがすでに取り組んでいることではなく、ムラタが取り組めてない知見の少ない領域だということもあって、社内人材だけでの推進は難しいということが課題です。

現在はどのようにプロジェクトを進めていますか?

「備え」の各チームでは、少なくとも毎月1回、関係部門との打ち合わせを行い、ロードマップや戦略の議論をしています。あとは半年に1回、備えプロジェクトのモニタリングを行い、経営層に進捗状況を報告しています。備えプロジェクトで得られた知見については、報告会等を実施しながら、社内への理解を浸透させる取り組みも進めています。

第1フェーズは一旦終わったということですか?

そうです。例えば、10年後の6G通信や光通信の世界、環境問題、生体のエレクトロニクス化といった将来の変化を妄想する中で、具体的なターゲット領域が見えてきたので、今まさに専門人材を集め、ここから3年位はその領域に注力することになります。

プロジェクトのマイルストーンについてお聞かせください

2021年にスタートし、これまでの2年位で、どういう方向性の領域で、どういうことをしなければならないかということがテーマとして見えてきました。ここから3年は、そのテーマを具体化して、リアルなものをつくるフェーズに進む段階でもあり、専門知識をもたれた人材を採用して、仮説検証を行っていきたいと思っています。そして、3年後に具体的な事業プランが見えたら、事業化するためのプロジェクトを組んで進めていくことになります。

事業化するかしないかの取捨選択も行っていきますか

「備え」の全プロジェクトが100%成功することはないけれど、私たちとしては何かにチャレンジすることが重要だと考えています。成否にかかわらずチャレンジすることによって分かることもあります。例えば、それがうまくいかなくても、その経験が知見となって、それがムラタの財産にすることもあります。数多く失敗するかもしれませんが、まずはやってみることが重要だと考えているので、積極的にいろんなことにチャレンジしていきたいと思っています。
私たちは失敗を恐れることなく、そこまでに至った過程で、みんなが得た知見や自己成長できた部分があれば良いと思っています。
部門では、メンバーが新しい技術に取り組み、スキルをどれだけ身に付けたかということを重要視して、評価育成する体制にしようと考えています。だからこそ、コンサルタント等の外部有識者から専門知識を得るだけでは無く、そういったものを活用しながらも自らスキルと知見を身に付けイノベーションを起こせるような人材や組織に成長していきたいと思っています。

仕事のやりがいについてお聞かせください

社内外を見ても自己裁量で仕事を進められる部門では無いかと思います。管理職でなくても、マネージャーや担当レベルの方でも全社にとって必要なプロジェクトを担当できますし、それだけ責任が重い仕事と感じられるかもしれません。また関係部門と一緒になって、会社に貢献している実感を得られる大きなプロジェクトを担えることは、メンバーのモチベーションになっていますし、これをやるぞとなった時のメンバーのモチベーションはすごく高いと思います。

職場の雰囲気についてお聞かせください

私たちの部門はコミュニケーションが盛んです。最近ではスポーツ大会をしましょうとメンバーから発案が有り、先月はソフトバレーの試合をやりました。次はコロナが明けたのでビアホールに行きましょうとメンバーが積極的に提案してくれています。我々のような企画部門ではコミュニケーションが重要なので、それを察していろんなイベントを開催してくれているのだと思っています。キャリア入社の方にとってもとても入りやすい雰囲気で、楽しく仕事ができる環境なので不安なく入っていただくことができると思います。

04. 働き方について

部門の基本的なスケジュールについてお聞かせください

報告の場としては、週に1日、各課でコミュニケーションミーティングがあり、月に1回、各課で担当に対する報告会が開催されます。4半期に1回は部門として経営層に対しての報告を行うのが基本的なスケジュールです。それ以外については、メンバーそれぞれが自部門や関係部門と議論をしたり、出張や顧客訪問を通じて外部情報の調査を行ったり、自分の裁量で企画テーマを推進していることがほとんどです。

新たな技術に関する情報収集はどのように行っていますか

技術イノベーション戦略部という名前の通り、「備えプロジェクト」の遂行に当たってイノベーションの創出に拘りたいと思っています。イノベーションとは、“新結合”と表現される通り、既存の技術や仕組みに全く新しい技術や考え方を取り入れ新たな価値を創造するものなので、社内技術のみならず社外の技術や動向も注視しておく必要があります。「備えプロジェクト」では海外拠点のメンバーとも連携しながら、スタートアップの技術や新しい技術トレンドを得たりしています。よって国内だけでなくグローバルにアンテナを張っています。また、海外拠点にも人材を配置し、現地のメンバーから生の情報を得ながら常に最新の技術情報を収集しています。

 

05. キャリアパスや求める人物像ついて

今回、外部から人材を採用する背景についてお聞かせください

まずは先ほどお話しした通り、「備えプロジェクト」の「備え」の領域というのは、ムラタにとって専門ではない領域になるケースが多くあります。そのため、その領域に知見のある専門家やあるいはある程度経験のある方に来ていただかないとプロジェクトが進みません。
具体的にいうとムラタではハードウエアをやっており、ものづくりや部品、デバイスの開発は得意ですが、例えば、もう少し領域を広げて、システムや通信ネットワークを開発しようとすると、やはりシステムやソフトウエアに強く、知識のある人材が必要になります。
もう一つは部門として、ある程度ダイバーシティを許容する組織、つまりいろんな経歴や属性を持った人材を集める方が組織的なイノベーションを起こせるのではないかと考えています。よって今回、キャリア採用を積極的に行うことにしました。
コンサル会社に協力いただいているプロジェクトも何件かありますが、戦略を作るためにはムラタとしての視点が必要であり、つまり社内人材だけで戦略が作れることが理想です。10年先を見据えた長期的なプロジェクトでもあるので、やはりキャリア人材を獲得し育成しながら、そこで戦力として更に成長して頂く方がよいと考えました。

プロジェクト終了後のキャリアプランについてお聞かせください。

基本的にプロジェクトで取り組むテーマに関しては、失敗前提で進めることはなく、成功することを信じて取り組んでいます。よってそのプロジェクトが事業化する場合には、その事業立ち上げ、運営に携わっていくのも一つのキャリアにもなりますし、事業引き受け部門に移管し、新しいプロジェクトに関わるというキャリアもあると思います。いずれのキャリアを積むにしてもメンバーはプロジェクトを通じて、新しいスキルや経験を身に付けることができると思っています。例えば、企画をするためのロジカルな考え方や、関連部門と連携するためのコミュニケーション能力、プロジェクトを推進するためのリーダーシップ等があります。取り組みテーマが進めば、数多くの仲間が増えて、ネットワークも広がります。キャリア入社の方にとっても、多くの関係部門と関わり、早い段階で人的ネットワークが広がると思います。連携を通じていろんな部門の業務を知ることもできるので、プロジェクト終了後も新しい仕事で次のキャリアを目指していただくこともできます。

06. 転職希望者へメッセージ

ムラタの「備えプロジェクト」を担う新規事業推進部に興味をお持ちの求職者に向けてのメッセージをお願いします。

会社にとって大きな事業をつくりたい人、いろんな妄想を巡らせながら新しい将来や世界を変えるようなことを技術でも事業でも創造することに挑戦してみたいと考えている人に来ていただきたいと思います。
周りのみんなと仕事をして何かをつくり上げたいというパッションをお持ちの方にぜひ来ていただきたい。
キャリア入社の人材が増えれば、ムラタのダイバーシティが広がって、新たなイノベーションが起こせるのではないかと考えているので、やる気があればぜひ一度お話ししたいと思います。

 

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

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