【パナソニックインダストリー(株)】ITトップメッセージ!IT革新を進めるインダストリー社の今とこれからについて

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常務執行役員CIO兼CDO 帆足様(右) 情報システム革新センター 戦略企画部長 角様(左)

01. 会社概要

パナソニックグルーブの中で、電子部品、制御デバイス、電子材料等のBtoBソリューション事業をグローバルに展開しています。「車載」「情報通信インフラ」「工場省人化」など好調な業界と共に売上拡大を図っており、世界シェアトップの製品も多数。デバイスからシステムまで幅広いソリューション提案でお客様価値の向上に取り組んでいます。

02. 部署の役割やミッションや未来について

情報システム革新センター(以降ISIC)の役割やミッションについてお聞かせください。

帆足様:パナソニックインダストリー(以降:PID社)のITやDXは、他社に比べて遅れてはいませんが、進んでもいません。2022年4月にホールディングス化して、これからは事業会社としての競争力を高めて勝ち残っていくことを目指しています。
PID社ではITやデジタルの力を使って会社を変えていくことがとても大事だと考えており、私がチーフ・インフォメーション・オフィサー(CIO)、チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)としてキャリア入社してきたこと自体が、PID社がITやデジタルを使って本気で変わろうとしていることを象徴しています。
そして、ITやデジタル、データの力を活用して会社を変えていこうとしているからこそ、これからやらないといけないこと、やりたいことがたくさんあり、IT部門には多くのチャンスがあります。私はIT部門の人たちに、単にシステムを開発しようとか既存のシステムを安全に保守運営しましょうという話をするつもりはありません。これから新しい事業をつくっていくために、私たちが変革のドライバーになりましょうという話をしています。
ITとDXを武器に会社を変えていく、事業を変えていく、経営を変えていく原動力になりたいのです。社内IT部門というと黒子のイメージがありますが、私たちがいないと会社が変われないくらいの存在になりましょうとメンバーに話しています。これから人の採用や育成、組織風土を変えていくことに本格的に取り組んでいきます。

PID社の今後の展開についてお聞かせください。

帆足様:これまでは松下電産、松下電工、三洋電機の3社および複数の事業体が単に足し算された会社で、情報システムも業務プロセス、オペレーションも単に昔のまま足し算されていました。これまではそれによって個々に先鋭化されていたという強みがありましたが、今後はそれを一体化し、融合することによって、新たなシナジーを生んでいこうと考えています。そのシナジーを生んでいくことが私たちISICにとって大切なことであり、求められていることです。事業を超えて一体化し、全体を最適化していきます。例えば、スタッフ部門も一体運営して会社を支えていくことで、シナジーが生まれて、よりパワフルになれると考えています。PID社はそんなポテンシャルを持った会社だと思っています。

今後、思い描いている姿について教えてください。

帆足様:PID社では2030年に売上1.8兆円、営業利益率15%という経営目標を掲げました。その目標を達成するために、私たちはITの観点、DXの観点および人と組織の観点で、今年度、中期的、長期的にそれぞれ目指す姿を定めたロードマップを策定しました。逆に言えば、それを達成していないと冒頭に述べた経営目標を達成することができません。
まず今年度については、足元固めを行っていきます。ITをモダナイゼーション(現代化)する、コードマスターを統一する、クラウドの活用を進める、SCMの整流化するなどの取り組みを行います。これはPID社だけでなくパナソニックグループ全体の方向性となっています。
DXの観点でいうと、部門ごとで個別に取り組んできたデジタル化をさらに高めることを目的として、全社一体運営に着手します。人・組織の観点でいうと、まずはIT部門の足腰を鍛える取り組みを始めました。既存メンバーのスキルアップのためにきちんとIT人材の育成領域をつくり、キャリアディベロップメントプランをつくり、それに対しての育成プログラムを当てはめ、体系立てて育成していきます。また、私たちに不足している人材は人材紹介などを使って獲得していきます。同時に組織風土の観点からは、プロジェクト的ではなく、アジャイル的な働き方に変えて、挑戦していく文化を根付かせます。ITはどちらかというと受け身の組織ですが、提案型で自ら動く組織風土に変えていきます
他方で目標として掲げているのは「全社のメンバーが変革人材になりましょう」ということ。その下地として、全社員のITリテラシー、デジタルリテラシーを高めるプログラムを開始します。啓蒙活動の一環として、ITの取り組みだけではなくて、DXへの取り組みを紹介するレポートを発行するなど、様々な取り組みを行っています。
今年度については、こうしたIT、DX、人・組織の3本柱の足元固めを行っていきます。
角様:先ほども帆足が話した通り、もともと異なった組織が拠点ごとに事業運営を行っており、情報システム部門としては各拠点の事業運営を支えるためのIT化をしてきたのがこれまでの立ち位置です。PID社では各拠点でそれぞれ違う事業を行っています。例えば、デバイスの中でもキャパシタ事業、コンデンサ事業、モーター事業などを拠点ごとに行っていました。それを2022年4月から拠点も人も一体化して、営業部門、IT部門、生産部門、開発部門と機能軸で組織化しました。
各拠点で行っていた事業の競争力を活かすためのITの強みや課題をPID全体で共有化して、それぞれの強みを掛け算していくことが、情報システム革新センターの果たすべき役割だと思っています。

事業も運営も異なる組織に横串を通す進め方についてお教えください。

角様:全体最適のために標準化すべきところとそれぞれの強みを活かすために先鋭化すべきところの棲み分けをしたうえで、取り組みを進めています。業務オペレーションにはそんなに大きな差はないと思っています。基本的には全体最適を進めていきながら、事業部の強みを活かすオペレーションやお客様にとってキラーパス的な存在になっているところは、その強みを活かすといった棲み分けをしています。すべてを均一にするのではなく、強みは強みで活かしていきましょうと提案しています。国内では50歳代以上の人口が半分を占めている中で、生産を支える人たちも急激に減っています。どこの拠点責任者や事業部長も労働人口の減少に対応するために業務の標準化、あるいは共通化を進めなければならないことは課題であると考えているので、こうしたことにも向き合いながら、さらに取り組みを進めていく必要があると思います。
帆足様:入社してから一番注力しているのは、事業部長や本部長の方々と私たちがやりたいことを相互理解するためのコミュニケーションです。私が話していることと事業責任者の方向性や現場の実態が同じでないとIT部門のメンバーがとても困るので、そんなことが起こらないようにしっかりと話し合いを行っています。
また、私が話していることをメンバーにもしっかりと理解してもらうために対話会を頻繁に行っています。

対話会はどんな雰囲気を行われていますか?

角様:もともと別会社で生い立ちも場所も違っていたので、各拠点の人同士で対話することがありませんでした。だから、職制表で名前を見たことはあるけれど、会話したこともなく、人となりもほとんど知りませんでした。対話会では半分を雑談にして、趣味などの仕事以外の共通の話題を含めて、全員が遠慮なく発言できるようにしています。ある特化した仕事の話になると、それに詳しい特定の専門家しか話せなくなるので、共通の話題で会話できるように進めています。あとは、門真市の本部で取り組んでいるテーマ、導入したシステム事例、構想・企画検討している内容、こんなことができた、といったことなどを共有するテーマ共有会を開催しています。この会には拠点メンバー含め、情報システム革新センターのほぼ全員が参加しており、センター内の動向や方針などに、全員が興味も持ってくれるようになってきています。
こうした取り組みはこれまでできていませんでした。まずは場と機会をつくって続けていく中で、興味を引き出すことから始まって、どんどんメンバーの気持ちが外に向いていくようになりました。それが結果として、マインドでつながるようになり、マインドがつながっていくと全体最適の価値や意味も少しずつ理解し始めるようになったと思います。
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03. 今後のパナソニック社の変革について

今こそ変化しようという雰囲気が御社に広がっていると感じます。

帆足様:入社してから私が「あれをしよう」「これをしよう」と新たな提案をたくさんしました。最初はみんな半分懐疑的に見ていたと思いますが、何度も私の考えを話して刷り込みしていくうちに、だんだんみんなが「あぁ、そういうことか」という風に変わってきた部分があります。さらに最近は、変革が必要な要素がいっぱい重なってきているので「変化が必要だ」という機運が高まっていると思います。
4月1日に創業にあたってオープニングデイを開催しました。そこで坂本社長がどういう思いで経験理念をつくったのか、みんなで一丸となってやっていこうという話の後に、パネルディスカッションが行われて、私も登壇させていただきました。IT部門の責任者を呼ぶことは、「ITは大事だ。だから、みんなでそれをうまく使って変わろう」という坂本社長のメッセージだったと思います。そういう意味で、会社の経営トップも重要視していると社員が感じて、ITやDXに対する機運が高まっているのは間違いないと思います。

経営トップが本腰を入れるIT変革のテーマについてお教えください。

帆足様:私たちは外部から人材を入れて、大きなテーマを動かしています。全社的な取り組みとなっており、私たちスタッフ部門に加えて、経理、経営企画、営業本部も参加し、事業部もすべて参加して体制をつくっています。
取り組んでいるテーマは2つあります。
一つは全社SCMの変革です。SCMを大刷新しようと取り組んでいます。今まで事業部ごとにバラバラだったものを一体運営することで全社最適化を進めています。ただし、個別でやるべきところはきちんと見極めながら、全社を挙げて取り組んでいます。
もう一つは全社DX運営で、これも全社を巻き込んで進めています。個別で進めていたデジタル化をバリューチェーン化して、PID社としての価値創造に取り組み、デジタルデータプラットフォームを共通でつくって、その上で各事業部がやりたいことに専念できる体制づくりに取り組んでいます。
この2つのテーマを成功させるために、それぞれの事業部のトップ、役員としっかり握って取り組みを進めて、一体運営すること、可能な限り例外を認めないことが、私の重要な役割です。
自分たちの背丈を超えた取り組みに挑んでいるので、やる気があって元気な人と一緒に仕事をしていきたいと思っています

多様なビジネスのSCMを一体運営化する難しさについてお聞かせください。

角様:私もそうですが、ある事業を担当していると、別の事業のことは分かりません。そんな人たちが集まって一緒に全体最適をつくるのは難しいどころか、何をどうすればいいのか、何が正しいのか、分からないところからスタートしているのが状態です。そこは私たちの力だけではなくて、外部の力も借りながら一緒に進めています。
帆足様:逆にゼロからつくっていくから面白さもあります。やらないといけないこと、やりたいことが一杯あって、本当の上流工程から携わることができます
角様:プロジェクトにはIT部門以外にも、事業部の営業、調達部門のメンバーが入ったりしています。先ほど申し上げた通り、みんなが分からないので、みんなが想像しながら企画を立てます。否応なく想像することが、その人たちの仕事になるというところは面白いと思います。
帆足様:既成概念にとらわれずに仕事ができるから面白いと思います。今までこうだったからには固執しないでやろう、まったく新しい世界を描こうと話しています。だから、あまりAs-Isを掘りにいかない、As-Isを掘ると近視眼的になります。売り方が違う、つくり方が違う、それを最小限で組み合わせてプロセスをパターン化する。それが標準化です。こうした創造的なアイデアを考えていく仕事はとても楽しいと思います。

一から生み出していく仕事になるのですね。

角様:これまでの生い立ちでいくと、各拠点で整備された基幹システムがあって、その運営に携わっている人がたくさんいましたが、そのシステムは過去のレガシーとなり、これから事業会社として一体化して事業を展開していくために、一から生み出すということに邁進していくアプローチにフェーズが変わりました。
これまでの歴史でいうと、PID社の前身の会社が非常に厳しい経営状態になり、もともとデバイス事業はICT市場が中心でしたが、これからは車載や産業の市場に大きく転地を図っていく中で、事業として発展が見込めないものは撤退や終息、譲渡し、ポートフォリオの組み換えを行いました。今後についてはPID社が持つ事業の強みを発揮して、競争力をつけて世の中に出していくフェーズに変わり、帆足がCIO、CDOとして入社して、IT部門はPID社が基幹システムを一体運営して、その競争力の源泉となっていくフェーズに変わりました。今回募集するキャリアの方にはその波にうまく乗っていただけたらと考えています。
帆足様:やらされている仕事は面白くない、自ら率先して仕事に取り組めるような組織風土をつくりたい。日頃、メンバーに話しているのは、なりたい自分を描いて欲しい、そして、それを実現する場所がここだと思ってほしいということです。そう思えたら仕事も自分から取り組めるようになるし、やりたいことも明確になります。みんながなりたい自分を目指して、生き生きと働くようになれば、職場そのものが生き生きとした場所になります。それがつまり、外から見ても内から見ても魅力のある会社になることにつながります。
会社をつくっていく状況の中で、仕事ができるのは面白いと思います。単にこのシステムをつくっておいてというような仕事をしてもらうつもりはありません。
人事の考え方も4月から変わって、こんなキャリアを築きたい、こんな教育を受けたいと自ら申請するようになっています。組織や会社からこの年齢になったから、この教育を受けなさいというような制度ではなくなっています。自分はこうなりたいがまずあって、そのために自分はこの年齢ならこの知見がなくてはいならないから、この教育を受けておこう、自分で考えて自分からやりましょうというふうに変わりました。
角様:この仕事は、自分で考えて、自分で想像して、それが当たっているとか外れているとかを気にしていたら、多分しんどくなります。想像したことをみんなでディスカッションして、それをカタチにしていくことを繰り返していくと面白さを感じられます。
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04. 業務のやりがいについて

こんなことが実現できたら面白そうだというカタチはありますか?

角様:個人的に思うのは、いろんな部門の人たちがエクセルやパワーポイントでいろんな報告をしたり、データを見てそのデータによって意思決定ができたりするようなカタチになっていくと、現場の人が変わってくるのではないかと思っています。製造現場でも製造実績のレポートをつくるのに、実績をわざわざ集計するのではなくて、現場の設備の状況や品質の状況をリアルタイムで確認しながら、何が起こっているのかという変化から予兆管理ができるようになると経営のサイクルも変わってくると思います。それが製造、開発プロセス、営業の各チームでも、データで意思決定できるように仕事のやり方が変わっていけば、私たちの目指すスタイルに近づけると思います。
帆足様:今の話をバズワードっぽく面白く表現すれば、私たちの目指すのは「超高速PDCAを実現する」とか「異次元のQCDを実現する」みたいになりますが、つまりちょっとした改善ではできない、すごく大きな変革をするということです。それはオープニングデイで社長から、「DXの意味とは、職場を変えましょう、仕事のやり方を変えましょうということだ」とメッセージを発信されました。
結局、DXで魅力ある職場を実現するというのは、やっぱり人は人にしかできない価値創造するような仕事をしましょうということです。エクセルの集計などは機械に任せる、データがどこにあるのか探し回るのも無駄な仕事です。データはすでに集められていて、それを共有しながら話をするから、誤解がなくスムーズな会話になります。こうすることでメンバーがデータから見えるインサイトに対策を打って実行することがすぐにできるようになります。あくまで一例ですが、こうしたことをグローバルできちんとやる、そこにも仕事の醍醐味があって、今は日本でやっていることを次はグローバルで展開することでスケールの大きな仕事を経験できると思います。

仕事のやりがいについてお聞かせください。

帆足様:どんなことをするのかという企画するところから一緒に考えていける立ち位置にいます。取り組むテーマの大きさに醍醐味を感じていただけると思います。
角様:先ほど、会社の中でデータによって意思決定できるようになりたいと話しましたが、個人的にはそこからお客様とつながって、お客様と一緒に意思決定できるところまでくれば、かなり最終的な姿が見えると思っています。
良品の中でも製造の品質のランクによって、お客様のモノづくりの製造プロセスのレシピが変わります。そこでお客様に日常の生産活動の中でも私たちの検査した品質データを提供して、お客様の製造レシピを生産設備に自動反映して、お客様のモノづくりも自動化させることも可能になります。お客様と一緒になってトータルのリードタイムを短くしたり、品質の向上につなげたりする、これは一端ですが、こうしたことが自分たちの部門内から始まって事業体となり、それをグローバルに展開し、お客様に面対応できるようになると、付加価値は非常に高まってくると考えています。
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05. 転職希望者へメッセージ

御社に興味をお持ちの転職者の方にメッセージをお願いします。

帆足様:今までできていたことを続けるだけでは、競争力強化という点からは、経営目標である2030年売上高1.8兆円、営業利益率15%は達成できないと思います。当然、製品力やソリューション力を高める事業が先鋭化させていくことは必要不可欠です。さらに、これからは私たちが働き方を変えるとか、角が言ったようにお客様との接点を深めるとか、お客様の体験を変えるといったところまでやっていくことが絶対に必要になります。それをこれまでの人数の半分でやらないといけない。10年後に労働人口が半分になる。これまでのやり方をこのまま続けても、今までと同じことができるわけがありません。課題や会社・事業が目指している方向も明確です。そのために私たちがこう変わらないといけない、こうしないといけないと自分で企画して実現していく仕事だから面白いと思います。
角様:一人ひとりのメンバーに自分で考えて仕事をするといったことを数多く体験してもらうのが私たちのやるべき役割です。しかし、拠点の人たちは日常の足元の課題に忙殺されているという現実もあります。そういった負荷を可能な限り削減して、新しいことや創造的な仕事に時間を使ってもらいたい。キャリアで入社された方にも、そんな体験をしてもらえるような仕事に専念できる環境をつくっていきたいと考えています。
帆足様:PID社が4月に制定した経営理念の中に4つのコアバリューというのがあり、その中で最も大事だと真ん中に置かれているのが「人財資産」です。冒頭に3つの軸、IT、DX、人・組織と言いましたが、人・組織がなければITもDXもできません。創業者の松下幸之助の言葉通り「ものをつくる前に人をつくる」会社です。その言葉が今も大切に受け継がれている当社のDNAです。

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長友 美悠

株式会社タイズ

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