三菱電機エンジニアリング株式会社 姫路事業所のメカトロ技術部についてお話を伺いました。

メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載している三菱電機エンジニアリング株式会社の姫路事業所 メカトロ技術部 システム開発課長 藤原巧様に、コンサルタントがインタビューさせていただきました。

メカトロ技術部 システム開発課 課長 藤原巧様のご経歴

2000年に入社。主にガソリンエンジン制御用コントロールユニット(以下、ECU)の量産用試験検査装置の開発設計を担当。また、国内外の工場・生産ラインの立ち上げにも参画し、5か国の海外拠点の立ち上げに携わる。2011年に本社に異動となり、全社的な経営企画やグローバル化に向けた事業計画に3年間従事。2014年に姫路事業所に戻り、現在は事業所全体で注力する電動化車両用のインバータ試験検査装置の開発リーダーをつとめる。

三菱電機エンジニアリング(株) 姫路事業所について

自動車用電装品・システムを中心に、自動化生産ライン設備・試験装置も開発・設計しています。特に、自動車用電装品については、ハイブリッド車・電気自動車用インバータや車載用充電器、エンジン制御システム、電動パワーステアリング、ETCなどのカーエレクトロニクス製品やスタータ、オルタネータなどのエンジン電装品の開発・設計で重要な役割を果たしています。

※ETCは、財団法人道路システム高度化推進機構の登録商標です。

目次

1.入社後から現在まで
2.仕事内容について
3.企業風土について
4.中途採用について

 

入社後から現在まで

自動試験検査装置(公式HPより)

入社当時、藤原様はどのような仕事をご担当されていましたか?

2000年に入社し、「試験装置技術課」に配属され、ECUの量産ライン試験検査装置の設計を担当しておりました。三菱電機株式会社姫路製作所(以下、三菱電機(株))や三菱電機(株)の海外生産拠点で自動車のECUを生産しており、この試験検査装置は三菱電機エンジニアリング(株)と三菱電機(株)で内製化してつくられている独自の装置です。検査する製品が手のひらサイズなのに対し、試験検査装置自体はさまざまな機能が必要な分、とても大きく、また手で測れば何時間もかかるようなものを短時間で検査できてしまうことに初めは驚きました。

―――試験検査装置は三菱電機(株)と共同で開発されていたのですね。

そうなんです。当時は三菱電機(株)に、試験検査装置を担当する工作技術部門がありましたが、当社が、試験検査装置を自社製品として一貫して請負うことになりました。90年代から車の電装化が進んだことに伴い、試験を行うメインの対象がモータから電子制御用コントロールユニットに移行、試験対象の複雑化により、三菱電機(株)と当社で試験検査装置をより高機能なものにしていきました。

2000年に入社されてから、ずっと試験設備の開発設計を担当されていたのでしょうか?

約11年間設備設計に携わった後、2011年からは本社(東京)に異動となり、全社的な経営企画やグローバル化に向けての事業計画を3年間担当しました。 具体的には、 姫路事業所とは別に当社のメカトロ事業を統括する組織に対し、全社的な立場から経営企画やサポートを行っていました。例えば、当時私が担当させていただいた中に、エレベーターの設計業務を行う当社の稲沢事業所があったのですが、生産量の多い中国においてカスタマイズされたエレベーターをつくる際、「日本からの輸出ではなく、現地調達で設備をつくるためにはどんなことができるか」等といったことを全体最適の目線から考え、チャレンジすることをサポート、仕事の計画や企画を練らせていただきました。

仕事内容について

藤原様が今まで、「一番苦労したけどやりがいあった」と印象に残っている仕事について教えて下さい。

入社4年目に、チェコの工場で現地の生産設備を立ち上げるプロジェクトに、一番若手のメンバーとして参加しました。通常であれば、国内で生産して、ある程度普及したものを現地化するところ、このプロジェクトでは国内生産していないものを、いきなり海外でモノづくりをしていこうという流れでした。その当時は、頻繁にチェコと日本を往復する日々で、昼間は現地の技術者に、メンテナンス含め「試験検査装置とはどういうものなのか」についてレクチャーし、夜は自身の仕事を行うということを繰り返しました。中でも、製品試験については、製品の中身まできちんと理解しないと検査が実行できませんので、試験検査装置の概略や製品についてのレクチャーをイチから行う必要がありました。そのため進捗が他のメンバーに比べ遅れてしまい、また、あらかじめ設けられていた指導時間では足りなかったので、別枠に時間を設けて指導に当たるなどもしていました。どうしても自身の仕事は後回しとなり夜遅くまで作業する形になっていたので、当時は本当に苦労しましたが、日本に帰る1日前に、現地の技術者に呼ばれて、「非常に一生懸命に教えてくれて本当に心強かった」と感謝の言葉をいただき、とても嬉しかったのを覚えています。現地の方と一緒に仕事をし、長い時間を過ごしたことで、文化の違いや仕事の習慣の違いを理解し合えたことも良かったと思いますね。

―――仕事の域を超えて、人と人として心でつながったんですね。

そうですね。苦労した分、現地の文化を理解する大切さなど、たくさんの学びや達成感を得ることができた仕事として、非常に印象に残っています。

―――こういったプロジェクトも三菱電機(株)と共同で行われるのでしょうか?

そうですね。三菱電機(株)と当社で役割分担とすることが多いです。例えば、 三菱電機(株)は加工プロセスを中心に担当、検査は三菱電機エンジニアリング(株)が大部分を担当、といった具合です。特にECUなどは専門的な知識が必要になりますので、電気系エンジニアが必要になってくるということもあり、当社が中心になって担当させていただいています。

現在も海外案件にたずさわることは多いですか?

最近はとくに海外案件が多く、私が所属するメカトロ技術部システム開発課は、先行開発に近い立ち位置で、インバータや自動走行に関連する製品群の試験検査装置を担当しています。当然、既存のオルタネータの試験検査装置や、ECUの試験検査装置などについても、メカトロ技術部の他の課で担当させていただき、製品がある程度、現地調達化できるようなものであれば、当然現地で調達していきますので海外に出張する社員も多いです 。

―――藤原さんが担当されている仕事としては、先行開発を国内で行い、海外に向けて発信する、ということでしょうか?

そうですね。今の仕事としては、海外にも持って行くことができるような設備を国内で立ち上げることですね。

―――海外生産が中心になっている製品も多いのですね。

国によってさまざまですが、製品によっては海外生産が中心になっているものもありますね。

自社で開発・設計している検査設備や生産設備は昔に比べて増えているのでしょうか?

もともとは完成品のECUとその制御基板の機能検査(ファンクションテスター)が中心でしたが、現在はインサーキットテスターや外観検査装置、エイジング装置、半導体パワーモジュールの検査など多岐にわたっています。単品から完成品まで一貫して検査の提案ができるようになり、お客様への提案の幅は非常に増えてきたと感じています。

検査設備は品質の要になりますし、責任の重さやプレッシャーは相当あるのでは?

そうですね。とくに量産直前は不良品を選別しなければならないということに加えて、絶対に納期に間に合わせなければいけないというプレッシャーもありますね。その分、やりきった時は大きな達成感が得られます。

また、スピード感をもって仕事を行うために、開発の早い段階で私たちも一緒に入り込んで試作を行い、現在は検査の仕様を標準化して、量産の効率を上げていこうと取り組んでいます。

企業風土について

三菱電機エンジニアリング(株)の社風について、藤原様はどうお感じになられますか?

真面目で、きっちり仕事をする方が多いですね。例えば、トラブルが起こった時の対処や、製品の量産が目前となり、投げ出せないような状況下では、しっかりと周囲とコミュニケーションをとりながらきちっと積み上げていくような仕事の仕方でないと、上手くいかないと思います。さまざまなチャレンジをしていて、ある程度オールマイティで特定のゾーンには強い、そんな真面目な人材が活躍していると思いますね。

御社では、三菱電機(株)の研修を受講できる制度や、他事業所と一緒に研修を受講するなど、部門や事業所を超えたつながりが強いと感じますが、いかかでしょうか?

実際、部門や事業所を超えたつながりは強いと感じます。例えば研修に関していうと、私自身がアナログ回路を14~15年担当しているので、講師を担当しております。

講師として教えていく中で、製品固有の技術も大切ですが、要素技術というところにつながることが非常に重要なポイントだと感じます。全社的にも、固有技術のベーシックにある要素技術に注力していて、固有技術は三菱電機(株)、三菱電機エンジニアリング(株)はそれを支える共通技術というところに対して力を入れていきます。私自身、三菱電機(株)の技術者メンバーと勉強会をさせていただいており、開発する部隊と量産する部隊に求められる技術領域は少し異なると思いますが、そこのメンバーが勉強会の場でレベル差を感じることなく話をすると、やはり要素技術が大事だなということを実感できますし、私も講師を継続していきたいなと思いますね。

そういった意味では御社は成長できる機会が非常に多いという印象を受けます。

三菱電機エンジニアリング(株)はグループ会社ではありますが、三菱電機(株)という大きな組織の中で、社内外の優秀な方と一緒に仕事をして学べるチャンスが多くあります。若手にはどんどん現場に出て、刺激を受けて成長してほしいですし、できるだけそういった機会を設けてあげたいなと思っています。実は私自身も若手時代に社内研修へ積極的に参加しており、所属部門にもそれを応援してもらっていました。当時は業務との兼ね合いや研修課題などでとても大変だったのですが、その分鍛えられて今につながっていると実感していますね。

会社のイベントなどでのつながりもあるのでしょうか?

例えば、三菱電機エンジニアリング(株)の全事業所が集まる野球大会があります。このイベントに参加したことによって、本社(東京)に異動した際にも「野球大会の時の人だよね」と声を掛けていただいたりと、仕事以外の場で出会った方々とのつながりが、その後の仕事に活きてくることもありました。仕事だけではないつながりの大切さを感じますね。

中途採用について

姫路事業所 メカトロ技術部で働く中途採用者にはどんな方がいらっしゃいますか?

前職で電気工事をやっていた社員や製品設計をしていた社員もいます。経験に関係なく、自分自身で分からないことや思ったことを調べようとする姿勢が大事で、自分のアイデンティティや疑問を自分の足で解決しようとする技術者は、1年もすればある程度形になってきますし、3年もすれば自分で装置一つ担当できてしまうくらいに成長します。また会社としても、その方に合わせた成長プランを用意しますし、成長できるフィールドが広がっていると思います。環境は整っていますので、本当にやる気次第ですね。

どんな方と一緒にはたらきたいですか?

ある程度自分の裁量で決められる人は重宝されると思います。特に姫路事業所のメカトロ技術部システム開発課は生産ライン用の試験検査装置をやっているので、生産ライン特有のスピード感が求められる状況下で自分の仕事と同時に、トラブル対応などの割り込みの仕事が発生することもあります。そういった状況を前向きにとらえて、会社からの支援を受けて解決できるような人物が必要だと思います。

また、私の所属するシステム開発課の方針で「感謝の言葉を口にする」を掲げています。当たり前のことですが、一緒に仕事をした方や、助けてもらった方に対して感謝の気持ちを持つことが大切で、それは今後の人間関係や、製品開発時に部門を越えた支援を得やすい職場風土につながると思います。そういった気持ちを持てる方と一緒に働きたいですね。

本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

コンサルタント藤田

担当コンサルタントからのコメント

お話を伺う中で、「切磋琢磨」というキーワードを感じました。

会社内でのやり取りや、部門を超えた研修など、周囲に影響され影響を与えながら成長できる環境が整っており、また三菱電機(株)との関係においても、ただ単に業務を請け負っているだけではなく、お互いの得意領域を活かし担当を分けながら共に成長していくことで、企業としてもより高みに進む。こうしたエンジニアとしての成長につながる環境こそが同社の魅力だと改めて感じることができました。

※掲載内容は取材当時のものです。

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この記事を書いた人

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藤田 翔

株式会社タイズ

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