【オムロン(株)】 制御機器事業部(IABカンパニー)検査システム事業部の開発部長に業務内容や求める人物像についてインタビュー!

オムロン長尾様1

検査システム事業部 開発部 部長 長尾様

01. 会社概要

オムロンのIABカンパニー(以下、IAB)は、お客様のモノづくり製造現場の革新に貢献することが役割です。
その中核にあるのが、オムロン独自の「センシング&コントロール+Think」技術です。現場から必要な情報を取り出し(センシング)、蓄積したデータから人の知恵をプラスして機械が解析し(+Think)、現場にソリューションとして提供する(コントロール)というコア技術を通して、IABは「人の代わりに機械を使う時代」から「人と機械が分業する時代」を経て、今、そしてこれからを「機械が人のクリエイティビティーを引き出す『協調と調和』が求められるモノづくりの時代」と捉えています。その実現のため、既存技術に捉われずAI、ロボティクス、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとした最先端技術も常に取り入れ、活用しています。
2016年からは、IABの価値創造コンセプトとして「i-Automation!(アイオートメーション)」を掲げています。これは「integrated」(制御進化)、「intelligent」(知能化)、「interactive」(人と機械の新しい協調)という3つの「i」を軸に、ファクトリーオートメーションにイノベーションを起こすべく、お客様とともに課題解決に取り組む指標です。昨今、団塊世代の熟練工のリタイア、少子高齢化による労働力人口の減少など、人材関連の社会課題が深刻です。IABはこうしたモノづくりに携わる「人」にフォーカスし、これまで培ってきたオートメーション技術ノウハウを作業の「自動化」や「効率化」のために発揮し、そしてさらに「人」を超越する効果を現場に生み出すことで、社会課題の解決に取り組んでいます。

02. ご経歴について

まずは、これまでのご経歴についてお聞かせください。

1991年に新卒でオムロンに入社しました。最初の配属は、横浜にあったコントローラー研究所です。オムロンはFA向けのコントローラーやスイッチ、センサーが主力事業で、その中でもコントローラーは生産ラインの頭脳となるコンピューターです。そのコントローラーの技術開発からキャリアをスタートさせました。その研究所で約10年間勤務し、私が現在所属している検査システム事業部の開発プロジェクトに参加することになり、2003年に検査システム事業部へと異動になりました。事業部では検査システムの開発リーダーを任され、現在は部長をしています。検査システム事業部の開発を取りまとめる役割を担っており、検査装置をはじめデータベースを使って分析を行うシステムまで全てを統括しています。当事業部の検査システムには多くの技術要素が使われているのが特徴です。

03. 業務内容について

検査システム事業部の業務内容についてお聞かせください。

当事業部では、電子基板を使った製品の生産ラインの中で作動する検査システムを開発しています。現代はコンピューターが入っていない製品を探すのが難しいくらい電子基板は生活の中に溢れています。その溢れている電子基板の品質を検査するためのシステムです。検査システムは不良品を取り除き、製品の品質を担保するためのものですが、私たちの思いは、製品づくりをサポートすることによって世の中を快適にする、あるいは自動車などの電子基板の品質を通して安全を下支えすること、安心と安全を事業のビジョンの一つとしています。

事業の特徴、強みについてお聞かせください。

検査装置の役割はラインを流れてきた製品を良品と不良品により分けることだと思われているかもしれませんが、それは古い考え方です。検査装置がとる画像を通じて、製品がどんな状態になっているのかを見ることができます。オムロンでは、その情報を用いてそもそも不良品を出さないようにすることを目指しています。製品を見れば、それが辿ってきた生産工程の問題が分かるのです。単に検査をするだけではなく、そもそも不良品を出さないようにするための検査システムの開発に注力しているのが私たちの特徴であり強みです。この領域においては、私たちが先陣を切っているという自負があります。

どのようにして生産工程の問題を見つけるのですか?

一日に何万枚とラインを流れてくる電子基板を、複数箇所で非常に細かい精度の画像を撮っています。そのデータを蓄積し、工程間の情報を比較して要因分析すれば、生産ラインのどこで何が原因で起こっているのか問題を見つけることができます。当事業部では、それを分析するためのシステムを開発しています。このシステムに私たちほど力を入れている他社メーカーはありません。

なぜ他社メーカーでは開発に注力しないのですか?

このシステムを実現させるためには、生産ラインから多くの正しい情報やデータを得ることが重要です。検査装置そのものにもオムロンはユニークな技術を持っています。とくにX線検査装置に大きな強みを持っており、世界最高性能の技術を持っています。その検査装置から得られる精密なデータを使って、新たな顧客価値創造をします。しかし、これは技術的に大きなチャレンジです。集められる画像データはとてつもなく膨大な量で、それを短時間で分析する知識情報処理の技術が不可欠です。最近SDGsの実現が重要な社会ニーズとなっていますが、我々はそれに真剣に取り組んでいるのです。

他社がやらない困難な開発に取り組まれている理由についてお聞かせください。

オムロンがソーシャルニーズと技術にこだわるメーカーだということです。ソーシャルニーズの創造、チャレンジ精神の発揮は、オムロンのDNAです。たとえ技術的に難しいものであっても、それを実現することで社会に貢献できるのであればチャレンジするというのが私たちの考えです。
もう一つは、センサーやコントローラーなど生産ラインの中にはオムロンの製品をお使いいただけているという強みがあるということです。検査装置だけでなく生産ラインのあらゆる場所からデータを収集して生産ライン全体を診断することができるのです。オムロンだからこそできることだと思います。
オムロン長尾様2

04. 今後の展望や業務のやりがいについて

今後の展望や計画についてお聞かせください。

生産ラインの状況を正確に把握する新たな検査システムを開発して、ソリューションを提供できるようにすることを考えています。
高品質にこだわるオムロンの検査装置をお使いいただいているお客様、例えば、自動車業界を代表として、世の中の快適と安心・安全にかかわる、業界です。今、自動車業界含めて、産業界では大きな変革のときを迎えています。また社会の働き方も大きく変革しています。これから社会の変革に必要とされるようになっていく製品をつくる業界で、工場の現場で私たちの装置システムを使っていただくことを目指しています。

仕事のやりがいについてお聞かせください。

検査システム事業部の特色は、現場に出入りすることが多いということです。実際にお客様の現場でシステムを動かして、そこから次の開発のネタを見つけます。あるいは、実際につくったものが期待通りに動いているかを現場で確認します。実際に自分で設計して、開発して、現場で動いているところを見て、さらにより良いものに改良するという一連の流れができるというのは、当事業部のモノづくりの面白いところだと思います。そして、良い製品が出来上がって「これスゴイね」と直接お客様の声が聞けることがやりがいにつながっていると思います。
また、新しい技術を採用するのにも積極的です。現場駆動の開発だからこそ新しいことにひるむことなくチャレンジできる側面があります。メンバーにはどんどんアイデアを出してほしい、やりたいこともどんどん提案して欲しいというスタンスで開発を進めています。

事業部の役割や会社から期待されていることなどについてお聞かせください。

検査システム事業は今、業績を伸ばしています。実際にオムロンの検査装置は技術的にユニークな製品になっています。本当に競争力を持った製品、価値を創出できる製品はいろんな荒波があったとしても現場に採用されていきます。オムロンではこうした製品に「自走式」という言葉を使うのですが、私たちの検査装置はまさしく自走式の製品だと自負しています。これからも、こうした自走式製品をどんどん生み出し、ソーシャルニーズを実現していこうと考えています。

制御機器事業部内で他部署との連携などはされていますか?

私たちの検査装置はオムロンの製品がたくさん組み込まれています。また、先に話したソリューションの実現には他の部署とのコラボレーションが不可欠です。制御機器をつくっている開発部隊とは技術的な交流や連携を日ごろから行っており、さまざまな先端の制御技術を提供してもらっています。

X線の検査装置は他メーカーではつくっていないのですか?

X線の検査装置自体は他メーカーでもつくっています。検査性能やタクトタイム(工程作業時間)は今、私たちの装置が世界最高性能を持っています。

将来的にX線検査装置が画像処理検査装置に置き換わるのですか?

画像処理検査装置がなくなることはありません。X線検査装置だけではすべての検査を行えないからです。端的に言えば、X線の画像は物体の色は判定できません。電子基板の上に正しい部品が乗っているかを判別するのはやはり色や外観で判断する方がよいでしょう。だから、将来的にはX線検査と外観検査が連携しより高度な検査を実現していくと思います。
逆にX線検査装置で判断するのは、外観を見ても分からない不良です。
最近では電子基板もどんどん複雑化して、特に自動車に搭載されている基板は放熱のためにシールドが掛けられていて、外から見ても分かりません。しかし、X線なら透過して見ることができます。さらに電子基板も部品が3次元に積み重なっています。こうした電子基板の進化によってもX線検査装置の採用が進んでいます。
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05. 社風や求める人物像について

事業部の風土についてお教えください。

検査システム・装置はいろんな技術でつくられているので、いろんな人がいます。検査装置は一人で作ることはできません。いろんな技術が載っており、しかもそれらを高度に結びつけないと性能を発揮することができないのです。そのために開発はチームで行います。オムロンでは、みんなでアイデアを出し合って、「それは良いな」「これはダメだな」と議論します。さらに製品の評価結果で、「良かった」「悪かった」などとやり取りしています。立場とか専門とかの垣根はなく、現場に役立つモノづくりに、みんなでゴールに向かっている。そんな風土があると思います。

活躍している人の特徴についてお聞かせください。

開発をしていると、現場や企画部門などから新たな要求や要望があったり、うまくいくこともあればいかないこともあったり、しんどいこともあったりと、いろんなことがあるのですが、そこで前向きに周りと議論できることが仕事をする上で必要な資質ですね。前向きに物事を捉えて、失敗してもそれを成功に結び付ける行動に変えられる人が活躍しています。

若い人にも責任のある仕事を任せられますか。

もちろん、準備ができているメンバーにはどんどん仕事を任せています。私たちはこれから事業を広げていこう、どんどん製品を進化させていこうと積極的に動いているので、手を挙げてやりたいという人には、完遂できると判断したら仕事を任せています。
とくに新しい技術にチャレンジする時は、結構若いメンバーにリーダーを任せることが多いです。

キャリア人材に求める志向や資質についてお聞かせください。

モノづくりや開発に興味を持っている方に期待したいです。オムロンでこんなモノをつくってみたい、こんな技術に取り組みたいという情熱やエネルギーを持った方を歓迎します。

キャリア入社の方に求めるスキルについてお教えください。

産業用途で画像処理を使う自動検査装置をつくったスキルをお持ちの方であれば歓迎します。ただし、基本的にはその人のスキルに合わせて仕事をお任せしますので、スキルレベルは気にしなくても大丈夫です。
また、事業部で取り組んでいるのは応用技術なのでモノづくりが好きな人、エネルギーのある人、チームで力を合わせて製品をつくりたいという方に期待しています。

キャリアパスや人事制度についてお聞かせください。

1年に1回キャリア面接を行っています。その中で自分のキャリアをどうしたいのかを考えて発言する機会があります。本人とマネージャーの1対1で話し合って、「開発だけでなく、企画も経験したい」とか「検査装置以外の制御機器をやってみたい」など、自分で描いたキャリアプランがあれば、それをマネージャーとすり合わせていきます。本人の意思をできるだけ尊重して、キャリアパスを考えています。
また、オムロンには、「人財公募制度」を実施しており、募集する事業部門が新規事業・新商品プロジェクトにおいて必要な人財要件を公開し、自らの意思で応募することができます。公募は年4回あり、社内イントラネットで、募集の背景、事業特性、仕事内容・範囲などが開示されます。この制度を利用して、実際に多くの社員が人財公募制度にチャレンジし、新たなフィールドで活躍しています。
人事考課は年に1回あり、MBO面談が年2回、能力開発面接を年1回行っています。本人とマネージャーが達成度を確認したり、次年度の目標を設定したりする面接を行っています。

キャリア入社の方の教育についてお教えください。

会社のプロセスや仕組み、開発手順、検査システム事業部の事業内容などの基礎的な知識を学んでもらう導入研修を行い、あとは経験とスキルに合わせたOJTによる教育となります。仕事をしてもらいながら、事業部の製品やシステムに関する知識を身に付けていただきます。その他、外部研修なども仕事のテーマに沿っているものであれば、基本的に積極的に参加することを薦めています。

06. ワークライフバランスについて

働き方についてお教えください。

検査システムの開発は、どうしても出社しないと開発ができない業務も開発フェーズによってはありますが、勤務制度の活用は、基本的には本人の自律的な判断に任せています。
フレックス制度は私が入社した頃にはすでに導入されていて、みんなが普通のこととして活用しています。今ではコアタイムもなくなったので、月間で勤務時間がマイナスにならなければOKとなっています。また、1日最低1時間勤務から認められるので、極端な例ですが、朝9時~10時まで働いて退社するといった勤務も制度上は大丈夫です。
いずれも事前に報告さえあれば、フレックスや時差出勤、在宅勤務などについては認めており、チームに迷惑が掛からなければ、セルフコントロールしてください。メリハリのついた仕事をしてくださいと話しています。
残業についても、忙しい時期やトラブルで現場に行かないといけない割り込み仕事が発生する時は、どうしてもありますが、そうでない時はセルフコントロールをどんどん効かせて、ライフワークバランスと効率的な業務遂行をしてくださいというスタンスで進めています。残業時間は時期や人によってバラツキがありますが、年間の月平均で30時間位です。

コロナの影響で働き方に変化はありましたか?

新型コロナの影響で、リモートワークは当たり前に活用されるようになりました。コロナ以前に比べると仕事自体はやりやすくなりましたね。昔は会議室に集まることが普通でしたが、今はリモートで参加することが普通になっています。これでロケ的な制約がなくなり、移動時間がなくなって、打ち合わせがやりやすくなり、一方で、集中して仕事することもできるようになりました。
オムロン長尾様4

長尾様と弊社コンサルタント中田・中本(右)

07. 転職希望者へメッセージ

オムロンに興味をお持ちの方にメッセージをお願いします。

検査システム事業部は、もともと小さな事業部でしたが、そこから事業が拡大したので、他の部署の人財や、キャリア採用の人材が多くさまざまな文化が混ざった職場です。キャリア入社の方もすぐに職場に馴染んでもらえると思います。
自分のスキルが活かせるのかと心配している方がいるのであれば、そんなことは気にしないでください。オープンな職場でいろんなスキルをもった、いろんな人が集まった事業部です。その環境の中で、自分で製品をつくりたいというエネルギーをお持ちの方は、ぜひ検索システム事業部の求人に応募いただければと思います。

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この記事を書いた人

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中田 昌吾

株式会社タイズ

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