企業インタビュー
[ 小林製薬株式会社 ]
【小林製薬(株)】業務改革センター部長と社員様に今後の展開・社風・求める人物像についてインタビュー!
業務改革センター 販売システム部 部長 薫 浩昭様
01. 会社概要
「“あったらいいな”をカタチにする」をスローガンに、生活者の視点に基づいた製品づくりを強みとする医薬品、医薬部外品、日用品メーカー。
水洗トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」や芳香剤のパイオニア「サワデー」、コンタクトレンズユーザー向けの洗眼薬「アイボン」など画期的な製品を生み出し続け、現在に至ります。「ニッチマーケッター」として隙間市場へ革新的な製品を投入し、ヒット製品に育てることによって新しい市場を拡大。
「人と社会に素晴らしい『快』を提供する」という経営理念に基づき、医薬品、栄養補助食品や日用雑貨品などの分野で、さまざまな製品をしており、現状の事業領域にとらわれず、常に幅広い視野を持ち、多彩な分野に向けて事業活動を行っています。
02. ご経歴について
まず、これまでのご経歴についてお聞かせください。
薫様:新卒で小林製薬に入社して以来30年間、ずっとIT部署で勤務してきました。IT部門では、本社システム、営業システム、国際システムなどを担当し、多岐にわたる経験を積ませてもらいました。現在は販売システム部の部長としてマネジメント業務を担当しています。
興津様:新卒で鉄道会社に入社して、改札機、券売機、精算機などの駅の設備の新設や移設、撤去などの設計と施工管理を担当していました。また、駅と駅をつなぐネットワーク設備も担当して2年半勤務した後、2018年の11月に小林製薬に転職しました。
転職するまで、SEとしての職務経験はなく、社内SEとしての仕事は小林製薬に入社してから初めて取り組むことになりました。入社して約3年になりますが、現在は本社業務の関連のシステム担当として、人事、総務、法務のシステムに加えて関連会社のシステムを担当しています。SEとしてスクラッチ開発用の要件定義や設計の他にも、パッケージシステムやサービスの導入を行い、本社業務の効率化を進めています。
小林製薬に30年以上も長く勤められてこられた理由は何ですか?
薫様:上司や先輩やメンバーなど人に恵まれたことが長く勤めてきた一番の理由です。仕事の面白さもやりがいも当然ありますが、やはり周りの人に恵まれたことが30年間やってこられた理由だと思います。
小林製薬は真面目に一生懸命に仕事をしていれば誰かが必ず認めてくれる会社です。これは私が所属していた環境が良かったということもあるかもしれませんが、会社全体の風土だと思います。
もう一つは、「チャレンジ精神を大事にする」という会社の風土です。経営のトップから新入社員まで全員が共有している風土で、チャレンジに対する阻害や反対などは、入社以来、私は聞いたことがありません。
もちろん、安易なチャレンジはさせてもらえませんが、きちんとした準備と覚悟を持ったチャレンジは必ずさせてもらえます。
これまで私自身もかなり無謀かなと思ったチャレンジも上司がきちんと理解してくれて、やらせてもらったことは若い頃に何度もありました。私がこういう経験をしてきたから、若い人たちにもどんどんチャレンジして欲しいと思うのです。チャレンジを認めてもらった若手が、いつか上司になって次の若手のチャレンジを認めていく。こんな風にして小林製薬の風土は、私が入社した頃から変わらず次から次へと継承されていると思います。
興津様に質問です。小林製薬を転職先に選んだ理由は何ですか?
興津様:転職活動では何社か書類選考を通過しましたが、前職の業務が忙しくて、一旦活動をストップしていたため、面接は第一志望だった小林製薬一社しか受けませんでした。最初から内定をいただいたら、小林製薬に入社しようと決めていましたが一次面接、最終面接で会った社員の方々がとても親しみやすく、自分の性格に合っている空気を感じました。また、チャレンジ精神を大事にして、提案する風土があると教えてもらい、システム部門がパッケージシステムの導入に取り組むことをお聞きしました。その導入に自分も一緒に挑戦して小林製薬のITを変革したいと小林製薬への入社意志がさらに高まりました。
入社されて3年が経ちましたが、どのような教育を受けてこられましたか?
興津様:3~4歳上の先輩についてOJTで仕事を教えてもらいました。一緒に仕事をしながら、その先輩の業務の一部を引き継いで、分からないところはサポートしてもらって、技術を身に付けてきました。
03. 社風や働き方について
小林製薬の魅力についてお聞かせください。
興津様:小林製薬は、商品に自分たちのアイデアを盛り込んで、付加価値をつけて販売するビジネスを展開しています。だから、みんながみんな「こんな風に改良したい」という思いを持って、どんどん提案するので、私自身も小林製薬で働き出してから、これまで内に秘めていた自分がやりたいことをオープンに出せるようになりました。そんな風土が小林製薬の最大の魅力です。
チャレンジ精神の継承を可能にしている要因は何だと思いますか?
薫様:自分で言うのもなんですが、社員に非常にやさしい会社です。それを本当に感じられる会社で、手前味噌でもなんでもなく、社員を大事にしてくれていると思います。そんな経営層の姿勢がチャレンジ精神継承の良い流れを作っているのかもしれません。
チャレンジが認められたエピソードはありますか?
薫様:これまで小林製薬ではシステムはスクラッチ開発が原則でした。すべてを手組みで、自分たちで社内の人たちが喜ぶものをつくってきました。このスクラッチ開発を30~40年続けてきたのです。しかし、その原則を変えて、2020年12月にパッケージシステムによる新システムをリリースしました。小林製薬では初めての試みです。
私はこのシステム導入を担当させてもらいました。
この仕事が私にとって入社してから一番大きなチャレンジになりました。
提案した時に経営層や上司、メンバーの誰一人として反対することなく、協力して一緒に開発を進めていただいたことが、思い出として強く残っています。
リモートワークやフレックス制度など働き方の魅力について教えてください。
興津様:私は2018年に入社しましたが、その当時はフレックス勤務制度もなく、また1時間単位で休暇を取得する制度やリモートワークもできない環境でした。しかし、この3年間でフレックス勤務制度は導入され、1時間単位の休暇も取得できるようになりました。また、もともとネットワークの環境が整えられていたので、リモートワークもすぐに広がりました。働き方を時代に合わせて柔軟にどんどん変えてくれるところが「すごいな」と感じています。
今年の2月からは服装も自由になり、副業も解禁されるなど、働き方はどんどん変わっています。働き方や働く環境はとても良い会社です。
リモートワークはどれ位のペースで行っていますか?
興津様:現在は週に2日まで在宅勤務可能です。仕事の状況によって在宅と出社を選んでいます。
04. 業務内容について
業務改革センターの販売システム部、生産システム部のミッションについて教えてください。
薫様:2年前までIT部門は一つの部署でしたが、受け持つ守備範囲がかなり広くなったために、販売と生産の2つの部署に分かれました。
販売システム部では国内営業、海外営業、通販部門、マーケティング部門など販売を担う事業部のシステムを担当しています。
生産システム部では、製造事業部、研究部門、本社のシステムに加えて、セキュリティやインフラまわりも受け持つなど、幅広いテリトリーを担当しています。
それぞれの部門の人員構成についてお教えください。
薫様:販売システム部、生産システム部共に30名前後の人員がいます。生産システム部は本社グループ7名、製造グループ10名、インフラグループ7名という3つのグループで構成されています。販売システム部も同じように3つのグループで組織されています。
仕事のやりがいや面白さについて教えてください。
薫様:ご存じの通りIT技術はめまぐるしく進歩しています。最新の技術にいつもアンテナを張って、社内に貢献できる技術はないかといつも探しています。新しい技術を使ったシステムを社内に提供することで、会社に貢献できたという手応えが得られれば、モチベーションも高くなって、やりがいを感じることができます。もちろん、上手くいくことばかりではなく、苦労もたくさんしますが、進化する技術と会社をつなぐことで、社内で評価されるのがこの仕事の面白いところです。
さらにシステムは作るだけではなく、その開発過程で利用者である社員と密にコミュニケーションを取るので、会社の様々な業務知識が必然的に身につきます。単に技術を知っているだけではなくて、小林製薬の業務についても広く深く語れるようになっていきます。それが私にとってはすごく面白いところです。
また、社内SEとしては「ありがとう」「すごいね」という言葉をかけられることが一番の励みになります。どれだけ大変だったとしても、その一言で「がんばろう」という気持ちになります。
興津様:本当にそれはすごく感じます。一緒にその開発に携わった現場の社員からは頻繁に「ありがとう」の言葉をかけられます。コロナウィルスの感染が広まり、それに対応するための出社システムを私が担当することになりました。期限が差し迫っていたので、かなりスピードを上げて開発をしたのですが、そのシステムをリリースした直後に、専務から私に直接電話がかかってきて「ありがとう」と言われました。3000名を超える規模の会社ではなかなか無いことだと思います。その時に「すごくいい会社だな」と思いました。
興津様に質問です。現在の業務内容についてお聞かせください。
興津様:現在、本社の人事部門、給与・経理部門、総務部門、法務部門、催事部門、お客様相談室のシステム開発を担当しています。
もともと本社業務の担当でしたが、今は配属のローテーションの一環で、お客様相談室も引き継いでいます。また、生産システム部のメンバーと協力して、中国法人の勤怠給与システムの導入にも取り組んでいます。この中国法人向け勤怠管理システムは中国法人と現地のシステムベンダーと一緒に導入を進めています。本社業務に加えて、今はお客様相談室と中国法人の2つの大きなミッションを担当しています。
人事部の中園様に質問です。システム面でかなり興津様に助けられているとお聞きしました。
中園様:困ったことがあれば、まずは興津さんに相談しています。「これはシステムの業務範囲ではないかも」と思うところまで相談しています。例えば、新卒担当者はコロナ禍でオンライン面接に切り替える時にも相談していましたね。
興津様:そんなに大げさなことではないのですが、まだ社内でオンライン会議をする習慣がなかった時で、使い方さえ分からない中で、運用の方法を一緒に考えさせてもらいました。
マネージャーとして若手への裁量権はどのようにお考えですか。
薫様:IT部門に限らず、ボトムアップで「これをしたい」というチャレンジ精神を大事にしています。結果は一緒でもやり方や手段はたくさんあります。その手段についてメンバーが「こうしたい」ということに対してはよほどのことがない限り認められます。IT部門でいえば、裁量権はシステムの担当者が持っています。協力会社との交渉も任せられますし、小さなプロジェクトリーダーのような役割を果たしているのです。1年目の新人でも10年目のベテランでも、規模の大小はあっても役割は変わりません。
興津様も若手への裁量権について「任せてもらえる」と感じておられますか。
興津様:自分からやりたいといったことは、きちんと理由を説明すれば、任せられる環境があります。こうしたことはシステム開発に限らず、小さな改善提案などでもきちんと意見を聞いてくれる環境があると思います。
また、パッケージシステム「Out Systems」をリリースされましたが、その目的についてお聞かせください。
薫様:Out Systems(※)を仕掛けたのは私です。小林製薬はこれまでスクラッチ文化が根付いており、多くのシステムは手組で行われてきました。そこでの課題は、IT部門のメンバーは上流工程だけを行っており、仕様や要件を固めてパートナーの開発会社に依頼してシステムをつくってもらうことです。自分たちでPGを組むことを数十年やってこなかったため、物事の本質を分かっていない人にシステム設計ができるのかという懸念がありました。
さらに最近はDXの高まりでIT人材が不足しているため、協力会社の開発単価が高騰し、以前の倍近い単価になって、経営に負担をかける状況になっていたのです。やはり外部にイニシアチブを取られるのはIT部門としては避けたい。そこで内製化に踏み切ることに決めました。
ただし、単純に内製化するだけでは、工数もかかり、人員も増える。そこでローコードによって内製化を図れるシステムとして「Out Systems」を導入することを決めて、プロジェクトを進めていきました。
ローコードによるシステム開発は、利用者である現場の社員が自分たちでつくることが基本です。今までシステムをつくったことのない人たちには抵抗があります。時間が取られますし、なぜ自分たちがつくらないといけないんだ、IT部門に任せればいいのではないかと思うのも当然です。しかし、プロジェクトリーダーがしっかりと社内の調整をして、その導入意図を丁寧に説明することで、導入を進めていくことができました。
(※)「Out Systems」…アプリケーション開発、管理、展開のためのローコードプラットフォーム。
Out Systemsの導入で開発スピードは上がりましたか?
興津様:スピードは確かに上がりました。今はリリースしたばかりなので、これまでスクラッチで複雑に組んでいたシステムをOut Systemsに置き換える作業をメンバーの人たちが頑張っています。この作業が進んでいけば、さらに効率化が向上して、システム部門の働き方がもっと大きく変わると思います。
05. 中途採用の求める人物像について
活躍されているのはどのようなタイプの人材ですか?
薫様:社内SEに必要なのはコミュニケーション能力です。いくらIT技術のレベルが高くても、コミュニケーションができない人は活躍できません。逆にコミュニケーション能力の高い人はとても活躍しています。
コミュニケーション能力の土台は「素直さ」だと思います。素直さが根底にあれば、人の話をきちんと聞けるし、人からの指摘も自分なりに受け止めて改善することができます。そういう素直さを持っている方なら、どの部署でも活躍できると思います。
システム部門のキャリアアップについて教えてください。
薫様:システム部門が販売システム部と生産システム部にそれぞれ分かれているので、いろんな担当部署をローテーションすることによってキャリアアップを図っています。営業部門だけに精通しているといったかたよりが出ないように、製造や本社業務のシステム開発を経験して、会社全体の業務を理解してもらいたいと考えています。
技術的なことについては、任せるプロジェクトの規模をどんどん大きくしていきたいと考えています。開発ではプロジェクト活動がとても多くなっており、まずはメンバーとして参加して、次にはリーダーとして職務を担っていただき、様々な現場の開発を経験することによってキャリアを積み上げていただきたいと思います。違う部署のメンバーと仕事することで刺激を受けて、自分の価値観とは異なる人と仕事をすることで視野が広がっていくはずです。プロジェクトには推薦もしますが、公募も行っています。これをやりたいという意志を持った人を集めてプロジェクトを組んでいます。
システム部門の今後の展望についてお聞かせください。
薫様:ローコードからノーコードに転換することを目指しています。そのためには現場のITリテラシーを上げていかなければ、DXを実現することはできません。DXとはAIのようにロボットが自立することではなくて、その本質は現場の人たちがIT技術を使って、業務を変えていくことです。
簡単なシステムはすべて利用者につくってもらえるようになれば、利用者も自分たちが望んだ通りの仕組みをつくれるようになります。そうすればITのメンバーは時間に余裕ができて、空いた時間で新しいDXの勉強をすることにシフトできます。このようにシステム部門の働き方を大きく転換していかないと会社がDXから取り残されるのではないかと感じています。
06. 転職希望者へメッセージ
最後に転職者の方にメッセージをお願いします。
興津様:小林製薬では、若手や新卒であっても「こういうことがしたい」ときちんと説明すれば、チャレンジさせてもらえます。IoTやDXなどに興味があって「こんなことをしたい」という思いがある方と一緒に働きたいと考えています。
薫様:DXを含めてIT技術はかなり変化しているので、システム部門も大きく変化して成長できるチャンスがあると考えています。ここをチャンスだと捉える方に来ていただき、チャレンジ精神を持って、私たちと一緒に小林製薬のITを変革して、より新たな価値を提供できる部門にしていくことを目指して、一緒に働いていただける方を求めています。
07. 取材を終えて
取材を終え、改めてエンジニアとして鋭角に成長できる環境であると感じました。
システム内製化によるスピード開発はもちろん、各社員の働き方・チャレンジできる環境等、従来の慣例にとらわれず、常に変化し成長している企業ですね。
また年次に拘わらず、自ら手を上げ実行・実現できる「一人ひとりが主役」の社風であることを改めて認識しました。
心よりおすすめできる小林製薬様へ、是非エントリーのご検討お願いします!