企業インタビュー
[ オークラ輸送機株式会社 ]
【オークラ輸送機(株)】設計統括部長にマテハン事業の現状、今後の展望、オークラの社風についてインタビュー!
01. 会社概要
オークラ輸送機は兵庫県加古川市で創業し、今期で95周年を迎え100周年の節目が近づく会社です。長きに渡り「モノを運ぶ」ことに特化してモノづくりを行ってきた、マテハンのリーディングカンパニーです。現在では多種多様なコンベヤ、パレタイジングのシステム、ロボット、仕分け装置、ピッキング装置など様々な物流機器を製造し、それらをシステム化して販売。物流大手企業などと取り引きしておりその規模も金額も年々拡大しています。
02. ご経歴紹介
石井様のプロフィールをお聞かせください。
新卒でオークラ輸送機に入社し制御課に配属されました。その後工事部にて国内外の
現場経験、購買課での管理業務を経験した後、制御課に戻りました。
13年間、制御設計や改良業務を担当した後、研究開発部に異動、商品開発や改良に約5年間取り組みました。その後、新設された制御改良開発課の課長として3年間従事し、制御部の部長を2年間勤め、現在は設計統括部の統括部長の職務に就いています。
03. 事業内容について
オークラ輸送機の優位性、製品の強みについてお聞かせください。
物流システムの中でもロボット、パレタイザー、コンベヤ、仕分け機(ソーター)など、色々な製品分野があり、それぞれの機器で競合する会社はありますが、オークラ輸送機では
そのすべての機器をカバーし、システム提案出来る総合力があります。
製品の強みとしては、例えば仕分け装置のユニソーターFSⅣは毎時最大22,000個の搬送物を仕分ける能力を持ち、世界でも有数のものと自負しています。
ソーター(仕分け装置)の能力は本体のスピードに加えて、搬送物の隙間をコントロール且つ小さな隙間をつくる技術が必要ですが、オークラ輸送機はこの技術に関しても勝っていると思います。積付け設備のパレタイザーも高い能力を持ち、他社に負けない能力を出す技術があります。ピッキング装置では、人にやさしく、簡単に誰でも操作できる装置との評価を受けています。
「人にやさしい設備」とは具体的にどんなものになりますか?
例えば、ピッキングは保管棚から商品を取ったり、商品を指定の場所に格納する作業です。今までは、人を速く動かすことで、2秒かかっていた作業時間を1.5秒にしよう、1秒にしようとゼロコンマ単位で時間短縮の競争が行われてきました。0.1秒を積み重ねていくと最終的に処理量は大きな差になるのです。今までは、人を如何に速く動かすのかということに焦点を当て、ミスなく高い処理能力が出ることを競い合っていました。
しかし現在では、人の働きやすさを最重視した設備の設計が求められています。必要な商品が人の目の前まで運ばれてきて、人はそれを取るだけ。さらに、腰を痛めるような位置の低いところではなく、取りやすい高さに運ばれてくる。物流システムの設備に対する考え方が以前とは大きく違ってきているのです。
今、物流センターでは人手不足が課題になっています。高齢化が進んでいる今、60歳以上の高齢者でも簡単に仕事ができる設備が求められているのです。これからさらに高齢化が進む中で人を酷使する設備では離職が相次ぎ、人手不足の原因となります。人を酷使する処理能力の高い設備から、高能力且つ人にやさしい設備が求められる大きな転換期を迎えています。今まで通りの設備ではダメなのです。ここが今後、私たち設計者が工夫していく重要なポイントになると思います。
マテハン業界の現状、今後の見通しについてお聞かせください。
現在、マテハン業界は非常に忙しくなっています。その理由は主に二つ。コロナの影響と少子高齢化による人手不足です。コロナ拡大防止施策の影響を受けてネット通販が拡大し、そのため物流設備への投資が活発になっています。設備投資は景気が悪くなると抑えられて、景気が良くなると活発になる性質があります。よってマテハン業界は景気に左右されやすいのですが、それを踏まえても、予測より長期にわたって活発な設備投資が続いています。ネット通販のビジネスの仕組みが大手企業だけでなく、いろんな業種、さまざまな規模の企業に広がり、ネット通販と同じような業務を展開するようになり、大型から小型のものまで物流システムへのニーズが広がっています。この状況はこれから先も続くことが見込まれています。
今後の事業計画、戦略についてお聞かせください。
現在は受注が非常に好調な状況下です。まずは受注した仕事をお客様に満足頂ける様納めていきたいと考えています。一方で、他社との差別化を技術面で推進したいと考えています。具体的にはIoTやAIといった分野の技術革新も非常に進んでおり、物流システムへの導入を推進する事で「止めない設備」の構築を目指します。
「止めない設備」について、詳しくお聞かせください。
「止めない設備」を目指すには予知保全の技術が必要です。急な機器の故障でラインが停止し、お客様の生産や出荷を止めてしまう事が無くなる様にこの技術を早急に具現化させたいと思います。
最悪トラブルの連絡があっても現地に向かう前に故障機器が特定出来れば、部品を段取りし客先へ向かう事が可能になり停止時間を最小限に抑える事も可能になります。トラブルの原因となる機器に自己発信機能を持たせて「不具合が出そうだ」「交換時期が迫っている」といった情報を発信させる。そうした機器は展示会では数多く出品されるものの、なかなか導入には至っていませんでしたが、センサー等、不具合発生率が高い機器を対象とした取り組みを始めています。
将来的なビジョンとしては、お客様設備にトラブルが発生したという情報がタイムリーに届き、どの機器に不具合が出ているかを事前に把握し、必要な部品を持って現地に出向いて処置できるようにしたいと考えています。そうすることで、お客様にとっても素早くラインの復旧ができるというメリットがあり、当社にとっても人手不足解消につながります。
04. 社風や働き方について
社風についてお聞かせください。
当社には自分が意志をもって提案できる風土があります。前向きな提案はどんどん採用してもらえます。そして、前向きな発言をする人は仕事も良い方向に回転していきます。さらに年齢に関係なく若い人も意見が言いやすい環境があります。意見を言える方を歓迎していますし、活躍するためにはそうした姿勢が求められます。
若くても大きな仕事を任せてもらえますし、そういった仕事をやりきることで、技術力アップや自信、やりがいにつながっていくと思います。業界全体が好調なので、大きな仕事が多くあり成長できるチャンスもたくさんあります。
残業など働く環境についてお聞かせください。
残業は効率アップや業務改善の効果もあり、年々少なくなっています。
業務改善として2DCADから3DCADに変え、部門間でのデータの共有化を図り効率アップを図りました。設計ではその情報を使って図面の出力まで、すべて自動で行うような機能も持ち合わせています。またペーパーレス化も進めておりほとんどがデータのやり取りで業務を行っています。
日々高度化する業務に対し業務改善は永遠のテーマと考えますが、将来的には3DCADのデータだけで仕事をしたいと思っています。実現するのはまだまだ先になると思いますが達成出来るよう取り組む予定です。
在宅勤務についてお聞かせください。
コロナの影響でなるべく在宅勤務にしようという方針です。設計は在宅勤務がやりやすい業務です。特に制御のソフト設計時は会社よりも自宅で集中してやる方が効率的だと思っています。在宅勤務を推奨しておりピーク時には在宅勤務率が50%位になりました。
「自分で判断して効率が上がる方を選択しなさい」と指示しています。在宅勤務をする予定でも急遽出社しないといけない場合もありますし、顔を合わせて打ち合わせしたい場合もあるので、個々人の裁量に任せてそれぞれが臨機応変に対応しています。
05. 中途採用の求める人物像について
教育制度についてお聞かせください。
キャリア採用の方は、経験やスキルに合わせて一人一人違うペースで仕事を任せています。いきなりオーダーを任せて支障なくバリバリと仕事をやってくれている方もいます。新卒に近い年齢の方には新卒入社者に近い教育を行っています。基礎技術については課内だけでは教育できない部分もあり、部内で特定の技術に詳しい技術者がいるので、その技術者に講師になってもらって新人教育を行っています。社員のスキルアップをサポートするため「社内大学」という学びの機会をご用意しています。現役の先輩社員が講義を担当し、講義内容は実践的。仕事に直結する知識が学べます。
キャリアパスについてお聞かせください。
機械と制御間の移動は基本的にはありません。制御部、設計部の中では仕事の負荷状況や適性に合わせた異動はあります。またキャリアを積んでいただくため、研究開発部門・エンジニアリング部門・管理部門や製造部門への異動の可能性もあります。
設計統括部
・設計部設計一課、制御部制御一課:物流配送拠点となるセンター向け設備を主に担当
・設計部設計二課、制御部制御二課:食品、飲料系を中心とした生産系の設備を主に担当
・制御部情報システム課:客先の基幹システムと設備間の情報系ソフト開発を担当
求める人材についてお聞かせください。
何よりも、やる気のある方です。マテハンに興味があり、やってみたい気持ちが重要です。技術知識は入社してから教育しますので、問題ありません。
もう一つ必要な能力はコミュニケーション能力です。お客様に対してはもちろんですが、設計と制御はペアで仕事を進めるので、互いにコミュニケーションを取ることが必要です。また、即戦力の方に求める経験については、同じような設計をされていた方で、最終的に現場で設備を納めた経験のある方を歓迎します。設計だけでなく現場の経験を重視するのは、私が若い頃に現場に出向き、お客様と折衝して設備を納めてOKをいただいく経験を積んで、仕事に対する自信を持てるようになったからです。人間関係を築く力や技術力を高めるために、現場の経験に勝るものはないと思います。オーダー担当として任された以上は最後まで自分で責任を持ってやりきるという気持ちが成長につながるのだと思います。
06. 転職希望者へメッセージ
転職をお考えの方にメッセージをお願いします。
自分が働いている業界全体が不振で将来が不安だと感じている方もいると思いますが、マテハン業界はこの先も好調な状況が続きます。人口が減少していく中で、人に代わる設備は必要とされ続けるので、業界全体が安定しています。その中にあって、オークラ輸送機は、お客様と対峙しながら、お客様のことをメインで考えられる会社だと思っています。大手企業になればなるほど、どうしても同じ設備をたくさんつくってイレギュラーなことはしたくないという風になっていきます。それに対してオークラ輸送機はお客様からいただいた要求事項を実現するために、どうすればいいのかを考えて実行できる会社です。これから先も、オークラ輸送機はそうありたいと思っています。そんな会社を魅力的だと思っていただける方には、ぜひ入社していただいて活躍して欲しいと思います。
私自身、転職経験はありませんが、転職するには相当のパワーが必要です。そのパワーを使ってでも転職しようという気持ちがあるのは、すごい意気込みを持っているということです。さらに、他社を経験されているので、他社と比較して前職の良かったやり方などをオークラ輸送機に落とし込んでもらえたら、キャリア採用の良さが活かせて、十分に力を発揮していただけると思います。一緒に働ける日を楽しみにしています。