回路設計の需要が高い3つの理由│仕事内容ややりがいを紹介

回路設計エンジニアは多くの需要があり、有効求人倍率も高い職種ですが、一方で転職のハードルも高めです。 この記事では、回路設計がどのような仕事で、どのようなスキルを求められるのか紹介します。

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回路設計の仕事内容


まずは、回路設計エンジニアの仕事について知っておきましょう。

回路設計とは

「回路」とは、何かが循環する通路を指します。電気回路であれば、循環するのは電気です。例えば、電池と電球をケーブルでつなげると、プラス極から出た電流が電球を通ってマイナス極に至り、また循環します。

電気回路には最低限、電源と通路(導電体)が必要です。実際には、抵抗やコンデンサ、コイル、半導体などが搭載されています。

回路設計とは、機械の仕様書に基づき、電子回路でどのように動かすか設計する仕事です。

回路設計エンジニアの仕事

回路設計の仕事は、大きく分けて「デジタル回路」と「アナログ回路」の2種類があります。デジタル回路は、0か1しか判別できません。これに対して、アナログ回路は0から1までの間をすべて判別できます。
ボリューム調節に例えると、段階的な調節ならデジタル、微妙な調節ならアナログといった具合です。

両者は、仕組みも違えば求められる理論や知識も異なるため、ひとりの回路設計エンジニアが両方を担当するケースは少なく、どちらかに特化して設計するのが一般的です。多くの企業では、部署も分かれています。

特に必要な資格はなく、転職時に求められることはほとんどありません。しかし、以下の3つを取得していれば、実務で役に立つでしょう。

まずは「デジタル技術検定」です。4級から1級まであり、特にデジタル回路の設計をする上で必要となる知識や理論を習得できます。

第一級陸上無線技術士」も無線・通信回路の設計をする上で役に立つ資格です。陸上無線技術士の上位資格にあたり、回路や関連知識をはじめ、無線工学についても習得できます。

EMC設計技術者資格(EMCデザインエンジニア)」も重要な資格です。EMCとは「Electromagnetic Compatibility」の略で、直訳すると「電磁両立性」という意味になります。

回路設計をするときは、電磁波についても考慮しなければいけません。周りの電磁波から影響を受けず、自ら有害な電磁波を発しないように設計する必要があります。この資格を取得すると、EMCについて理解し、実践できる証明になるわけです。

回路設計のやりがい

続いて、回路設計エンジニアのやりがいについて見てみましょう。

社会に貢献する実感が湧きやすい

今や、ほとんどの機械や機器に回路が搭載されています。自分が設計に携わった回路が機械や機器の土台となるため、モノづくりの楽しさはもちろん、社会に役立っている、あるいは貢献しているという実感が湧きやすくなります。

自分のアイデアが活かせる

回路設計は、工夫次第で機械や機器の性能を上げたり、小型化したり、省電力化したりすることが可能です。コストを抑えられれば、一般に広く普及するきっかけとなります。これらを実現するのは、回路設計のエンジニアです。自分のアイデアを活かせるという喜びがあります。

世の中を変える面白さがある

高性能化や小型化、省電力化、低コスト化も世の中にとっては大きな変化です。しかし、回路設計の技術は、これまでに無かった機械や機器を生み出すこともできます。

例えば、最近のスマートフォンが画面上で指紋認証できるのは、画面にそのための回路が搭載されているからです。この技術によって、ボタンが不要になり、画面も広くなり、利便性も高まりました。このように、回路設計には世の中を変える面白さがあります。

回路設計の年収

タイズ社調べによる回路設計の年収は、以下のとおりです。

(単位:円)

20代 400~650万円
30代 500~800万円
40代 650~1,000万円

※2020年度タイズ経由での決定者・理論年収データ

どの年代でも年収の差が大きいことが特徴です。なぜなら、回路設計の仕事は誰でもできるような単純作業から、専門的な知識やスキルを必要とする高度な作業まで、難易度や必要とするスキルに幅があるからです。専門性が高いほどキャリアアップが可能で、基本給も上がる傾向があります。

回路設計は、最初にCADで回路の設計図を作成する仕事から始まり、スキルアップとともに重要な仕事を任されるようになります。成果が評価されてリーダーに昇格すると、そこからマネージャーや管理職などのマネジメントか、回路設計エンジニアのプロフェッショナルを目指すようになります。

高まる回路設計の需要

近年、回路設計の需要が高まっています。その理由としては、以下の3つが挙げられます。

・慢性的な人手不足のため
・あらゆる産業に不可欠であるため
・長年の経験やスキルが必要とされるため

それぞれ、背景についても詳しく見ていきましょう。

慢性的に人手が不足している

回路設計の仕事には、電気工学をはじめとする高度な専門知識が必要になります。仕事自体の難易度が高いことから、慢性的な人手不足が続いているのが現状です。

また、近年、電気・機械系を専攻する学生の数が減少傾向にあり、回路設計に関わる人材は減りつつあります。そのため、回路設計エンジニアの有効求人倍率も高い状況が続いています。

回路設計の仕事のフィールドであるメーカーには、電化製品などの「民生機器」と工場設備などの「産業機器」がありますが、開発のために多くの人員が必要とされる産業機器の業界では、特に人手不足が目立ちます。

あらゆる産業でニーズが高まっている

人材が少ないことに加え、あらゆる産業に回路設計という仕事が欠かせないことも、回路設計エンジニアの需要が高まっている要因です。

家電製品から航空宇宙機器にいたるまで、今はあらゆるモノが電子回路によって動いています。

回路設計エンジニアを必要としているのは、IoTやAI、ロボットといった成長産業だけではありません。鉄鋼やカメラなどの斜陽産業といわれる分野の企業も新製品の開発に注力しており、回路設計エンジニアを求めています。

たとえば、カメラ業界はスマートフォンに押されて需要が落ち込んでいますが、ミラーレス一眼レフカメラや防犯カメラなど新たな製品が生まれ、売上を伸ばしています。これらの製品にも電子回路が使われています。

長年の経験やスキルが必要とされる

デジタル回路設計は、EADというソフトウェアを導入して、自動化が進んでいます。回路の配置や配線などの構造を自動で計算してくれるため、経験が少ない場合も比較的簡単に設計ができるようになってきました。

一方、アナログ回路設計エンジニアは特に不足しています。最適な回路を組むには、長年の経験から得たスキルやセンスが必要とされるためです。

アナログ回路の設計では、まず目標とする回路の機能や特性を仕様書にまとめます。その後、回路を構成するトランジスタやコンデンサなどの電子部品を組み合わせて、回路設計を行います。

目指す機能や性能が得られなければ、回路の修正が必要です。同じ回路図であっても、部品の位置や配線によって特性が変わってしまうため、短時間で回路を組むことができるかどうかは、経験によるところが大きいのです。

回路設計へ転職するなら

最後に、回路設計エンジニアの転職状況について紹介します。

回路設計の転職傾向

基本的には回路設計エンジニアとしてほかの企業に転職するのが一般的です。国内の企業はもちろん、外資系の企業や海外の電機メーカーに転職するという選択肢があります。

まったくの異業種から未経験で転職するのは、あまり現実的ではありません。機械系のエンジニアであっても同様です。ただし、学生時代に電気工学を履修して、回路設計の根本となる基礎知識があるなら、未経験でも転職できる場合があります。

回路設計の転職のポイント

回路設計エンジニアは専門性が高く育成コストがかかるため、多くの企業で即戦力となる人材を必要としています。転職にあたっては、高度な知識レベルや幅広い経験を求められるでしょう。

例えば、アナログ回路とデジタル回路の両方に精通していたり、制御系ソフトウェアの知識があったりすることです。さらに、さまざまな回路を設計してきたり、全体工程管理の経験があったりすると、有利になるでしょう。先ほど紹介した資格も、実力を証明する上で役に立ちます。

ただし転職においては、企業側が必要とするスキルや経験を的確にアピールできないと成功しません。そこでおすすめしたいのが「タイズ」です。

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まとめ

回路設計エンジニアは、機械や機器を動かす回路を設計するのが仕事であり、専門的で高度なスキルを持っているほど給与が高く、キャリアアップも狙えます。同じ回路設計エンジニアとして転職するのが主流であり、未経験から回路設計エンジニアを目指すのであれば、電気工学の知識や高いコミュニケーション能力が必要です。

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

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