需要の高い「組み込みエンジニア」|転職に必要なスキルとは

近年、AI技術やIoT化により、あらゆる業務のオートメーション化が進んでいます。そんな中、多くの製品の生産で必要とされる組み込みエンジニアは、デジタル技術における進化を支える存在として各業界で活躍しています。 そこで今回は、組み込みエンジニアへの転職を考えている方向けに、転職事情や転職の方法を徹底解説します。

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組み込みエンジニアの需要が高い理由

組み込みエンジニアは非常に需要が高く、転職においても売り手市場です。さらに、近年はより求められる場面が増えてきており、キャリアアップによる転職を考えているなら狙い目といえるでしょう。

では、なぜそれほど需要の高い人材と言われるのでしょうか。まずはその理由について詳しく解説していきます。

システムが生活に欠かせなくなっているから

組み込みエンジニアが開発するシステムは、あらゆる機器に搭載されています。イメージしやすいものでいうと、家電製品であれば冷蔵庫や炊飯器、音声対応スピーカー、情報通信機器でいうと携帯電話やルーターなどが挙げられます。他にも、工作機械や電子体温計、人工衛星などにも組み込みシステムが必要とされています。家庭用から産業用にわたる製品において、組み込みエンジニアが活躍する現場は非常に多くあります。

さらに、AIやIoTの発展が続き、日々技術が進んでいる現代では、その進化の一端を組み込みエンジニアが支えています。このように、求められる機会が多いこと自体が、組み込みエンジニアの価値が高いといわれる一番の理由です。

人材不足だから

組み込みエンジニアの経験者は少なく、深刻な人材不足となっています。それは、業務の難易度が高く、求められる知識レベルも高いためです。特にこれから需要が増えていくAIやIoTの分野は、内容が難しかったり、覚えることが多かったりと、よりハードルの高い領域といえます。

また、組み込みエンジニアではC言語やアセンブリ言語などがメインで使用されます。現在トレンドとなっているPythonやRubyなどのスクリプト言語が推奨されておらず、未経験者にとっては習得が難しいことも、人材不足が加速しているひとつの要因となっているようです。

組み込みエンジニアの転職で求められる経験

組み込みエンジニアは知識レベルが高いため、「転職が難しいのでは・・・」「資格が必要なのでは?」と考えるかもしれません。しかし、組み込みエンジニアの転職で必須資格となるものはありません。アピールすべきは資格よりも経験です。

では、どういった経験が評価されやすいのでしょうか。その内容について解説します。

マネジメント経験

組み込みエンジニアでは即戦力が求められることが多いため、実務経験や開発技術が評価されることが多いです。その上で、チーム運営や部下のマネジメント経験があると、面接を有利にすすめることができます。

具体的には、自分がプレイヤーとして一線を張るだけではなく、チーム全体の指揮を取りリードした経験や、部下やチームメンバーを教育・育成した経験です。

現在組み込み業界は、ひとつのことをすべて一人で行うのではなく、パートごとに分業・細分化が進んでいます。つまり、多くのチームが業務を分担し、最終的に形にして作り上げなければなりません。

そのため、チームをまとめる力や、複数メンバーをマネジメントして開発を指揮できる人材は非常に重宝されます。

転職で実務としてのマネジメント経験がない場合は、何らかのチーム活動に関わった経験がアピールできるかもしれません。以前にチーム運営の経験があれば、「どのようにメンバーを管理すべきか理解できている」と評価されることもあるでしょう。

実際に面接に挑む際は、自身のマネジメント経験を活かし、チームメンバーをリードできることや、チームの一員として貢献できることをアピールすることが効果的です。

設計からテストまで携わった経験

分業・細分化が進んでいる組み込み業界ですが、それぞれのチームをマネジメントして成果を出すには仕事の流れについて熟知しておく必要があります。

そのため、すべての工程に携わった経験があると評価されやすいです。どのフローに関わっても安定的なパフォーマンスが出せる人材と見なされ、即戦力として採用される可能性が高いです。設計から開発、テスト、デバッグまでに携わった経験や、各工程の知識があればしっかりとアピールしましょう。

IoTやAIに関する経験

デジタル技術が進む現代において、IoTやAI技術に対応できる人材がより求められています。
そのため、デジタル領域での開発経験や、現場での実務経験があれば非常に有利になります。

中でも、特にIoT/CASEなど通信に関わる経験や、AIや画像処理などのアルゴリズムに関わった経験を持っているのであれば、組み込みエンジニアのキャリアへ十分に活かすことができます。

実務経験がない場合でも、IoTやAIに関して一定の知識がある方や、前職でデジタル技術を活かした製品に関わっていた経験がある方は、転職の際にアピールしておくと良いでしょう。

未経験から転職する場合に必要なスキル

組み込みエンジニアへの転職は、未経験でも挑戦可能です。ただし、未経験の場合でも、専門知識の習得は必須となっています。また、開発の現場で求められる知識があればアピール材料となるため、身につけておくと良いでしょう。

この項目では、組み込みエンジニアが使用する開発言語や、OS、ハードウェアの知識について紹介します。

開発言語

組み込みエンジニアに転職するためには、開発言語の習得が不可欠です。開発の役に立つ主な言語は、以下のとおりです。

C言語・C++

C言語は、組み込みエンジニアの仕事で最も使用することが多い言語です。中途採用でも、C言語が使えることを条件にしていることもあります。

C++は、C言語に「オブジェクト指向」の要素を加えた、より汎用性の高い言語です。オブジェクト指向とは、プログラムの役割や機能を組み合わせてプログラムを作り上げる方法です。

アセンブリ(アセンブラ)

アセンブリ(アセンブラ)は、人が理解することの難しい「機械語」に近いプログラミング言語です。慣れるまで時間はかかりますが、習得すれば他の言語も理解しやすくなります。プログラミングを習得するために、アセンブリを勉強するのも有効です。

Java

Javaは、組み込みソフトウェアの開発以外でも広く使われている言語です。あらゆるプログラミング言語の中でも昔からよく使われていて、応用力の高さが利点です。

Javaの特徴として、どんなコンピューターでも使えること、オブジェクト指向であることが挙げられます。

OSの知識

組み込み系ソフトウェアの開発に使われるOSは、WindowsやiOSなど一般に広く使われているものとは異なります。組み込みソフトウェアの開発に使われるOSは、主に以下のとおりです。

・TRON
・Linux
・T-Kernel
・VxWorks
・OSEK

中でもよく使われるのがTRONです。TRONは、マイクロコンピューターから大型コンピューターまで幅広い開発や研究に利用できる点で優れています。環境によってはLinuxを使うこともあり、このふたつのOSは特に用いられます。

ハードウェアの知識

組み込み系ソフトウェアの開発には、ハードウェアとの調整も必要なため、知識が要求されます。知識の習得を目指して、「ETEC(組み込み技術者試験制度)」の資格を取得するのも良いでしょう。

ETEC(組み込み技術者試験制度)は、レベルごとに「クラス1」と「クラス2」に分かれていて、クラス2では、組み込みソフトウェア開発に対して一定以上の知識があることを測定します。

クラス1では、中級技術者として、ソフトウェア開発の管理者クラスの能力があることを測定します。受験にはクラス2の500点以上の点数が必要です。

受験料は以下の通りです。

クラス2:15,000円(税抜)
クラス1:20,000円(税抜)

ETEC(組み込み技術者試験制度)について、詳しくはこちらをご覧ください。
ETEC(組み込み技術者試験制度)」(一般社団法人組込みシステム技術協会)

組み込みエンジニアのキャリアパス

新人の組み込みエンジニアは、テスターやデバッガーから始めることが多いです。テスターはプログラムが想定通りに動くかのテストをする仕事で、デバッカーはプログラムにバグがないかを確認する仕事です。

組み込みエンジニアの仕事として、最も一般的なものがプログラマーです。プログラマーは設計書をもとに実際にプログラミングを行います。

一般的には、テスターやデバッカーからプログラマー、システムエンジニア、そしてマネジメント職とキャリアアップすることが多いです。

また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定めた組み込みエンジニアのキャリア基準もキャリアを考えるうえで参考になります。このキャリア基準では、組み込みソフトウェア開発に関わる職種を専門性や責任性によってレベル分けをしています。

エンジニアとして経験を積んだあとは、よりレベルの高い以下の職種を目指すと良いでしょう。

・QAスペシャリスト
・開発プロセス改善スペシャリスト
・ブリッジSE
・システムアーキテクト
・ドメインスペシャリスト
・プロジェクトマネージャー
・プロダクトマネージャー

組み込みエンジニアのキャリアパスはひとつではなく、さまざまな道があります。組み込みエンジニアからAIエンジニアなど別の分野のエンジニアに転身する場合もあります。

自分が目指す職種や後々のキャリアなどを考えておくと、キャリアを積み上げていく際の参考になるでしょう。

組み込みエンジニアの転職に自信がないときは

組み込みエンジニアの若手の方で、アピールできる経験がなくても、転職を諦める必要はありません。面接の際に「この人は組み込みエンジニアになれる」という印象を与えることで、組み込みエンジニアへのキャリアチェンジを目指せる可能性があります。

そのためには、前職での経験や自身の資質から、アピールにつながる情報を引き出すことが重要です。しかし、実際の面接で何を話せば良いか、自分には何がアピールできるのか、一人で対策を立てることはなかなか難しいでしょう。そんなときは、転職のアドバイスをしてくれるエージェントを頼るのがおすすめです。

エンジニアの転職エージェントなら、「タイズ」を検討してみてはいかがでしょうか。

タイズは関西メーカーに特化した転職エージェントで、総合満足度第1位、GOODAGENT RANKING第1位などをはじめ、転職実績が非常に豊富な転職エージェントです。

メーカー出身者やエンジニアの実務経験があるコンサルタントが多く在籍しており、業界の知識を豊富に持っています。企業の紹介はもちろんのこと、面接の際に何をアピールするべきか、どのようなエピソードが面接官に響くのかなど、多くのノウハウを提供できます。

さらに、企業規模や福利厚生などの表面的な情報だけではなく、社風やメンバーの雰囲気、実際の詳しい仕事内容など企業があまり公に発信していない情報も多く網羅しています。求人紹介の際には丁寧にヒアリングをさせていただき、資質や価値観などを判断した上で最適な求人を提案するアナログマッチング®を実施しています。非公開(独占)求人からのご提案も可能です。

組み込みエンジニアの経験がある人はもちろん、未経験から組み込みエンジニアを目指す人も、転職活動の際はぜひ一度タイズへご相談ください。

また、組み込みエンジニアの実際の働き方についてもっと詳しく知りたいという方は、タイズが実施したソフトウェア開発部へのインタビューをご覧ください。

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まとめ

組み込みエンジニアは求められるシーンが多い一方で、なり手が少なく人材不足が続いています。

組み込みエンジニアへの転職を考えているなら、まずはIoTやAIについての知識を深め、業界や企業研究を行うなど、入念に事前対策を行いましょう。

ぜひご自身の資質や経験を活かし、転職を叶えてください。

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

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