メーカー職種解説
[ 品質管理 ]
QC検定の勉強方法|品質管理に活かせる知識を習得するには
品質管理の業務を担当することになったものの、社内研修や独学では何を具体的に勉強すれば良いかわからないと感じていませんか。品質管理の仕事のためにも、具体的にどのような知識が必要か、どのような知識があると良いか、概要を把握しておくと良いでしょう。 この記事では、品質管理に関連する知識と勉強方法について紹介します。
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品質の維持に関する知識
品質管理のうち、品質の維持に関する知識を取り上げます。
ISO9001/IATF16949の導入
ISO9001/IATF16949は、品質マネジメントシステムといわれるもので、マネジメントの国際規格です。組織を管理し、指揮するためのシステムといえます。顧客満足度を担保するためにも、ISO9001/IATF16949を導入し、国際規格に適したものか把握する知識を身に付けておくと良いです。
QC工程表
品質管理チャート図ともいいます。入荷から出荷まで、工程別に管理方法や管理の特性を記載した表です。QC工程表があれば、どの工程で、だれがどのようにして管理を行うか把握できるため、品質の維持に役立ちます。
作業標準
作業標準とは、作業初心者の教育にも使われるもので、手順やポイント、使用する工具など、作業に必要なことをまとめた書類です。作業標準書を作成することで、従業員が増えても業務にバラつきが出るのを防ぎ、ノウハウが蓄積できるなどのメリットがあります。
管理項目一覧表
管理項目とは、品質維持のための管理を対象とする項目をいいます。それを一覧にしたものが管理項目一覧表です。職務別、部門別に作成し、管理目的や方法、担当者などをあわせて記載しておきましょう。
不具合報告書
納品物に重大な不具合が見つかったとき、その原因と対策をまとめた不具合報告書を作成します。不具合報告書とは、社内で共有する目的の書類ではなく、客先に対して原因と対処を説明するための書類です。必要があれば資料の添付も行います。
RohS指令(ヨーロッパ)
RohS指令は、欧州会議と欧州理事会による指令で、電気や電子機器に含まれる有害成分のうち、特定のものを制限する指令です。製品によっては、RohS規制の対象になることもありますので、品質維持のために内容を押さえておく必要があります。
品質改善のための分析に関する知識
次に、品質管理のうち、品質改善のための分析に関する知識を取り上げます。
QC7つ道具
QC7つ道具は、統計的品質管理の基本です。具体的には、以下の7つの手法をいいます。
・パレート図
不良やクレームの件数や損失などを、原因別などに分け、大きい順にグラフ化したもの。
・特性要因図
特性と要因の関係を矢印で表現した図のこと。
・グラフ/管理図
時間的推移に管理限界線を加えたグラフのこと。
・チェックシート
データ収集のために作成するデータの項目や記入枠を設けたシートのこと。
・ヒストグラム
量的データの全体を把握するために作成する面積の柱を並べた柱状図のこと。
・散布図
2つの変量の関係を視覚的に表した図のこと。
・層別
データの特徴ごとに層に分けてデータを分析する考え方のこと。
新QC7つ道具
新QC7つ道具は、言語データに対応した手法です。従来のQC7つ道具は不良解析などデータ分析に役立ちますが、新QC7つ道具は、言語情報を整理し、品質改善に役立てる分析手法です。
・親和図法
言語データをグループに分けて問題を整理する手法です。
・連関図法
複雑に絡み合った問題を倫理的につなぐことで因果関係を見つけていく手法です。
・系統図法
目的と手段を系統づけ、問題解決のための対策を見つける手法です。
・マトリックス図法
系統図法から整理した対策を重みづけするなど解決の順序を決める手法です。
・アローダイアグラム
各作業と日程のつながりから、最適な日程を計画する方法をいいます。
・PDPC法
不足の事態を予測し、対応するための代替案を作成する手法です。
・マトリックス・データ解析法
2つ以上のデータを分析して傾向を見る問題解決の手法です。
改善提案
業務上におけるひとりひとりの問題意識を評価する制度です。まず、それぞれが提案した問題を、一定の基準で評価します。そこから、調査、整理、実施、と改善を行い、再発防止や標準化まで行う方法です。
5S
5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、の5つの意味をもつ日本発の改善の基本活動をいいます。業務のムダをなくすことが目的となります。
統計的品質管理(SQC)
統計的品質管理とは、統計的な方法で品質管理や改善を図ることです。具体的な方法には、先に取り上げたQC7つ道具のほか、品質工学、実験計画法などがあります。統計的品質管理の目的は、統計を用いて工程管理を明確にすることです。
問題解決の手法
品質管理改善のための問題解決手法としては、以下のようなものがあげられます。
・QC7つ道具
・PDCAサイクル
Plan(計画)、Do(実施)、Check(確認)、Action(処理)の順にサイクルを回して問題解決を図る手法です。
・5ゲン主義
三現主義の考え方である現場、現実、現物に、原理と原則を加えた考え方です。「現」に焦点を当てつつ、原理や原則と外れていないか問題を分析します。
・なぜなぜ分析
「なぜ?」を繰り返して、問題を分析し、解決につなげていく考え方です。
組織の改善に関する知識
次に、組織の改善に関する知識を取り上げます。
QCサークル活動
QCサークル活動は、QCサークルという小規模グループに分け、問題をどうすれば改善できるか議論し、実践に移す、品質管理と組織改善に役立つ手法です。QCサークル活動で行う問題解決のステップは、以下の記事で説明していますので参考にしてください。
方針管理
方針管理は、現場の日常管理よりも、さらに規模や対象を広げた管理のことです。トップからの方針を部門や個々の業務に落とし込むなど、経営方針を達成するための管理をいいます。ブレークダウン式で、目標などが明確になるのがメリットです。
日常管理
日常管理は、作業の水準や点検項目、異常時の処置、再発防止などの基準を設け、日々の業務を適切に管理することです。業務の工程や作業方法の基準を設けることで、組織としての業務の維持向上に役立ちます。
機能別管理
機能別管理とは、品質のほか、経営全体が有するべき、コスト、安全、環境などの機能を管理することです。日常管理は各部門を前提に行われるものですが、機能別管理は、経営機能を軸に、部門を超えて組織全体で行われます。
トップ診断
トップ診断とは、トップ自ら、品質管理のレビューや評価、課題認識や改善についてアドバイスすることです。現場の実態をもとに、トップ層が調査または指示する機会が生まれます。
品質管理検定(QC検定)の勉強方法
ここまで、品質管理に関する知識を取り上げてきました。関連して、品質管理の知識を測る、品質管理検定(QC検定)という資格があります。品質管理業務を社内で指導する機会が少なくなったこともあり、品質管理において注目される資格です。
品質管理検定は、1~4級まであります。4級は初心者向けの内容ですので、品質管理の仕事をしているのであれば、まずは3級の取得を目指しましょう。3級は、QC7つ道具などの重要知識を中心とした内容です。基礎部分と重点部分の理解度がわかります。
現場のリーダーをしている人であれば、2級を取得すると職務の幅が広がるでしょう。2級は、品質管理に関する問題を、QC7つ道具、新QC7つ道具などの統計定期手法を用いながら解決できるレベルです。2級を取得すれば、品質管理を自主的に行えるスキルが身についたといえます。
品質管理検定の最高レベルである1級は、品質管理の実践的な内容や品質管理の手法など、2級以上に専門度の高い内容です。実践に重点を置いた内容で、1級を取得すれば、部署のリーダーとして組織内全般の品質管理作業が十分にできるレベルといえます。
部署にリーダーを目指すのであれば1級を目指すのも良いですが、2級以上を取得していれば転職時に評価されやすいです。会社によっては、受検のサポートが受けられることもありますので、社内の制度も確認しておきましょう。
勉強は、主にテキストで行い、演習のために過去問を取り入れることが多いです。先輩など品質管理検定の資格を有している人がいれば、使用したテキストやおすすめを聞いてみるのも良いかもしれません。
QC検定の詳しい情報は以下のサイトをご覧ください。
「品質管理検定(QC検定)」
まとめ
この記事でも取り上げたように、品質管理の知識にはさまざまなものがあります。自身の知識レベルを知りたいなら、品質管理検定の受験を考えてみるのもおすすめです。2級以上であれば転職時に評価されやすいので、転職も視野に入れるなら、積極的な取得を検討してみると良いでしょう。