品質管理の「あるべき姿」とは?課題解決をうまく進めるコツ

品質管理を担う中で、仕事がうまくいっていないと感じていませんか。ステップアップを考えるなら、現実の仕事に向き合うだけでなく、品質管理としての本来の役割を把握しておく必要があります。 現実と理想は異なりますが、理想の部分である品質管理のあるべき姿を意識し、適切な目標をもって仕事に取り組む姿勢も重要です。品質管理はどうあるべきなのか、役割と目標を今一度明確にして、どのように普段の仕事に生かしていくべきか考えてみましょう。

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品質管理のあるべき姿

まず、品質管理のあるべき姿を整理してみましょう。

「品質管理」の役割

品質管理の役割は、製造工程において再び不良品が発生しないよう、原因を突き止め、改善していくことにあります。

社内では、顧客の要望などに沿って設計が行われますが、その設計をもとに、性能や機能が再現されているか、製品のばらつきはどうか、図面をもとに確認するのが品質管理の仕事です。

品質管理の役割が明確でなく、本来の役割が果たせていないと、品質が安定しません。それは、会社の評判や信頼に影響を及ぼします。

結果として、品質管理の質を上げる品質改善活動は、売上にもつながる重要な要素です。

品質管理における基本的な考え方は以下のとおりです。

・悪いものを作らない
・悪いものを流さない
・不良品が発生したときは範囲を特定する

基本的な考え方に立ち返ると、「不良品は後工程で確認してくれるだろう」「最終検査で不具合があればそのときに対処すれば良いだろう」という社内の認識は改める必要があります。不良品はひとつとして社外に出してはいけないという意識が重要です。

対応を後工程に回すのではなく、各工程において、悪いものを作らない、流さないと意識して、各段階で品質改善を図ることを意識しましょう。

「品質管理」の目標

品質管理のあるべき姿を現実のものにしていくには、目標を立てることが重要です。目標を設定するときは、目標値(どこまで改善するか)、期限(いつまでに行うか)を明確にします。

目標値とは、品質管理が目指す水準です。各工程における不良品の数など、数値的な目標を指します。期間は、長期に設定すると計画が立てにくくなり、活動に緩みが出てしまうので、3ヶ月などサイクルを回すのに適切な数値に設定すると良いです。

また、目標設定においては、自工程完結を重視します。自工程完結は、トヨタ自動車で生まれた考え方で、不良を後工程に流さないしくみ作りのことです。

車の組み立てには数多くの部品が関係しており、検査で取り除くことはできても、検査に負荷がかかり過ぎると、時間やコストがかかるだけでなくムダも多くなることから、自工程完結の考えが生まれました。

自工程完結は、人件費や不良コストの削減において重要な考えです。自工程完結のために、具体的に、「〇日までに3%を2%に減らす」などの工程外不良率の削減目標の設定、「社内クレーム(不良)や社外クレームの件数を0にする」などの目標値の設定をします。

品質管理の問題解決手法

あるべき姿になるには、あるべき姿と実際のギャップを把握し、解決を図る必要があります。品質管理の問題解決手法として挙げられるのが、QCストーリーです。

QCストーリー

QCストーリーは、もともとは改善の内容を報告する際などに使われていました。改善活動にもプロセスを利用できることから、品質管理の問題解決手法としても使われます。以下は、QCストーリーのプロセスです。

1.取り組む問題を設定する
まず、取り組むべき問題を選定します。ここでの問題とは、設定目的(あるべき姿)と現状とのギャップです。ほかの問題と比べ、重要度の高いものを選定します。

2.計画を立案する
取り組む問題を設定したら、いつまでに解決しなければならないことか、いつまでに何をすべきか、概要を把握し、スケジュールを立てます。

3.現状を把握する
設定した問題をもとに、現状がどうかデータを集めます。データとは、たとえば、不良品の率、工程別の不良品率、不良の種類、などです。このプロセスでは、現場にも足を運び、データとして取得できないような現状も記録しておきます。

4.問題の要因を分析する
集めたデータの分析やQC7つ道具を使って、あるべき姿と現状の差を生み出しているのは何か、その要因を分析します。

5.対策の立案をする
分析でわかった問題の要因から、ギャップを埋めるための対策を考えます。対策はひとつと限りませんので、いくつか出してみて、効果的と思われるものを選択すると良いです。

6.効果測定
対策を実行に移し、確認するのが次のステップです。効果の測定は、当初のギャップと、対策を行ったあとのギャップで測ります。

7.歯止めと標準化
効果測定後、目標に達していなかった場合は、2へ戻ってプロセスを繰り返します。目標に達したことが確認できたら、次に行うのは歯止めと標準化です。同じ問題が再発しないよう歯止めをかけ、マニュアルを更新するなどして標準化を図ります。

仕事をうまく進めていくコツ

品質管理のあるべき姿を現実のものにするには、品質管理内での調整だけでは不十分です。ほかの部門とのやり取り、理解を得ることも必要なことから、問題解決のためのプロセスを回すだけでなく、関連する人とのやり取りも重視されます。

最後に、仕事をうまく進めていくコツを見ていきましょう。

品質管理の役割を遂行するには

品質管理の仕事は、品質管理内だけ行えるものではなく、製造部門や生産技術とのやり取りや調整が必要な仕事です。ときには、製造部門や生産技術との折衝もあり、苦労もあります。適正がなければ、品質管理としての役割を果たせず、つらいと感じることもあるでしょう。

仕事をうまく進めるためにも、自分の適正についてよく把握しておくことです。品質管理の適正については、以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。

「品質管理はやめとけ」と言われる理由3選!向いている人の特徴は?

また、品質管理は、臨機応変な対応が求められる場面が多いです。その場の状況を的確に把握し、その場にあった対応ができるよう、日頃から意識しましょう。

臨機応変な対応に関連して、品質管理で出世できる人の特徴や考えを以下の記事でまとめています。品質管理でのステップアップを考えるならぜひ参考にしてください。

品質管理で出世は可能?昇進のためにできること4選

普段の仕事からできること

最後に、品質管理があるべき姿で仕事ができるよう、普段の仕事からできることを取り上げます。具体的に、以下のような行動が挙げられます。

・データを用いた説明
・改善点の提案
・キーマンとの関係構築

まず、製造工程で欠陥や不備を見つけたときの立ち回りです。製造工程には長年の現場のやり方もあって、品質管理が指摘しても納得してもらえないこともあります。

相手が納得し、改善につながるよう、データを使って論理的に話を進めると良いです。単に改善点を指摘するより、データを読み解いて説明することで、相手も納得しやすくなりますし、折衝力も養われます。

やり取りをする際にもうひとつ気を付けたいのが、問題やクレームがあったときの対処の仕方です。ダメなものをダメと否定するだけでは、相手との軋轢を生むだけです。

否定するばかりでなく、「○○はこうしてはいかがでしょう?」のように改善点を提案するなど、「一緒に改善していく」という姿勢を見せることで、仕事はやりやすくなります。

あわせて、普段から職場のキーマンとの関係を構築しておくことも重要なポイントです。キーマンとは、現場の班長や製品を10年以上作り続けているようなベテランのこと。現場を長く経験し、多くを知っている人たちですので、その知見を吸い上げられるよう関係を築いておきましょう。

以上のように、品質管理の役割を果たすには、技術面ばかりでなく、社内での人間関係の構築などを意識すると良いです。

まとめ

品質管理のあるべき姿とは、悪いものを作らないこと、自工程完結で後工程に悪いものを流さないことです。あるべき姿を実現するには、問題を適切に把握し、ギャップを埋めるところからはじめましょう。役割を果たすには、製造部門や生産技術との関係も重要です。

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

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