プラント設計の仕事内容|やりがいと苦労とは?

プラントを作る仕事は、「設計」「調達」「建設(施工)」という3つの部門に分けられます。中でも、設計はプラントの骨格を決める重要な仕事です。 今回は、その具体的な仕事内容や、やりがい、大変なところ、必要な知識やスキルについて紹介します。

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プラント設計の仕事内容

まずは、プラント設計の具体的な仕事内容を見てみましょう。

プラント設計の仕事

プラントの設計には、「基本設計」と「詳細設計」という、ふたつのプロセスがあります。

基本設計は、要件に基づいて、プラントの全体的な仕様や能力、パフォーマンスを決めるのが主な仕事です。仕様が決まれば、実現するには、どのような機械や設備が必要で、どれくらいの電力や出力が求められて、それらをどのように配置するべきか考えます。

プラントの全体像が決まったら、次は詳細設計を行います。基本設計を踏まえて、建物や設備、配置、配管、配線などの設計図や施工図を作ります。ケーブルや計装品などの付帯設備を外注する場合は、選定作業も必要となります。

一般的には、1人の担当者が基本設計と詳細設計の両方をマネジメントし、それぞれの実務担当者に指示を出します。自社で賄えない部分は、外部の業者に発注します。

設計図や施工図が完成すると、設計部門の仕事はひとまず完了です。ただし、その後の調達や建設(施工)部門で、設計による問題が発生した場合は、引き続き対応していくこととなります。

プラント設計の就職先

プラント設計の仕事に携わりたいのであれば、プラント建設の発注側か受注側の企業が選択できます。

発注側とは、自社製品の開発に必要となるプラントを、自分たちで作るところです。化学や素材などのメーカーが一般的ですが、電力会社であれば発電所、ガス会社であればガスプラントを作るため、社内に専用の部門を設けているところもあります。

また、水処理プラントをもつ官公庁も発注側に含まれます。水処理設備などを作るための設計を内部で行うことがあるでしょう。

一方、受注側はプラントを必要とするメーカーや団体からの発注を受けて、設計や調達、建設(施工)を行う企業のことです。「プラントエンジニアリングメーカー」または「サブコン(サブコントラクター)」とも呼ばれています。

設計であれば、発注元のニーズに応じて、基本設計や詳細設計の一部、あるいは全部を担うのが基本です。ときには、複数の案件を掛け持ちする場合もあります。

規模の大きいところであれば、設計の内容や分野によって、担当が細かく分かれているのも珍しくありません。ただし、単独で作業しても解決しない問題が多いので、複数の担当者が連携して設計するケースも多々あります。

プラント設計の年収

あくまでも、プラントエンジニアリング全体となりますが、タイズ調べによる年収は、以下の記事のとおりです。

プラントエンジニアの年収は?収入アップや将来設計の方法

プラント設計のやりがいと大変さ

続いて、プラント設計のやりがいと大変なところを見てみましょう。

プラント設計のやりがい

プラント設計では、自分の設計したものが建設(施工)部門の手によって形になり、後世に残ります。ものづくりが好きな人にとっては、たまらない仕事でしょう。

また、多くの人数で1つのプロジェクトを遂行していくため、一体感を味わえます。社内だけでも15人以上、外部も含めると100人単位での業務となるでしょう。さらにプラントが完成するまでは紆余曲折があるので、無事に稼働したときには達成感も得られるはずです。

プラント設計の苦労

一方で、大変なのは残業が多く激務になりやすいところです。厳密に納期が決められており、ときには発注元から催促を受ける場合があります。次の調達部門に渡るまでは、夜遅くまでの仕事や休日出勤が続くでしょう。

特に、受注側のプラントエンジニアリングでは、複数のプラントの設計を掛け持ちして常に納期に追われている状況が続くこともあります。

施工管理と比べると、海外で勤務する機会はほとんどありません。プラントの建設予定地を視察するために、短期の出張をするくらいです。建設(施工)部門のように、長期にわたって滞在することはありません。

ほかにも、設計の内容は調達や建設(施工)部門にも影響するので、責任重大です。わずかなミスが、致命的な欠陥につながる場合もあります。プラントが完成するまでは、不安やプレッシャーでいっぱいです。

プラント設計に必要な知識やスキル

最後に、プラント設計で必要とされる知識やスキルを見てみましょう。

特性・スキル

プラント設計を行うには、機械や電気、化学といった工学系全般の知識が必要です。先述のとおり、ひとつの分野だけでは解決しない問題も多いので、幅広く知識があるほうが良いでしょう。

もちろん、設計のスキルも必要です。建物の設計や機械設計、配管設計など、自分が担当する範囲については、一通りこなせるようにしておきましょう。

また、致命的な欠陥につながりやすいミスを防ぐためには、どんな作業でも丁寧に行える細やかさや、些細な違いにも気づける注意力があると良いでしょう。

プラント設計では、外部の人間と打ち合わせをする機会も頻繁にあります。例えば、発注元や外注先などです。そのため、要件をすり合わせたり、要求どおりに依頼できたりする折衝力や交渉力があると、滞りなく進められるでしょう。

資格

プラント設計で必要な資格は、設計の内容によっても異なりますが、建物の設計を行うのであれば、「一級建築士」の資格が必要です。

二級建築士と違って、一級建築士は設計できる建物に制限がありません。規模の大きいプラントでも問題なく設計できます。

試験は年1回あり、受験資格があるのは二級建築士や建築整備士、大学や専門学校で指定科目(建築関連)の単位を取得した人となります。

そのほか、試験についての詳しい内容はこちらをご覧ください。
「一級建築士試験」

電気系統の知識を身につけるのであれば、「電気主任技術者」の資格を取得するのがおすすめです。本来は、電気設備の工事や保守を行うための資格ですが、試験勉強を通して、設計でも役に立つ知識を身につけられます。第一種から第三種まであり、ひとまず第三種に合格すると良いでしょう。

試験は年に1回あり、「理論」「電力」「機械」「法規」という4つの科目すべてに合格しなければいけません。ただし、一度にすべて合格する必要はなく、3年間で合格すれば資格を取得できます。

同じく、電気や熱などユーティリティー系の設計を行うのであれば、「エネルギー管理士」の資格を取得しておくと良いでしょう。エネルギーを合理的に扱うための資格であり、莫大なエネルギーを消費するプラント作りには欠かせません。

本来は、維持管理や監視が目的であり、どちらかといえば建設(施工)担当者向けの資格ですが、試験勉強を通して、設計でも役に立つ知識を身につけられます。

資格の取得方法は2通りあり、ひとつめは年1回行われる試験に合格して、免状を申請する方法です。ただし、免状を申請する際に1年以上、エネルギー使用の合理化に関する実務に従事していなければいけません。

すでに3年以上、エネルギー使用の合理化に関する実務に従事しているのであれば、所定の研修を受講することで免状を申請できます。

そのほか、資格についての詳しい内容はこちらをご覧ください。
「エネルギー管理士」

電気計装や制御に関する設計を行うなら、「計装士」の資格も重要です。計装とは、温度や圧力、流量など、目視では状態が分からず、人力で制御するのが難しいものを、装置を取りつけて測定・制御する作業です。

1級と2級があり、試験は年1回行われます。受験にあたっては、計装関連の設計や施工に携わっていた実務経験が、1級は5年以上、2級は2年以上必要です。どちらも2種類の学科試験があり、合格後に実技試験を受けます。

そのほか、資格についての詳しい内容はこちらをご覧ください。
「計装士」

 

まとめ

プラント設計は、基本設計で構想を練り、詳細設計で細部を詰めるというのが主な仕事の流れです。就職先には、メーカーや電力・ガス会社、官公庁、システムエンジニアリングの企業などがあります。知識やスキルはもちろん、細やかで注意力のある人が向いているでしょう。プラント設計への転職をお考えの際は、ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

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