メーカー職種解説
[ プラント ]
プラントエンジニアリングとは?業界の将来性は海外にある?
プラントエンジニアリングの仕事に興味を持っている人は、具体的にどのようなことをする仕事なのか気になるでしょう。あまり聞き慣れない仕事かもしれませんが、大きなことに携われる機会も多くやりがいのある仕事です。 ただ、専門性が高く、人によって向き不向きもあります。転職を考えているなら、自分に合っているのかどうかも視野に入れる必要があります。ここでは、プラントエンジニアリングの仕事について解説していきます。
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プラントエンジニアリングとは?
最初に、プラントエンジニアリングとはどのような仕事を指すのか、概要を見ていきましょう。
プラントエンジニアリングとは?
プラントというのは、工場設備一式のことを指します。工場の中には、製品を製造するための、設備が数多く備え付けられているでしょう。そのような設備のシステム開発や管理などを行うのが、プラントエンジニアリングという仕事です。
我々の身近にある石油やガス、電気などのエネルギーは、プラントがなければ利用できません。廃棄物の処理や浄水などにも必要です。
プラントがあるからこそ、現代の我々の社会経済が成り立っているといっても過言ではないでしょう。そのため、プラントエンジニアリングは、社会経済を支える重要な仕事といえます。
そして、プラントエンジニアリングは、その性質上、業務範囲や規模が大きくなりやすいです。仕事を受注してから、プラントが完成するまで3年以上かかることもあります。
ただ、ひとつの工場に関してプラントの企画から完成まで、全ての業務を行うとは限りません。一部の領域のみを請け負っている会社もあれば、完成後の保守管理なども含めて一貫して行う会社もあります。
プラントの種類
プラントエンジニアリングで扱うプラントの種類は、以下のように大別できます。
・原料系
・エネルギー系
・環境系
・製品系
原料系プラントは、石油からプラスチック原料を作る設備や、鉄鉱石から鉄を精錬する設備のことです。
エネルギー系プラントは、エネルギーを作るための設備のことを指します。たとえば、天然ガスから不純物を取り除いてプロパンガスや都市ガスとして使えるように加工するLNGプラントなどがそうです。発電所や変電所なども、エネルギー系に含まれます。
環境系は、主にごみ処理施設や浄水処理施設、下水処理施設などです。製品系は食品や飲料、化学製品などを作る設備のことを指します。たとえば、お酒を作る工場やチョコレート工場などです。鉄を加工して工業製品を作る設備なども製品系に含まれます。
プラントエンジニアリングの仕事内容
プラントエンジニアリングの仕事内容について見ていきましょう。
プラントエンジニアの種類
プラントエンジニアは「機械系」や「化学系」「電気系」「土木系」の4つの専門領域に分かれています。
このうち機械系プラントエンジニアは、プラントそのものの設計や構築、保守管理などを担う仕事です。機械設備の設計や開発なども行います。そのため、プラントエンジニアの中でも業務範囲が広いのが特徴です。
化学系プラントエンジニアは、石油や鉱物などの原料を製品にするのに必要な設備を作り、完成後のマネジメントも行います。化学変化などの知識が必要になる場面が多いです。
電気系プラントエンジニアは、プラント内で使用する電力供給システムや制御システムの構築を担当します。配電に関する専門知識が必要です。
土木系プラントエンジニアは、プラント周辺の道路設備や港湾施設の設計や施工管理などを担当します。土木工学の専門知識が必要です。
プラントエンジニアリングの一連の流れ
プラントエンジニアリングでは、最初に基本設計を行います。設備の配置や組み合わせなど、プラントの大枠を設計する業務です。基本設計の段階では、まだひとつひとつの設備の設計は行いません。
基本設計の後は詳細設計ですが、ここでひとつひとつの設備の設計を行います。機械系や電気系など、それぞれの専門領域のプラントエンジニアが活躍するところです。
次各設備の設計を元にして、機械メーカーに発注します。発注先を決めるのもプラントエンジニアリングの仕事です。見積もりを依頼して、費用や工期などを考慮しながら決めます。それから、打ち合わせを行い、詳細事項を確認してから、発注先のメーカーで作製を開始するという流れです。
設備が完成したら、設計通りになっているかどうか確認してから、施工管理を行います。これは、設備を設置する工事の「工程」や「品質」における管理をする仕事です。
施工管理の詳しい仕事内容については、以下の記事でもご紹介しています。
そして、設備を設置したら試運転を行い、性能面や安全面で問題がないかどうかチェックします。特に問題がなければ、本稼働に移るという流れです。また、本稼働後も定期的に点検を行い、問題点が見つかれば改良を重ねていきます。
プラントエンジニアリングの将来性
プラントエンジニアリングは将来性があるのかどうか、これまでの状況とこれからの展望について見ていきましょう。
感染症や原油価格の下落による影響
2015年以降は、世界的な金融情勢の不安や原油価格が下落したことなどもあり、インフラ需要はあまり芳しくない状況です。プラントエンジニアリングのニーズもやや停滞気味でした。
2017年には回復傾向になってきましたが、それでも感染症の影響や原油価格の下落により、新規案件はそう多くありません。
特にエネルギープラント案件の停滞による影響が大きく、売上は減少すると見込まれています。
それでも、プラントエンジニアの求人ニーズは決して少なくはありません。
国内では、高度経済成長期に作られたプラントが老朽化しています。新しいプラントに替える動きが見られ、更新需要が高いです。そして、高度経済成長期に働いていた人たちは、定年退職を迎えています。その影響による求人需要もあるでしょう。
さらに、海外では新興国で新規プラントがどんどん作られています。日本のプラントエンジニアは海外市場にも活躍する場面が多いです。
そのうえ、地球温暖化対策に伴う、脱炭素社会を目指す動きも、プラントエンジニアにとっては追い風になるでしょう。再生エネルギー活用や水素など代替資源活用に伴い、プラントの新設や更新需要がさらに伸びる可能性があります。
今後、競争力を高めるために必要なこと
今後、プラントエンジニアが競争力を高めるためには海外市場への進出を検討することが必要です。
日本は産業構造が発達しており、高い基礎技術力と信頼性を誇ります。そのため、海外市場へ進出すれば、市場規模拡大が見込めるでしょう。
また、今後のニーズの変化に柔軟に対応していかなければなりません。
これまでの日本のプラントエンジニアリング産業では、オイルやガスなどのエネルギープラントが売上高の多くを占めていました。
しかし、エネルギープラントは、収益構造があまり安定している方ではありません。また、エネルギー価格の変動などに左右される面も多いです。そのため、エネルギープラント以外の分野で売上を上げることが課題となります。
受注する案件をエネルギープラントから、ニーズが見込まれ、収益構造が安定している分野にシフトさせていかなければなりません。また、デジタル変革も必要になってきています。AIやIoTを活用したプラントの運転や保守点検ができるようになれば、業務効率化や人為的なミスを防ぐことにもつながるでしょう。
まとめ
プラントエンジニアリングは工場そのものや、工場内のあらゆる設備 を作る仕事です。全体の基本設計から各設備の設計、施工管理、試運転、保守管理まで行います。専門知識が必要になりますが、大きな仕事に携われる機会も多く、やりがいのある仕事です。
新興国でプラントの新設が進められているため、海外で働く機会もあるかもしれません。興味がある人はぜひタイズにご相談ください。