メーカー職種解説
[ 生産技術 ]
できる生産技術はこれを勉強している!周りと差をつけるためには?
生産技術として一人前になるには、仕事を早く覚えるのはもちろん、自ら積極的に勉強するのもおすすめです。ただし、仕事に追われる中で、あれこれ手を出すのは効率的ではありません。何から始めれば効率的に学べてスキルアップにつながるのか紹介します。
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生産技術として勉強すべき内容とは
まずは、生産技術に対する知識を深める上で、勉強すべき内容を見ていきましょう。今回は、なかでも特に優先して身につけておくべきものをご紹介しています。
①工程の専門知識
生産技術では製造前に工程を組み立てるのが基本となる仕事です。その中には作業手順を設定したり、品質基準書を作成したり、使う設備を決めたりする作業などがあります。稼働させた後も、無駄やコストを削減するために何度も改良しなければいけません。
入社して数年は先輩社員のサポートが中心で、そこにはすでに完成した工程があるはずです。これがどのように組み立てられて、どのような改良を経て現状に至るのか、調べてみましょう。例えば資料やデータを見せてもらったり、関係者に話を聞いたりするなどです。
調べるうちに、組み立ての流れや会社、顧客、各部門の責任者などの意向が見えてくるでしょう。これらを踏まえた上で、自分ならどう組み立てるかシミュレーションするのも、理解を深めるのに役立ちます。
②他社改善事例
他社においても、生産技術では大なり小なり問題を抱えているものです。それらをどのように改善したのか事例を知っておくと、担当するラインで問題が発生したとき、参考になるでしょう。
製造を行っている会社の中には、こうした事例をインターネット上で公開しているところがあります。論文をpdfファイルとしてダウンロードできるところも少なくありません。初めは同業他社から調べて、異業種にも視野を広げながら、理解を深めていきましょう。
③IE(インダストリアル・エンジニアリング)
IEとは「インダストリアル・エンジニアリング(Industrial Engineering)」の略で、直訳すると「産業工学」です。作業工程を科学的に分析して、記号や図表、グラフにする手法で、多くの製造会社が取り入れています。客観的に分析しやすく、現場に詳しくない社員でも理解しやすいのがメリットです。
例えば、時間研究であればストップウォッチ法やPTS法、工程分析ならフローダイアグラム、ラインの分析にはピッチダイアグラムがあります。
すでに仕事で取り入れられているかもしれませんが、各手法の正しい使い方や根拠などを理解しておくと、より的確な分析ができるようになるでしょう。
「生産革新プロフェッショナルコース」というJMA日本能率協会によるIE士資格認定制度もあるので、費用はかかりますが受講してみると良いかもしれません。手法を学べるのはもちろん、実践もできます。コースの最後に行われる認定試験に合格すると、IE士の資格を取得することが可能です。
「生産革新プロフェッショナルコース」の概要はこちらをご覧ください。
④生産技術者マネジメント
同じく、JMA日本能率協会による生産技術の資格に「生産技術者マネジメント(CPE)」があります。学習を通して生産技術の知識が深まるとともに、取得によってプロフェッショナルであることを証明することが可能です。
A級とB級の2種類があり、B級は誰でも受験できますが、5~10年程度の実務経験が前提となっています。A級は、10年以上の実務経験を前提としており、B級に合格しているのが条件です。
CPE認定テキストの「生産技術者マネジメントガイド」から出題され、生産戦略やプロセスの設計・改善、工場の維持改善、開発や設計など他部門との連携について問われます。勉強の総仕上げとして受験すると良いかもしれません。
⑤TOEIC
海外の工場に赴任する可能性があるなら、英語で会話できるようにしておきたいところです。日常会話はもちろん、ビジネス会話も流暢にできると不自由しないでしょう。
その目安となるのがTOEICのスコアです。生産技術であれば目標は最低でも600点以上となります。英語力が昇格の条件になっている会社も少なくありません。生産技術の資格についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
生産技術として必要な知識はどうやってつける?
生産技術の学習にはさまざまな方法がありますが、より深く理解できて、即効性も期待できる方法を紹介します。こちらも優先順位順に記載しています。
①本を読む
最近ではインターネットで検索すれば、すぐに欲しい情報を入手できますが、断片的であり、信憑性に乏しいものも多いのが難点です。
その点、本であれば出版社や著者によって、ある程度の信憑性は保証されています。また、ひとつの情報を順序立てて説明されているのがメリットです。自問自答を繰り返しながら読み進めていくと、終わるころには理解が深まっているでしょう。何度も読み返せば知識も定着します。
おすすめは以下の3冊です。
・トコトンやさしい生産技術の本(坂倉貢司 著、日刊工業新聞社)
「今日からモノ知り」シリーズの1冊で、生産技術の概要をイラスト付きで分かりやすく紹介しています。初めて生産技術に携わる人にとっての入門本です。
・生産マネジメント入門(藤本隆弘 著、日本経済新聞出版)
生産システム編と生産資源・技術管理編の2冊があり、生産技術を体系的に理解できます。すでに実務を経験している人におすすめです。
・トヨタ生産方式‐脱規模の経営をめざして‐(大野耐一 著、ダイヤモンド社)
生産技術の手法として広く知られる「トヨタ生産方式」について解説しています。初版から40年以上経ちますが、現在でも通用する内容です。
②誰とでもコミュニケーションを取れるようにする
生産技術の仕事は単独でできるものではなく、先輩や後輩からサポートを受けたり、現場の意見を聞いたり、設計や開発などの他部署と連携したりしなければいけません。
普段から円滑に意思の疎通を図れるよう、積極的にコミュニケーションを取るのが大事です。また、コミュニケーションをとることで勉強になったり、仕事のヒントになったりする場合もあります。
さらに、仕事では直接関わりのない部門、社外など、さまざまな人とコミュニケーションを取ると、見識が広がるでしょう。
③会社の研修プログラムを利用する
会社で生産技術の研修プログラムを実施しているのであれば、積極的に利用したいところです。研修の内容は、会社側が社員に身につけてほしい知識ですし、分からないときはすぐに質問できます。入社直後だけでなく、キャリアに応じた研修プログラムがあると良いでしょう。
自社で研修を行う場合もあれば、先ほどの「生産革新プロフェッショナルコース」のように会社が費用を負担して外部の研修を受講させる場合もあります。
④工場見学
ほかの製造会社の工場を見学するのも、多くの気づきがあるはずです。仕事で見学させてもらうのは難しいですが、プライベートで一般向けの工場見学に参加するなら簡単でしょう。
すべてを見せてくれるわけではありませんが、配置や人員の動きなら分かるはずです。質問ができるなら、それとなく改善や効率化の手法を聞いてみましょう。
⑤学習アプリなどを利用する
英語を学習するには、スクールに通ったり、教材を購入したりするのが一般的でしたが、最近ではインターネットを介した方法が充実しています。
特に英語学習用のスマートフォンアプリであれば、通勤や休憩など隙間時間での学習が可能です。また、オンライン英会話であれば、比較的都合の良い時間に自宅で学習できます。講師と画面を通してやり取りできるので、よりリアルな英会話が身につくでしょう。
生産技術として知識の深さが大切
生産技術の勉強は時間をかけて知識を深め、専門性を高めることが重要です。仕事においても5年続けてようやく一人前と認められます。すぐに実績を上げられないからといって、簡単にあきらめてはいけません。
転職も同じです。何の実績もないままだと、次の会社でも一からのスタートとなります。キャリアを重ねて製造のリーダーになれるほどのポジションを築けば、転職でも有利になり、スキルアップしやすくなるでしょう。生産技術で出世するのに必要な能力について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
生産技術の知識を深めるには、仕事の基本となる工程の組み立てについて、多角的に勉強するのが大切です。その上で英語やコミュニケーションといった仕事に必要な能力を身につけていくと良いでしょう。