企業インタビュー
[ パスカル株式会社 ]
パスカル株式会社のファクトリーオートメーション機器や新製品開発、中途採用で求める人物像について、技術部のゼネラルマネージャーの方にお話をお伺いしました。
(2018.11.22更新)パスカル株式会社 技術部 ゼネラルマネージャー 二宮隆司様
メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載しているパスカル株式会社の技術部 ゼネラルマネージャー の二宮隆司様に、ファクトリーオートメーション機器や新製品開発、中途採用で求める人物像について、コンサルタントがインタビューさせていただきました。
パスカル株式会社 技術部 ゼネラルマネージャー 二宮隆司様
インタビュー
パスカルの特徴と二宮様が携わってこられた、「ローラーギアインデックステーブル」について教えてください。
二宮様:自動車を作るには「プレス機、射出成型機、マシニングセンタ、ロボット」など、さまざまな生産設備が不可欠です。パスカルはこれらの生産設備に組み込まれるFA機器の開発、生産、販売の全てを自社で担っています。特に当社最大の特徴は「Clamping,Changing,Control」に特化したFA機器を開発している事です。世界中に溢れるモノを製造するために不可欠な「金型やワーク」を「スピーディに、安全に、正確に」固定・交換・制御する仕組みを創りあげたのがパスカルです。
バルブ開発に始まり、油圧ポンプ、ワーククランプ、トラベリングクランプ、マグネットクランプ、ガススプリング、カプラ、ダイチェンジャ、ツールチェンジャなど、製品数は3000、特許は500を超えています。その中でもローラーギアインデックステーブルは、金属加工で能力を発揮するマシニングセンタに組み込まれ、生産効率向上やワーク(加工物)品質を向上させる重要な役割を担っています。
昔から、マシニングセンタはウォームギアを主流で使用していますが、摩耗が原因で製品精度が低下することが弱点でした。そこで、当社は加工面が90度ずつ変わるインデックステーブルを3年かけて開発し、大手自動車ミッションメーカに納めました。作業スピードが抜群に速く、精度が良く、耐久性に優れていると評価をいただき、現在までに1000台以上を納入しています。しかし、近い将来、任意の角度の割出(回転軸の角度に対する位置決め)ができるインデックステーブルの必要性が高まる事を想定し、4年の歳月を経て2016年に目標としていたローラーギアインデックステーブルを完成させる事ができました。すでに日本のトップ自動車メーカーにも納入を始めており、当社の主力製品の一つとなっています。
ローラーギアインデックステーブルの開発に力を入れておられますが。
二宮様:ローラーギア機構はそう簡単に作れるものではありません。この製品は、自動車ミッションメーカからこんな製品がほしいと依頼を受けたことから開発がスタートし、開発に着手した当時は精度の良い製品ができず苦労しました。最初は社内にある設備で製作を始めたのですが、さらに精度を高めようと、莫大な設備投資もしました。お客様の求める加工精度を実現するまでトライアルの繰り返しでしたが、2005年に導入いただいて以降ずっとご使用いただいていますし、現在は自動車ミッションメーカだけでなく、その他の大手メーカー様にも広くご使用いただいている製品にまで成長しています。
御社のキープロダクトの一つ、「トラベリングクランプ」について教えてください。
二宮様:プレス機向け金型オートクランプツールです。当時は、世界中の金型がボルト固定されており、一つの金型交換にいくつものボルトを締める必要があるため莫大な時間を要していまたし、金型重量が数十トンを超える物もあり非常に危険な作業でした。
そこで、どうしたら「誰もが、スピーディに、安全に」金型交換可能な世の中を実現できるか考え抜いた結果、クランプが金型まで自動で移動し、所定の位置になるとセンサーで止まり、油圧でがっちり固定する、世界初の金型オートクランプツールの開発に成功したのです。どのような大きさの金型にも、人の手を使わずに金型を交換することが可能になり、これまでに4万本以上が納入され、今や世界のプレス業界のスタンダードとして大手自動車メーカーに導入されています。
御社は「マグネットクランプ」という製品も開発されていますよね。
二宮様:射出成型機およびプレス機向けの磁力を活用したクランプツールです。強力な磁力を利用して金型を瞬時に吸着・固定する事ができます。スイッチを入れた瞬間にクランプでき、金型交換にかかる時間は数分から数十秒にまで短縮されました。マグネットクランプを完成させるためには磁石だけでなく様々なノウハウが必要で、磁力を利用するアイデアから製品化まで、自分たちだけで研究開発し、数億単位の設備投資の結果、ようやく100%内製化を実現することができました。ここ数年で売上もかなり伸びている製品で、マグネットクランプも当社を代表する製品です。国内唯一のマグネットクランプ製造メーカーとして、射出成型機、プレス機に不可欠な製品となれるよう現在も開発を続けています。
新製品を次々と出される御社ですが、新製品開発はどのように行われるのでしょうか。
二宮様:ユーザーの要望から製品化に至るものもあれば、営業がユーザーの現場から拾ってくるもの、また、社員が提案したアイディアもあります。良いものを作ってお客様に提供したい、その思いが非常に強いと思います。そのためにはお客様からの声を大事にし、そこから生まれた技術を他の製品にも展開していくことが必要です。当社は「ニーズをヒアリングする耳」が長けていると思います。お客様にどのような価値を提供できるかを常に考えていますし、提案が実現すれば提案した者のやる気に繋がります。
二宮様のお仕事は、アイディアを具現化していく、難しいお仕事ですよね。
二宮様:手も届かないような、突拍子もないことをお客様から言われることがありますが、初めからできないと諦めてしまうのではなく、絶対できるはずだと取り組んでみるべきです。実現するために自分の意見をどんどん出して、難しい課題に対して実際に形にしていくのが当社の技術者です。改善策を何度も試して、原理原則ベースまで考えて無理だということが明らかになるまで続けます。世の中は複雑で難しいことだらけですが、一つずつ分解できれば物事の本質が見え、難しく考えていた事も簡単に見えてくるはずです。
御社の中途採用のポリシーについて教えてください。
二宮様:いちばん大切にしているのは、仕事を通して成長してもらうということです。扱う製品数が非常に多いため、どうしても少数精鋭にならざるを得ません。自分がこの製品を完成させなければならないという自覚を持って仕事をしなければなりません。自分の想いを持って、自分の製品に対する夢を描いて実現に向けて行動できる、自主性のある方を求めています。仕事に対する楽しみを感じることができないと、当社での仕事は面白く感じられないと思います。実力はまだ足りないけれど、夢を持って頑張れる方がいいですね。優しくも、厳しくも、支える技術者がたくさんいますから。個人的には、お客様と直接会話をする機会もあるので、コミュニケーション力に長けている方に来ていただきたいですね。
中途採用で御社へのご応募を検討されている方に、メッセージをお願いします。
二宮様:当社は裾野が非常に大きい自動車業界で、ユーザーの高いニーズに応えて、製品によっては圧倒的な市場シェアを持ち、毎年5億~10億円ずつ売上を伸ばしてきました。創業以来45年間で大分県・山形県を中心に国内に11工場(建設中含む)、中国・大連にも工場を建設し、順調に業績を拡大してきました。
新製品開発はパスカルの最も大切なミッションです。新しい事にチャレンジする社員やチャンスを積極的に掴もうと挑戦する社員には、会社が後押ししてくれます。技術開発力と人の成長が一体になった当社で、一緒に成長を実感しましょう。
■二宮様のご経歴
二宮様:1996年に新卒でパスカル株式会社に入社。入社以来一貫して設計開発業務を担当。2003年からローラーギアインデックステーブルの開発に着手して以来15年間、製品開発に明け暮れる。ローラーギア機構を用いたインデックステーブルを製品化できるメーカーが僅かな中、仕組みを一から勉強し製品化。
―担当コンサルタントより―
今回のインタビューで、パスカル社がどのように独創的な製品を開発してきたのかについてお聞きすることができました。社員の皆様が同じ方向を向いてモノづくりをされていることをお聞きし、「この世にないものを創り出す」という社長様の熱い想いも感じ、改めて素晴らしい企業様だと感じました。是非一人でも多くの方にこの記事を読んで頂き、パスカル社の魅力に触れて頂きたいと思います。貴重なお時間をありがとうございました。