メーカー職種解説
[ 機械設計 ]
機械設計とは?仕事内容や必要な知識を解説
機械設計エンジニアに絞って転職先を探してみたは良いものの、思ったよりも業界が広く悩んでいるということはないですか。機械設計という仕事を改めて理解して転職につなげるために、その基本と転職のポイントを見ていきましょう。
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機械設計の仕事内容
機械設計とは、さまざまな機械を創造する仕事です。機械設計にて行う設計機器の範囲は広く、スマートフォンやパーソナルコンピューター、家電、自動車などの身近なものから、精密機械やプラント(生産設備)など規模の大きいものも含まれます。
製品の枠組みを作る重要な仕事といえるでしょう。さらに、機械設計は、「構想設計」、「基本設計」、「詳細設計」、「生産設計」の4つの工程にわけられます。
構想設計は、機械のコンセプトや機能を設計することです。まず、取引先や社内の研究開発部門・商品企画部門からの要望をヒアリングし、ニーズを明確にします。その上で、自社製品の強みを活かしてコンセプトを策定します。その後、企画をもとに「ポンチ絵」と呼ばれる手描きの作図を作成し、全ての仕様を決定していきます。
基本設計は、構造を具現化するためCADなどのソフトを使って設計図を作成することです。この際、適した材料や強度解析、組立方法などを全て明確にしておく必要があります。また、作った設計図が本当に実現可能なのかをシミレーションする必要があり、設計においてその作業(=検図)は欠かせません。
詳細設計は、部品図や組立図を作成し、具体的な寸法や「公差」を計算していくことです。これをもとに「作業指示書」が作られ、原価と工数が決定します。そのため、「品質」「コスト」「納期」を示すQCDの観点が必須となります。
生産設計は、生産の段階で量産が図れるように設計する工程をいいます。試作品を作って動作確認・不具合調整を重ねたのち、量産体制に入ります。
機械設計で転職先を探してもなかなかしっくりこないのは、機械設計は担当する機械の範囲が広く、工程も複数にわかれていることが原因の1つです。
多くの業界で必要とされる仕事で、扱う機械も仕事内容もバリエーションに富んでいるとわかっていれば、転職活動も広い視野でできるでしょう。
機械設計に求められる知識や能力
機械設計の仕事に就くには、どのようなことが求められているのか押さえておくことが重要です。求められる知識や能力を押さえておけば、転職でも有利に働くでしょう。機械設計の仕事をする上で身に付けておきたい4つのポイントをこの項では紹介します。
4大力学の知識
機械設計の仕事をするなら、4年制大学、機械工学科のほぼ必修である4大力学、「構造力学」、「材料力学」、「熱力学」、「流体力学」の知識は押さえておきたいところです。
機械構造の検討や強度の計算、エンジンの熱、空調の制御、ポンプの制御など、さまざまな機械を設計する上で必要とされる知識になります。
材料・成形方法に関する知識
機械設計で使う材料には、大きく分けて「金属」と「非金属」があります。
「金属」もまた細分化され、鋼(スチール)やステンレスなどの「鉄鋼」、アルミニウムやニッケルなどの「非鉄金属」の2つに分けられます。
「非金属」も3つに細分化されます。セラミックスなどの「無機化学物」、プラスチックや熱硬化性樹脂などの「有機化学物」、ガラス繊維やFRP(繊維強化プラスチック)などの「複合材料」です。
また、材料の成形方法もさまざまです。代表的な樹脂成形の方法には、射出成形と押し出し成形、ブロー成形があります。
射出成形とは、200℃前後の高い温度で溶融して、それを金型の中に押し込んでから冷やし固める方法です。主に熱可塑性樹脂の成形に用いられ、さまざまな樹脂製品を高速に成形することができます。
押し出し成形とは、加熱溶融させた樹脂を「ダイ(金型)」という押出し口に通過させ、一定の断面形状に成形する方法です。パイプやダクト、チューブなどに適用しています。
ブロー成形は、溶融樹脂の内側から空気を吹き込み、膨らませて成形する方法です。ペットボトルや液体化粧品・液体洗剤などの容器のほか、自転車のガソリンタンクや排気マニホールドなどが挙げられます。
コンプライアンスに関する知識
機械設計の仕事をするならば知っておくべきコンプライアンスに関する知識もあります。
まずはPL法(製造物責任法)です。これは、製造物の欠陥が原因で他人の生命や身体、財産に損害が生じた場合に、製造業者などに損害賠償責任を負わせる法律のことです。PL法は無過失責任であるため、製造物の欠陥について、企業側に過失がなくても責任を負う必要があります。
また、「規格」という考え方があります。「規格」とは、工業製品において、寸法や形状などの標準を決める「標準化」という作業を通じて制定された取り決めのことです。JISやISO9000は規格の1つです。
JISとは、工業標準化法に基づいて制定された日本工業規格のことです。内容によって、基本企画、方法規格、製品規格に分けられます。
ISOとは、電気を除いて工業規格を策定する民間の非政府組織で、世界最大の国際標準化組織です。ISOによって制定された品質保証のための国際規格をISO9000といいます。
顧客からの要求事項においては、対応規格が求められていることが多いため、これらの規格を熟知して設計を実施する必要があります。
また、「創造的で新規性のある案」が求められる機械設計者において、知的財産権や特許に関する知識は学んでおいたほうがよいでしょう。知的財産権とは、知的創作活動の成果を創作した人の財産として保護するための制度です。特許権はこれに含まれます。特許権とは、特許を受けた発明を権利者が一定期間独占的に実施することができる権利のことを指します。
製品の測定や評価に関する知識
機能向上やコスト削減を行う手法として、VAやVEなどがあります。VAは「Value Analysis」の略で、日本語では価値分析といいます。主に既存製品の改善を行う手法です。VEは「Value Engineering」の略で、日本語では価値工学といいます。既存製品だけでなく開発設計の段階で行われる質的向上の手法です。この目的は、最小のコストと必要な機能の両立を図ることです。
英語力
海外の工場やメーカーと取引をする場合など、当然ですが英語力は欠かせません。
読み書きだけでなく、ビジネス英会話ができるとなおよいでしょう。また、新しい技術に関する論文やリサーチをする機会も多く、その場合にも英語が必要となります。
企業によっては、TOEICの点数などで基準を設け、社員が一定の英語力を持つように図っているところもあります。中途採用での転職であれば、実務経験も大切ですが英語力が求められる場合もありますし、昇進の条件に設定している企業も多くあります。
コミュニケーション能力
4大力学、PCスキル、と知識やスキルを中心に説明してきましたが、ほかにもよく見られる部分があります。コミュニケーション能力です。
ほかの仕事でも重視されるコミュニケーション能力は、機械設計の仕事でも重視されています。それは、機械設計の仕事がチームでプロジェクトを立て進めていくことが多く、人と関わる機会の多い仕事だからです。
特に、製品開発スピードの向上のためにコンカレント・エンジニアリングという考え方を導入している企業もあります。コンカレント・エンジニアリングとは、上流工程と下流工程を同時並行的に行って開発プロセスを短縮化する手法であるため、部署間での連携が必要とされています。
このように、機械設計はチームのメンバーと協力するだけでなく、他部署とも連携していくことが必要とされる仕事です。そのため、多様な人と関わる機会が多く、コミュニケーション能力が求められます。ヒアリングや技術的な説明には社外の人とも関わる機会がありますので、やはりここでも高いコミュニケーションが重要といえるでしょう。
協調性がある人、リーダーシップがある人など、チームワークに関する能力の高い人は向いているといえます。
向上心や根気強さ
日々新しい技術が生まれる中で、新しい情報にアンテナを張り、最新の技術を学ぼうとする自己研鑽ができる人は機械設計の仕事では歓迎されます。高い向上心は、より良い製品を作るためのプラスになるためです。
さらに、機械設計の仕事では向上心と合わせて、根気強さも求められます。機械設計は設計をして終わりではないためです。
設計上はうまくいっても、実際に作ってみると思うようにならないことがあります。例えば、「CAEでは強度に問題はなかったが、実際の試作品では壊れてしまった」といったようなケースはよく起こります。そのため、稼働に問題はないか、製品として成り立つか、何度もトライ&エラーを繰り返して製品にすることが機械設計の仕事では多いです。
考え抜いた設計が何度も失敗に終わる可能性もありますので、原因を解明して何度も設計を練り直すことのできる根気強さが機械設計では求められます。
以上のように、機械設計の転職でよく見られるポイントは4つです。
転職を考えるなら、求められる能力やスキルは十分にあるか、不足しているならどのように補うかを考え、有利に進められるように動くことが大切です。
機械設計の仕事を探すときのポイント
機械設計の転職については、求められる能力やスキルを磨いておくことも重要ですが、仕事探しも重要なポイントです。こちらの記事も併せてご覧ください。
【転職コンサルタント監修】機械設計エンジニアが知っておきたい転職のコツ
自分に合った求人を見極める
機械設計は、ここまで説明してきたように、業務内容が多岐にわたります。同じ「機械設計」の募集であっても、仕事内容、必要な経験は、求人案件でさまざまです。扱う機械の種類や規模も異なれば、関わる工程も異なります。そのため、自分に合う仕事内容を探すには、これまで扱ってきた材料や製品の大きさなども考えていく必要があります。
しかし、機械設計の転職で問題なのは、自分にマッチする求人を見極めるのが難しいということです。求人票に概要は記載されていても、具体的な仕事内容などがよくわからないこともあります。面接まで進んではじめて、希望している仕事と違ったというケースもあるでしょう。
時間が限られている転職活動でミスマッチは大きな痛手です。さらに、応募先の企業が求めている業務経験、業種とマッチしなければ、採用されること自体も難しくなります。
転職では、ミスマッチの起こりにくい効率の良い方法を模索するべきでしょう。
「機械設計のうち自分にあっている求人案件がわからない」「ミスマッチにならないよううまく転職を進めたい」のであれば、機械系エンジニアに強い転職支援サービスを利用するのも方法のひとつです。
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まとめ
機械設計の工程は様々で、それぞれの業務内容が大きく異なっており、さらに、知識だけでなく、精神力や実務経験が重要になります。そのため、機械設計の転職のために求人を探すも、どれがマッチしているか求人票だけではわからないこともあります。
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