企業インタビュー
株式会社タクマのボイラ設備・各種プラントの強みや仕事に対する姿勢、中途採用のポリシーについて、人事課長様にお話を伺いました。
(2018.10.29更新)株式会社タクマ コーポレート・サービス本部 人事部 人事課長 田中雅史様
メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載している株式会社タクマのコーポレート・サービス本部 人事部 人事課長 田中雅史様に、株式会社タクマのボイラ設備・各種プラントの強みや仕事に対する姿勢、中途採用のポリシーについて、コンサルタントがインタビューさせていただきました。
株式会社タクマ コーポレート・サービス本部 人事部 人事課長 田中雅史様
インタビュー
田中様のご経歴について教えてください。
田中様:1999年に新卒で入社し、テクノ・コンサル本部管理部調達課(現資材部大阪資材2課)の配属になりました。そこから12年、購買・調達業務を経験し、7年前に人事部に異動となり、以降、新入社員研修、階層別教育、採用(キャリア・新卒)、派遣社員の募集・受入れ、給与計算、人事異動、昇進昇格、異動希望の調整等を幅広くやらせて頂いています。新入社員当時は、資材部門には新卒は配属されないと聞いていたので、配属を聞いた時には驚きました。
新卒で、思いにもよらず購買・調達部門への配属。驚きから始まったかと思いますが、タクマ社を選ばれたのはなぜでしょうか。
田中様:事業が環境分野という成長産業であったこと、財務体質が非常によい、給与や福利厚生など四季報の情報が良い、など、理由はたくさんありました。就職活動では金融、不動産、商社、メーカーなど、幅広い企業にエントリーしましたが、プラント系の企業は1社、当社しか受けていませんでした。当社が第一志望で、当時も事務系で5名程度しか採用していなかったのですが、無事入社することができました。
当社は非常に堅実な企業で、私はバブル期の後の入社ですが、バブルの時でもいわゆる財テクには走らず、まじめに社業に専念していたと聞いております。当社の歴史の中では、本業以外の分野に挑戦した時代もあったようですが、自分たちにできることを確実にやる、今自分たちにできないことは色々な側面からできる見通しが立てばやる、そういうスタンスは当時から変わってないですね。
管理部調達課ではどのような業務を担当されたのでしょうか。
田中様:主にオーバーホール(装置を分解・点検し、性能回復のための必要な修理や交換などを行う予防保全)や改良・改修工事に係る製品・部品・工事の発注業務を担当しました。ご当時は既存プラントのオーバーホールに加え、ダイオキシン規制による特需が始まっており、最大で全国40件以上の物件が同時進行するという大変な状況でした。今も忙しいですが、当時もかなり忙しかったです。いくつかの機器・案件を担当させてもらいながら、先輩上司の指導の下、取引業者や関係部署の皆さまとの関係性も深めながら仕事をしてきました。
購買部門から人事部門へと、大きなキャリアチェンジをされたのですね。
田中様:人事への異動は、自ら希望して実現しました。購買部門での業務は値段を下げて製品・工事を発注することがミッションで、下がった分が会社の利益になります。直接、会社の業績に貢献できるやりがいのある仕事ですが、今後、自分がやりたいことを考える中で、何か直接社員の役に立てることはないか、社員のために何かできないだろうか、という思いを実現できるのが人事部だと思いました。
御社ではキャリアチェンジの希望も実現できる体制なのですね。
田中様:私のような人事部門へのチェンジは珍しかったと思いますが、もちろん、私以外にも希望を出してキャリアチェンジをされた方はおります。
御社の製品であるボイラ設備や各種プラントの強みは何でしょうか。
田中様:設備まるごと「All Made inタクマ」であることです。当社が手掛けている一般廃棄物処理プラント、産業廃棄物処理プラント、水処理プラント、ボイラプラントは、全て当社の技術に基づいて、独自設計・製作を貫いています。一部、技術提携をして開発したり、協力会社で製造したりするケースもありますが、そのノウハウは全て当社にあります。私たちの事業領域である焼却プラントの分野は燃焼させるものが一定でないため、理論だけではなく経験も非常に重要で、燃やすのに最も効率のよい方法、耐久性のあるプラントを完成させるための設計、問題が起こった時のフィードバックの蓄積情報から課題を解決するなど、とにかく過去の経験の積み重ねがモノを言うような面があります。「All Made inタクマ」だからこそ、膨大な情報資産を蓄積できていると思います。
タクマ社のストーカ式焼却炉(尼崎市立クリーンセンター第2工場)
御社はアフターサービスにも強みをお持ちですよね。
田中様:プラントの設計・計画・施工だけでなく、メンテナンスも含めて一社で行っている会社は珍しいと思います。当社の設備はおよそ20年、最も長いものでは40年以上ご使用いただいたプラントもありますが、その期間ずっと当社で設備の保全をさせて頂くというスタンスを貫いています。問題が発生した事例はもちろん自社の情報資産として蓄積しますし、技術的な情報だけでなく、業務を進める中で築いたお客様との関係や、地域に根差した取り組みについての経験も、当社の大事な資産として、受け継がれています。ただ作っておしまいという訳ではなく、地域社会に貢献し続ける、あるいは役目を終えて、更新されるというところまで当社が関わらせて頂くという姿勢が大きな特徴だと思います。
御社のボイラやプラントはその性能の高さが有名ですが、競合製品と比較してどこが異なるのでしょうか。
田中様:他社様の製品と単純な比較はできませんが、設備のコアとなる焼却設備やボイラは全て自社で設計しています。また、ボイラの製造にあたっては、溶接の重要な工程を日本でも指折りの溶接職人がやっており、その技術を若手にも継承しています。当社の「ものづくり」の技術が高く、高性能かつ安定稼働し続ける焼却施設やボイラが提供できる点に強みがあります。結局のところ、納めた設備の性能や耐久性という面でお客様から評価されていると思います。
案件受注のためには入札があると思いますが、御社のどのような点がお客様から評価されているのでしょうか。
田中様:入札(競争入札)で多い評価方法としては、受注価格の評価だけではなく、それ以外の項目、例えば納める設備の能力、過去の納入実績、社内体制、技術者数、地域社会への貢献などの提案要素も評価される総合評価方式と聞いております。受注価格だけの比較ですと過当競争に陥る懸念もありますが、提案要素で他社よりも高い評価点をいただいています。お客様のニーズに合わせて独自に設計しますので、単純に製品を組み合わせるだけのものと比較しますと、どうしてもコストがかかってしまいますが、それぞれの案件に最適な設備が提案できているという点が評価されていると思います。竣工後の話にはなってしまいますが、実際に運転される、現場の第一線の方から高い評価をいただいていると聞いたこともあります。
設備の設計や施工、アフターサービスまでの一連の業務にあたっての、御社のものづくりに対する考え方について教えてください。
田中様:設備にかかるイニシャル・ランニングコストが少ないことも、お客様が求められる要素の1つですが、環境・エネルギープラントという設備の特性を鑑みると、それらのプラントを納めたお客様が求めるものは「安定稼働」ではないかと思っています。納めた先にある地域社会のニーズ、それを組み込んだ設計で貢献することにこだわっています。排ガス規制値が国や市町村で異なりますが、規制値を十分に下回る、期待を超える設備を用意しますし、それが実現できる技術力を持っています。もちろんそれがお客様への提案材料になる訳ですが、私たちが持っている思いは、「私たちの技術を惜しみなく使って、地域社会に貢献したい」。これは設計者であれ、施工管理者であれ、管理部門の社員であれ、当社の社員全員が持っている想いです。
御社の今後の事業展開として、どのようなことをお考えでしょうか。
田中様:バイオマス発電設備プラントの運転やオーバーホール・メンテナンスにおいて長期に渡ってお客様をフォローする、というビジネスモデルの構築が挙げられます。従来は納めたプラントのメンテナンスの要否はお客様に委ねられ、コストの面からも恒常的なメンテナンスの注文は多くはありませんでした。ここ数年では、FIT制度(再生可能エネルギーによる発電で発生した電気の固定価格買取制度)が導入され、発電設備の安定稼働のためのメンテナンスが重視されるようになっています。当社は主力事業である官公庁向けの一般廃棄物処理プラントで運転管理を含めた長期オーバーホールの事業を受注しており、そのノウハウを生かし、長期的・継続的に生まれる需要をしっかり押さえていきたいと考えています。また、未利用バイオマスである下水汚泥の発電設備についても東京都・札幌市で受注を頂いており、今後の発展が期待できるところです。
御社の事業の海外展開についてはいかがでしょうか。
田中様:日本では人口減少、それに伴って消費活動が縮小すると、少し遅れて緩やかにごみの総量が減っていくだろうと考えています。今後はごみ処理の需要の大きい海外に目を向ける必要があるとのことで、数年前から、海外で私たちが貢献できることを模索しています。当社はボイラを50年前から海外へ輸出しており、特に東南アジアの製糖工場を中心にかなり知名度を持っています。これを足掛かりにして、パートナー企業を増やして、プラントの重要な部分から海外事業を拡大させたいと考えています。現地の行政の協力を得て進める場合もあり、困難の多い事業にはなりますが、当社の技術を海外でも活かしたいという思いを持って取り組んでいます。
御社の今後の事業展開についてお伺いしましたが、事業をさらに拡大させていく中で、どのような人材が求められますか。
田中様:私たちの会社が向かうベクトル、方向性へ共感していただける方です。具体的に言いますと、これまでも今後も変わらないスタンスなのですが、社業を通じて地域社会に貢献し続けたいという思いをお持ちの方です。当社の10年後、20年後の姿が明らかになっているわけではありませんが、事業領域や価値提供の方法は変わらないと思います。当社では長く働き続けて頂けることを希望していますが、当社のあり方に共感して頂ける方にとっては、何か環境分野で社会の役に立ちたいですとか、自分の仕事によって誰かが喜んでくれる、恩恵を与えることができていると実感できることがモチベーションになると思っています。
社員の方々は、環境や地域社会に貢献しているという意識をもって仕事をされているとのことでしたが、そのような感覚はどのような場面で感じることができるのでしょうか。
田中様:やはりプロジェクトの節目ではないでしょうか。案件が完了した時や、設計・施工部門に関しては竣工という一番大きな節目がありますし、メンテナンス部門であれば、過去の経験からにはなりますが、トラブルが発生するのは望まれませんが、トラブルに対してうまく知恵を絞って解決した時などに達成感を感じると思います。
田中様の中途採用に対するポリシーを教えてください。
田中様:中途採用業務経験して5年ほどになり、様々な方とお会いさせて頂きました。転職理由として給与や勤務地などの、個人的な事情が第一ということは理解していますし、働き方や休みも大事です。しかし、何のために働くのか、働きがいについても考えてほしい。繰り返しになりますが、当社に入社される方には長く働いてほしいと思っています。当社の中途採用の面接では、応募された部署の仕事はあなたには合っていないと思う、など、はっきり言うこともあります。当社で仕事がしたいという方、仕事に対するやりがいを求めていらっしゃる方にご入社いただいているのはやはり、一度当社の仲間になったら最後まで事業を繋いでほしいという思いがあるからです。誰かの役に立つことができた報酬として給料がある、それで支えられる私たちの生活がある、と思っています。
御社の離職率が、他のエンジニアリング会社と比較して低い印象を受けています。定着しやすい、長く働ける環境があると推測しています。社員紹介で入社される方もいらっしゃると伺いましたが、いかがでしょうか。
田中様:新卒採用ではここ何年かで、口コミ情報で当社を受けに来られる方が一定数いらっしゃいます。当社を受けたことがあるという方が、タクマという会社があると後輩に伝えてくれているようです。社員紹介で中途で入社されたケースももちろんありますし、私の知り合いも1人、入社しています。
自分が勤めている企業を知人に紹介するということは、本当に自社への自信がないとできないことだと思います。どのように御社を紹介されるのでしょうか。
田中様:「こんなにすばらしい会社です!」と良いことを言うつもりは全くありませんし、判断するのはご自身ですので、「私たちはこういう仕事をやっていて、こういう社会の役に立っています」と、私たちが社会に対してできることを伝えているだけです。一つ、強く言えるのは、新卒入社と中途入社の社員を区別しない良い風習があるということです。昇進・昇格、処遇においても全く差がない。新卒入社であろうが、中途入社であろうが、入社をした方はみんな仲間、しっかり育てる、しっかり鍛える、というスタンスです。中途で入社されて、部長や役員になる方も普通にいます。
田中様から見た御社の社風について教えてください。
田中様:真面目だと思います。見た目の良さではなく、本当に良い「ものづくり」を目指すという雰囲気があります。ご覧になられるとわかるかと思いますが、当社のプラントは見た目でアピールするものは少ないです。プラントの入札の提案に際してはもっとアピールしないといけませんと指導を受けたこともあるほどです。どれだけ立派なことを言っても、見た目が素晴らしいものを作っても、壊れたら意味がない、多くは語らないけどしっかり動くものを作る、黙ってコツコツ作る職人のような社風かと思います。
田中様がこれまでお仕事をされてきた中で、印象に残っている社員について教えてください。
田中様:最初の職場、管理部調達課の先輩と技術部の先輩です。2人とも、まあ怖かったです(笑)。分からないことはちゃんと質問しなければならない、自分の意見をしっかり発信しなければならない…色々とご指導頂きました。非常に仕事ができる先輩方で、その分仕事に対する思いも強い方でした。一方で、すごく優しい方でもあり、辛い時には親身になって助けてくれ、かなりかわいがってももらいました。その時に学んだことを伝えたいと思い、人事部に異動して半年後に、新入社員の研修教育を担当しました。新入社員の学生気分を一新させなければという私自身の想いも強くあり、新入社員にはずいぶんと厳しい指導をし(てしまい)ました。今では懐かしい思い出ですね。
入社当初に教えていただいた先輩方の影響がかなり大きいのですね。
田中様:その時に良好な関係を築くことができましたので、人事部に異動してからも助かっています。人事部は特定の部署と密接なつながりがあるわけではなく、広く多くの部署と接する必要があり、私という人間を知って頂いている方が他の部署にいらっしゃるのは大変ありがたいです。そういう意味で、前の職場では本当にいい経験をさせてもらったと思いますし、部署が変わっても人間関係がつながっているのは当社の良いところだと思います。
田中様は人事課長としてどのようなことを実現したいとお考えでしょうか。
田中様:現在の役職においては、判断と調整の仕事が主となっていますが、業務の流れを止めないことが求められていると思っています。私が仕事を抱え込んでしまうとそれだけ部署としての業務を停滞させることになるので、妥当な判断を、可能な限り早く出すこと、先手先手で仕事を進めることを心がけています。自分の力で何かを変えたいという気持ちは今でも持っていますが、それを部下にやってもらうのが今の私の仕事だと思っています。それで部下がやりがいを感じてくれたら成功だというスタンスに変わりました。自分の果たすべき職責はしっかりと全うしますが、願いが叶うなら、もう一度担当に戻ってみたいなと思いますね(笑)。
部署の雰囲気作りにも気を遣っています。上席者がムスッとしていると、部下は楽しく時間を過ごせないと考えています。部下からみて話しやすい、そういう上司を目指したいです。上司が部下を気にかける、先輩が後輩を気にかけるという面は、当社の強みだと思っています。社員同士、仕事をカバーし合って、組織としてより結束・団結したものになるよう、働きかけていきたいと思います。
御社への応募を検討されている方にメッセージをお願いします。
田中様:どの職種に対しても共通して言えるのは、やはり当社で長く働いていただきたい、つまり当社のあり方に共感をして頂きたいということです。ご入社後は当社の技術を思う存分知って、それをご自身の中で高めてもらいたいと期待しています。中途でご入社いただくことで、組織にも変化が現れることを期待していますが、ご自身のスキルや経験が当社での経験や人間関係と相まって効果を発揮するのはそれなりに時間がかかるものであるとも思っています。当社に入社することの意味をご自身の中に見出された方は、当社で必ず活躍できると思いますので、是非、門を叩いていただきたいと思います。
本⽇は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
―担当コンサルタントより―
今回の取材を通じて、株式会社タクマのボイラ技術の高さと開発力の高さを知ることが出来ました。アピールを重ねて案件を受注していくというより、技術の本質を追及し、最高の品質をお届けする。地域社会に密着し、社会と地球環境に貢献することこそ創業当時からの社是《汽罐報国》が脈々と受け継がれていると感じました。働く方々も人情味溢れ、上司が部下を心から気に掛け、長く働き続けられる環境が整っています。転職希望者の皆様に、是非エントリーをご検討頂ければと思います。
※《汽罐報国》:同社の創業者であり、明治・大正期の日本十大発明家でもあった田熊常吉翁が掲げた当社(当時は田熊汽罐製造株式会社)の社是で、「汽罐=ボイラ」の製造・販売・サービス等の企業活動を通して「報国」すなわち社会に貢献することを意味します。