企業インタビュー
[ 住友電気工業株式会社 ]
住友電気工業株式会社の中途採用や社風について、採用企画グループ長にお話を伺いました。
(2018.9.10.更新)住友電気工業株式会社 人事部 人材採用部 採用企画グループ グループ長 藤九秀規様
メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載している住友電気工業株式会社(以下、住友電工)の人材採用部 採用企画グループ長の藤九秀規様に、住友電工社のキャリア(中途)採用のポリシーや人事制度、社風について、コンサルタントがインタビューさせていただきました。
インタビュー
住友電気工業株式会社 人事部 人材採用部 採用企画グループ グループ長 藤九秀規様
御社がキャリア採用で目指されることについて教えてください。
当社では2005年くらいから、さらなる事業拡大・多角化に合わせてキャリア採用を拡大させてきました。当社の5つの事業分野、自動車関連、情報通信関連、エレクトロニクス関連、環境エネルギー関連、産業素材関連の全ての事業分野が拡大方針で、どの事業部も人材が不足しており、即戦力となる人材の採用に力を入れています。また、人材の多様性という観点でも、新卒入社の社員のみの一律な組織ではなく、キャリアで入社された方、女性、外国人の方など、様々な属性が活躍する組織にしていきたいと思っています。
御社では、全ての社員が幹部候補と伺いましたが。
総合職系で採用した方は、そうだと言えると思います。過去から企業規模に対しては採用人数が少ないこともあるかもしれません。若い頃に昇進が遅れた人も役員になれる会社です。過去に仕事で何か一つ×がついたからだめ、といった減点方式ではなく、ミスを取り返す努力をすれば誰かが見ていて、抜擢される文化があります。キャリア採用で入社した社員の方は、「住友電工は、(自分のいた会社に比べ)多くの人が、モチベーション高く業務に取り組んでいるのは、すごい」と言っていました。
御社の給与についてですが、大手メーカーの他社と比較してかなり高い水準になっていますよね。
他社の給与水準のベンチマークはしています。平均給与は肩を並べる水準にはなっていると思います。
女性の活躍の場を用意するために、事業所内に託児所があると聞いているのですが。
主要な事業所には託児所を設けており、4ヶ所になります。女性活躍のための取り組みにも力を入れており、最近では、保育所探しをサポートする制度“保活コンシェルジュ”は業者と契約して他社に先駆けて始めていますし、女性の採用割合も新卒入社で事務系40%、技術系15%を目標として精力的に取り組んでいます。
2003年頃から、女性が出産や育児のために辞めることを防ぐ施策に取り組んでいます。取り組みの結果、出産では退職しないということが当然という雰囲気になっています。2011年頃からは「女性が出産や育児を経た後も活躍できる施策」に注力しています。
女性の育休取得後の復帰率もほぼ100%ですよね。
当社では出産を機に辞める人は、ほとんどいないのではないでしょうか。今後労働人口が減っていく中で、女性活躍のための取り組みは必然的にやっていかなければならないですし、そもそも男女に能力の差はないですよね。女性が出産や育児のために一時的に休まれるだけです。女性は男性とライフステージのイベントが違うので、そこに配慮することは自然なことだと考えています。
御社では、どういう特性を持つ方が活躍されているのでしょうか。
個人的に面白いなと思っているのですが、皆さんがイメージされる“活躍している人”は活発な方というイメージではないでしょうか。当社で活躍する人は活発な人だけではなく、落ち着いた性格の人の中でもハイパフォーマンスを発揮する社員がたくさんいます。共通するのは仕事に対して情熱を持っていて、仕事や職場が好きな方が多いですね。仕事が好きといってもワーカホリックではありません。仕事とプライベートの区別ははっきりしています。
これまでのお仕事の中で強く印象に残っているエピソードはありますか。
入社して最初の勤務先は伊丹製作所でしたが、定年退職される方の退職精算の説明を行った時の話がとても印象に残っています。工場のガスや電気などの設備まわりの保全確認の業務を担当されていた方です。一見、変化のない仕事のように感じたのですが、その方は非常にまじめに、黙々と取り組んでいる方で、「私の自慢はこれなんです」と、すり減りきったパッキンを見せてくれました。点検で工場を回っていたある時、何かに違和感を覚えて上司に報告されたそうですが、上司は簡単に確認してみてくださいという反応だったそうです。しかし、いざ点検してみるとパッキンがすり減っており、放置すれば重大な事故が起こる可能性があったようで、「事故を自分の感覚によって防げたことが私の自慢です」とおっしゃっていました。点検というのは日々同じ場所を同じように行う作業だと思います。もしかしたら手を抜くことも簡単なのかもしれません。しかし、日々真面目にきちんと点検しているからこそ、違和感を覚えることが出来たのだと思います。目立つところで仕事をしている人だけでなく、陰でコツコツと頑張っている人にもスポットライトが当たり、努力がしっかりと評価される会社、社員を一人ひとり大事にする会社でありたいと強く思いました。普段から目立った活躍をしていた方ではなかったかもしれませんが、「住友電工はいい会社だ」と言って退職されました。定年退職の時には涙を流す方もいらっしゃいます。社員と会社がこうやって累々と信頼を積み上げてきたのだと実感しました。
御社の社員の方々は控えめな性格という印象を持っています。
控えめな性格の社員が多いですね。かっこいい、誇れるエピソードを教えて欲しいと聞いても話してくれないんです(笑)。
藤九様も控えめですよね。関東大震災の時の電線復旧作業のエピソードを詳しく教えていただけませんか。
そのエピソードは話せます(笑)。当時、電線メーカーは関東に多かったのですが、多くのメーカーが被災し、電線の供給が細る一方、関西が基盤の当社には大きな被害はありませんでした。復興には電線が必要なのに、供給メーカーがないという状況の中、物価そのものが上昇しており価格を上げることもできたでしょうが、震災前と同一の価格で、フル操業で供給を行いました。そのような姿勢が国や行政から評価され表彰を受けたのですが、「それが私たちの使命、当然のことをしただけです」と固辞しました。
萬事入精(ばんじにっせい)、信用確実、不趨浮利(ふすうふり)、この3つが住友事業精神の中でも特に大事にしているものです。目先の利益ではなく、長期的な視点で利益を上げていく。常に社会に役立つ製品を生み出し、先々を見通し持続可能な成長を通して雇用を生み、税金を納めて社会に貢献する会社が正しいと考えていますし、実際に住友グループは数百年存続しています。事業精神や当社の価値観に惹かれて入社されるキャリア入社の方も多いと思います。
「住友」の名前だけで固い印象を持たれる方が多いように想像しますがいかがでしょうか。
財閥系のガチガチな印象を持たれている方も多いのでしょうかね。実際はそんなことはなく、和気あいあいとした雰囲気ですよ。
社員の上下関係についてはいかがでしょうか。
多くの会社が、「うちは風通しがいいです!」と言います。採用の説明会で言うと嘘くさく聞こえるので、あまり好きな言葉ではないのですが、すごく風通しのよい会社だと思います(笑)。上司にも意見を言える環境ですし、フラットな環境だと思います。例えば上司が飲みに誘っても都合が悪ければ普通に断ることのできる職場は風通しのよい職場だと思っているのですが、私の部下はアポなしで誘うと4回中2~3回は断られます。嫌われているわけではないですよ(笑)。
御社の社員の方々と接する中で、社員を大事にする社風を感じるのですがいかがでしょうか。
キャリア採用で入社した人事担当から、「住友電工は社員に対して甘すぎるのではないか?」という声を聞いたことがありますが、「とはいえ、常に右肩上がりで業績を伸ばしてきたのだから、きっとこれが住友電工に合っているのだろう。」という言葉が続きます。当社の人事制度や組織風土には古い印象を持たれるかもしれませんが、社員を大事にするという風土は、今も昔も変わらず大切なことだと思っています。
御社の事業の特徴について教えてください。
多様な事業・技術を持っていることと、インフラから社会の根本を支えていることです。住友電工の総合力を世界で生かす場が増えてきており、社会をより良くしている実感や世界に貢献できているという感覚をより強く持てる会社になると思います。100年後、石油はもしかしたら使われていないかもしれませんが、電気は使われているはずです。電気やインターネットなどの通信技術がさらに浸透していく未来は住友電工にとって追い風です。“22VISION”という中期経営企画を発表しました。コンセプトは「総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する」。新しい技術で社会をよりよくしていくことが私たちの使命です。
藤九様の仕事に対する思いをお聞かせください。
入社当初からずっと人事ですが、本社労政グループ、伊丹製作所、大阪製作所、子会社の住友電工プリントサーキット株式会社など、いろいろな場所で人事を経験しました。私は事業に貢献できる人事でありたいと強く思っています。机上の空論やきれいごとばかりではなく、血肉通った施策を考案したり、意見の言える人事でありたいです。
御社の面接に行かれた方が、面接の回を重ねるに連れて志望度が上がっていくのですが、御社の採用について何か特徴的なことはありますか。
部門と人事で3~4回の面接を実施するのですが、面接回数も比較的多い方でしょうか。お互いにじっくり話し合い、理解を深めたいと考えています。選考というよりも、一緒に働く仲間を探す意識が強いと思います。会社側からすると、当社は簡単にリストラをするような会社ではありませんので、入り口を特に丁寧にしておかなければならないですし、適当に採用して、合わなければ辞めてもらったらいいというスタンスは社風に合いません。
中途(キャリア)採用ではどのような人材を求めていらっしゃるのでしょうか。
それぞれの職種で求められるスキルはありますが、どのポジションにおいても共通するのは様々な視点を持って、組織に悪い意味で染まり切らずに、変化や刺激を与えることのできる資質をお持ちの方、変化する環境への適応力の高い方に入社してもらいたいですね。現在は社会的にも、当社の事業的にも変化の時代です。変化・変革をリードしてくれる人材を求めています。
これから中途(キャリア)採用でご応募される方へメッセージをお願いします。
変化に富んだ時代において、多様な技術をもち、事業を展開している当社は社会に大きなインパクトを与え続けることのできる会社だと思います。私たちが社会を支えている、世界に貢献しているという実感を得ることのできる場が用意されています。当社の考えや事業精神に共感できる人に来ていただいて、基本的に定年まで、さらに定年以降の再雇用も含めて、当社でずっと活躍してもらいたいですね。
本⽇は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
―担当コンサルタントより―
今回の取材を通じて、多様な事業でビジネスを世界に展開し挑戦する住友電気工業社の話をお伺いし、長い歴史の良い部分を大事に残した上で、さらに変化する社会の中で最先端な事業に取り組み、時代をリードしていることを知ることができました。従業員の方々を大切にし、働きやすい環境を整えることで変化・変革をリードされています。より大きな仕事にチャレンジし成長したいと考えている転職希望者の皆様に、是非エントリーをご検討頂ければと思います。