【クラボウ(倉敷紡績株式会社)】技術研究所 メカトロニクス分野の機械開発責任者にインタビュー!

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砂川 義彦様 技術研究所 基盤技術グループ 主任研究員

01. 会社概要

1888年、地域産業の振興を目指し、岡山県倉敷市に「有限責任倉敷紡績所」として誕生したクラボウ。

以来、基盤となる技術を磨き、応用しながら事業を多角化してきたクラボウは、繊維から化成品、エンジニアリング、エレクトロニクス、バイオメディカルなどさまざまな事業分野へ進出。社会のニーズを鋭敏にとらえ、自社の技術が活かせる分野を見極めながら、事業開拓を続けています。また、若手にも責任ある仕事や大きなプロジェクトを任せ、「人を大切にし、育て伸ばす」社風が受け継がれています。創業130年以上の歴史があって堅実でありつつ、チャレンジングな人財にできる限りの努力を惜しまない、そんな会社です。

02. ご経歴について

砂川様のプロフィールについてお聞かせください

新入社員としてクラボウに入社して、技術研究所に配属となり、各種機械の設計に携わってきました。環境メカトロニクス事業部の検査装置やバイオ関連装置、繊維・化成品事業部の新規製品開発に関わる生産設備改良など、機械設計と電気設計を組み合わせたシステム設計に約20年間取り組んできました。

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03. 業務内容について

所属部署の役割・ミッションについてお聞かせください

研究所には数理科学、物理科学、光電工学、情報工学、物質科学、生命科学の6つのグループがあり、私は装置の設計・制御などメカトロニクスを専門とする物理科学グループの主任研究員です。私たちはコア技術となる新規技術の開発をおこない、その技術をシステム化や生産設備という形で製品化しています。

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グループ内での役割分担、物理科学グループの業務内容についてお教えください

基本的に機械に関するテーマは物理科学グループで担当しています。例えば、新しい繊維素材の開発案件の場合、物質科学グループのメンバーと協力して開発を進めていきます。物質科学グループのメンバーが新しい繊維の作製条件や処理の方法など考案し、物理科学グループはそれを具体化するための装置を製作します。装置作製は、単純に機械の構造(大きさや機構など)設計から、装置をどのように動かすかといた機械制御も実施しますが、新しい素材の生産方法が世の中にない場合は新しい機構や制御方法を開発します。

技術開発部との関わりやすみ分けについてお聞かせください

各事業部の技術開発部との違いはスタート地点です。技術開発部は商品というゴールに近いところからの開発です。一方で技術研究所はできるかどうか、わからないところからスタートします。そのため、ゴールするまでに時間がかかります。長期的スパンで開発するのが技術研究所で、ある程度商品への見通しがついた時点で開発するのが技術開発部です。技術研究所で開発をスタートして、商品化するための技術が定まれば各事業部に引き継ぎます。

また、自社工場の生産設備については、同じ商品ラインナップだけど生産量を大きくしたいといった設備変更の場合は技術開発部が行います。技術研究所では、例えば材料や製法を変えるなどで世の中にない製造方法が必要といったチャレンジ度の大きな案件を担当するケースが多くなります。つまり、できるかできないかが分からないところからスタートする開発は技術研究所が行っています。

部署として注力している技術や製品についてお教えください

技術研究所で取り組んでいる4つのプロジェクトのうち、特にロボットセンシングに注力しています。世の中の生産現場は人手不足で、ロボットによる自動化が進んでいます。しかし、ロボットにできることはまだまだ限られており、それを広げていきたいと考えています。そこで、ビジョンセンシングで開発した、ケーブルなどの動いている物体や形が定まらない柔らかい素材をハンドリングするための3Dビジョンセンサ「クラセンス」を用いたロボットシステムの開発に取り組んでいます。

一般的なロボットは形の決まった部品などを指示されたとおりにつかみます。しかし、柔らかくて不定形なケーブルだとロボットはどこをつかめばいいのか分からず、繰り返し同じ動作をさせることが困難です。実際には単にケーブルをつかめばいいわけではなく、例えばケーブルを所定の位置にあるプラグに差し込むなど、つかんだ後にどう処理するかが重要です。人間のように器用にケーブルを扱えるよう、専用のロボットハンドを開発し、カメラとハンドを組み合わせたロボットシステムをつくり、今までロボットにできなかった作業を自動化する装置を開発しています。

これまで印象に残っている仕事についてお聞かせください

入社3年目にバイオ関連のDNA抽出装置の付属装置の開発について、実験機製作から量産まで一連の開発を任せてもらいました。そんなに大きなテーマではありませんでしたが、実験から量産までは2年かかりました。一番戸惑ったのは、バイオ抽出といわれても何をするのかについて知識もなく、まったくイメージが湧かなかったことです。それを生命科学のメンバーに教わったり、実際の動作を見たりしながら、実験をおこない形にしていきました。実験機である程度結果が出たら試作機をつくってテストを行い、最終的にユーザーにテスト運用をしてもらい量産に漕ぎ着けました。ただ、量産の際も順調ではなく、作製した10台のすべてに不具合が出ました。今であれば最初からすべてうまくいくことの方が少なく必ず改良が必要になると分かっていますが、初めての経験だったので対応が後手後手に回り商品がリリースされるまでいろんなトラブルに直面しました。トラブルに関しては、先輩方のフォローもあり無事乗り切ることができましたが、この仕事が初めての連続で一番大変だったので印象に残っています。ただ、大変だったのですが、この時の経験は後々の仕事でもとても役に立ちました。

働く中で感じる仕事の魅力についてお聞かせください

世の中にあるものをつくるのではなく、無いものをつくっています。自分の考えや想像したものをつくり出し表現できることがこの仕事の魅力です。決まったルーティンを繰り返す仕事ではなく、新しい技術を生み出すことがミッションです。同じ仕事は二度となく、飽きることはありません。それがこの仕事の面白さです。

また、バイオや繊維、半導体など違う分野のテーマを担当するので、技術的な内容が理解できることもあれば、何を話しているのかさえ分からないこともあります。そういう部分は大変ですが、逆に様々な業界について新しい知識を吸収できることが魅力です。例えば、繊維の機械は古くから使われ続けている技術も多く、特殊な機構を持っています。そんな機械を一から理解していくのもなかなか難しいのですが、面白さや発見もあり、さらにはその発想を他の分野の開発に活用できることもこの仕事の面白さです。

これから取り組んでいきたい仕事についてお聞かせください

当面はロボットセンシングに注力していくので、この技術を伸ばしていきたいと思います。

一方で、クラボウ全体を考えた時に、繊維事業部や化成品事業部では自社工場で生産しているので、そこの生産設備や生産技術を高めて、会社全体でさらに高付加価値のある商品をつくれるようにしていきたいと考えています。今まではどちらかというと化成品分野は物質科学グループが開発を行っており、物理科学グループが生産技術のところから一緒に取り組む機会はあまり多くありませんでした。10年位前から一緒にやっていこうということになり、そこからは機会も増えてきました。一緒に取り組んできた中で、繊維分野や化成品分野で生産技術を向上させることは絶対に必要なことだと感じています。

他社よりも良いものをつくるためには、他社にはない機械が必要です。新しい処理をしようと思うと新しい機械が必要です。材料の開発と生産機械の開発は表裏一体なのです。今までは協力会社に機械を開発してもらうケースが多かったのですが、そこを自社でやれば会社のノウハウとして残り、装置を外部に提供することもできるようになります。そうなれば、材料と装置の両方で会社の収益に貢献することができます。個人的にはこのテーマに取り組んで、より良い製品を生み出す機会を開発したいと考えています。

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04. 社風や働き方について

会社の風土、職場の雰囲気についてお教えください

研究所では意見を言いやすい環境があると思います。会社全体では自由な議論がしやすい職場が多いと思います。若い頃から実務の進め方や開発のアイデアについて上司や先輩とフラットな議論をさせてもらい、自分のやりたいことも多く実現させてもらえました。技術的な議論など自由に議論して、自分の意見をオープンしやすい風土があると思います。もちろん、すべての意見が通るわけではなりませんが、いきなり否定されることはなく、意見に対して上司や先輩はきちんと耳を傾けてくれます。

研究員の働き方についてお聞かせください

研究員の仕事内容は一定ではありません。長時間取り組んだ方が仕事の効率が良い場面と逆に短い時間で終わる仕事があります。今はフレックス制度が導入されていますので、例えば今日の夕方に私用がある場合、長く実験できる日に実験を済ませておいて、予定がある日は短時間で終わる事務作用をするといった柔軟な時間の使い方ができる環境があります。一定の制約はありますが、フレックス制度をうまく使えば仕事とプライベートを両立させることができます

また、新型コロナの影響もあって在宅勤務も推奨されており、実験した結果をまとめるなどのデスクワークなら出社する必要はありません。そうした仕事は在宅勤務で、研究所でしかできない実験や設計などものをつくる仕事の場合は出社しています。

家族の行事などがある場合もフレックスや在宅勤務を有効に使えます。私も通勤時間が1時間以上かかるので、今は各制度を利用することでとても働きやすくなりました。

 

05. 求める人物像について

どのようなスキル経験、志向をお持ちの方を求めていますか

生産設備や産業機器のシステム開発に携わり、機械設計と電気制御の両方のスキルと実務経験をお持ちの方でテーマ全体を管理できる方を求めています。特に技術研究所の物理科学グループでは研究員が機械設計と電気制御の両方を担当します。機械設計と電気制御のいずれかが得意でしたら、経験の浅い方のスキルを入社後に磨いていただいても大丈夫です。

開発案件としては、社内外の様々な業界の仕事に関わりますので、いろんなことに挑戦して知見を広めたい、また、ルーティンの仕事より、新しいことに次々取り組んで世の中にないものをつくりたいという志向の方が適していると思います。

キャリア入社者に期待すること

一番期待するのはテーマ全体の技術的な推進、それに関わる業務の管理ができる人です。テーマの実務を主に推進していくのは若い研究員が担当します。グループとして今は3つのテーマを担当していますが、近い将来にそのうちの1テーマを計画の立案から開発の推進までを担当できる方を求めています。実務能力と経験を生かしてテーマの計画立案から進捗管理を担い、グループの中心となる活躍を期待しています。

06. 取材を終えて

技術研究所では、高い専門技術のスキルを持つ人材を求めていますが、特にその中でも物理科学では幅広いスキルを求めており、そのような実務経験をされている方は少ないと思います。ただ、自分の能力を発揮しやすい環境にあり、フレックスやテレワークなど働きやすい環境も整っていますので、是非とも一緒に働いていただける方に来ていただきたいと考えています。

 

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この記事を書いた人

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釜瀬 里佳

株式会社タイズ

  • 関西メーカーへの高い合格率に自信あり。メーカーへの深い知見、太いパイプを活かした転職のご支援をさせていただきます
  • 「勤務地・給与」といった条件だけではなく「働きごこち・忙しさ・社風」など転職の軸を丁寧にヒアリングさせていただきます。
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