企業インタビュー
[ 株式会社村田製作所 ]
【(株)村田製作所】インフラエンジニアに業務のやりがい・教育体制・将来の展望をインタビュー!
01. 会社概要
世界トップ級の電子部品専業メーカー。7年で売上2倍:1兆6,302億円、営業利益率19.2%(2020年度実績)と圧倒的高収益を実現。海外売上高が90%を超えるまさに日本を代表するグローバル企業です。積層セラミックコンデンサの世界シェア40%、ショックセンサ95%、SAWフィルタ50%など、TOPシェア多数。
誠実、まじめ、穏やかな方が多い風土。技術開発には積極的で、原材料から設備まで自社開発を行う自前主義を徹底し、世界初、日本初にこだわり、世にない技術、真似できない技術を追求する企業です。権限移譲で任せる風土があり、営業や開発の決裁権が係長クラスに任される場合もあり、若いうちから大きな権限を持って業務に携わることが出来ます。
02. ご経歴について
ご経歴と現在の業務内容をお教えください
新卒でSIerに入社し、インフラエンジニアとしてシステムの要件定義、設計、構築、運用と最初から最後まで関わる大きなプロジェクトを2つほど経験した後、お客様先にSEとして常駐するなど約5年の経験を積みました。その後、村田製作所に転職して今年で5年目を迎えます。現在の業務はインフラシステムの担当です。ビジネスの根幹を支える基幹システムのインフラが止まると村田製作所のビジネスが止まってしまいます。だから、電話を肌身離さず持ち歩き、夜も枕元に置いています。大変だと思われるかもしれませんが、村田製作所のビジネスを支える仕事に大きなやりがいを感じています。
03. 入社までの経緯について
転職を考えられたきっかけについてお聞かせください
前職では、ベンダの立場でユーザであるお客様にシステムを提供し、お使いいただくという形でITに関わっていましたが、お客様にとって本当に良いシステムとはなにかを考えようとしたとき、どうしても越えられない壁のようなものを感じていました。
例えば、わかりやすいところで言えばお客様には予算があり、お客様側の方針があり、思いがあります。ベンダとしてはお客様の思いを引き出し、共感し、形として作り上げていくということが求められます。ところが、ベンダはその思いに直接ふれられるわけではなく、なんとかお客さまからシステム要件として引き出し、システムに落とし込んでいくことになります。この過程で、認識の齟齬があったり、そこにかける思いのくみ取り方が違っていたりすると、誤ったものができあがるという最悪の事態になってしまいます。ベンダの立場でITに携わっていたころから、お客様が欲しいものは何なのかを決める要件定義においてお客様側の思いの重要性を強く感じていました。
このような経験から本当に良いシステムを作るためには、何が欲しいのか自ら要件定義するお客様側のIT部門の方がダイレクトに思いが込められ、実際にITがビジネスに貢献するところまで見届けられるのではないかと思い転職を考え始めました。
転職先としてグローバルIT企業などはお考えになりませんでしたか
グローバルか否かという軸では考えてはいませんでしたが、将来性がありITとしても今後大きく拡大していく可能性があるかどうかというところは意識していたと思います。
村田製作所の求人に応募した理由は何ですか
将来性を感じていたというのが一番大きいです。転職支援サービスからスカウトという形で案内をいただいた中の1社が村田製作所でした。応募時点ですでに急成長を続けていましたし、今後も大きく拡大していくことが容易に想像されたので、ITに対する期待も大きくなるだろうと考えて応募しました。間違いなくなにかが起こるだろうと外から見ていてもワクワクするような魅力がありました。
他の会社にも応募しましたか
あまり積極的にたくさんの会社に応募したというわけではありませんでした。当時は、必ずしも転職しようと考えていたわけではなく、スカウトが来たら応募するか考えようという感じで進めていました。前職には自ら手を上げて異動する公募の仕組みもあったので、公募で異動するか、転職するかどうしようかと考えていたときに村田製作所の選考の案内を受け取り、結果としては転職することになった、という形でした。
1次面接はどのように行われましたか?
村田製作所は本社が京都にある会社ですが、東京で面接の機会をいただけたのは良かったです。当時私は東京に住んでいましたし、今ほどリモートでの面接なども盛んに行われていたような時期でもありませんでした。IT関連のエンジニアは東京に集中しており、関西まで面接に来てください、となると会社を休んでいくなどそれなりの覚悟がないとなかなか厳しいと思います。
面接で印象に残っていることはありますか
最終面接ではIT部門の部長が面接官で、転職の動機についてかなり深掘りされました。
先ほどお話したように、ベンダ側よりユーザ側の方がITへの思いが込められるのだという話をしました。面接官である部長からは「そこをベンダの立場で提案していくのがあなたの仕事なのでは」と痛いところを突かれました。まったくその通りなのですが「ベンダと中のIT部門には壁があるということを、身を持って体験してきた」と話したのが印象に残っています。
04. 業務内容ややりがいについて
入社後にギャップを感じたことはありますか
ギャップはありませんでした。入社前から想像していた、急拡大していくビジネスに必死に食らいついていく情報システム部門そのものでした。実際に中に入ってみると、急拡大する仕組みについていく過渡期にありがちなことがよく起こっていました。システム構成図や設計書が最新化されていないことや、特定の人だけが知っているという「属人化」などです。私がやれること、やるべきことは無限にあると感じました。
そうした課題をどのように解決していったのですか
とにかく人に聞きまくりました。ドキュメントがない以上は人の脳内から情報を聞き出して、私がアウトプットするしかありません。私が入ったインフラチームのみなさんも、入社して間もない私がどんなスキルセットを持っていて、何がお願いできるのかというところがわからない状態で戸惑っていたように思います。とにかく、手当りしだいまわりの人に聞いて回ってドキュメント化するということをひたすら続けました。
当然ですが、最初は信頼関係ゼロという状態なので「よくわかっていない人」から始まるわけですが、集めた情報をドキュメント化し、更新し続けた結果、少しずつチーム内で「構成が分かる人」になり、次第に相談をいろいろと受けるようになっていきました。
当時の情報部門はどのような状況でしたか
あるべきドキュメントが最新化されていない、ノウハウが属人化しているという話をしましたが、当時はそれでも成立していたのだと思います。当時、面倒を見ていた物理サーバの数や仮想マシンの数から考えればそれでも運用が成立していたのだと思っています。規模からすれば誰かが理解していれば良い、作業依頼や改善のリクエストに対してベストエフォートで対応すれば良いという世界で、阿吽の呼吸で成り立っていたというのが実態だと思います。
ただし、これから面倒をみるサーバの数が増える、求められるサービスレベルも上がっていくという世界を考えたとき、チームとしてスケールする準備が必要だと考えていました。まさにインフラチームは大きくなっていく過渡期を迎えていたと思います。
これまでで一番印象に残っている仕事は何ですか
2018年に立て続けに発生した重大障害への対応です。一度止まってしまうと村田製作所のビジネスが止まる重要な仕組みである基幹システムが、半年のうちに同様の障害で3回も停止するトラブルがありました。
当然、故障による障害などの備えはしていますので、即日復旧はするわけですが、同様の障害が3回も発生するというのは由々しき事態です。なんとかしなければまた止まるかもしれない。もしかしたら今日止まるかもしれない、そんな状況でした。
そこで、問題が発生していた物理サーバの構成を変更することにしました。世界中の拠点が利用するサービスを担っていた1台の物理サーバが問題であることは特定できていたので、本サーバを仮想化し、かつ、万が一のサーバ停止の際も影響が局所化するよう拠点ごとにサーバを分割することにしました。「4回目が起こる前に対応せよ」と意思決定をしてからは即変更を反映し、それからこの障害は発生していません。意思決定と実現にいたるまでのスピードは、非常に早く驚きました。
情報システム部門での障害対応においては、お客様のご迷惑にならないよう、納期を常に意識しています。村田製作所ではお客様のことを得意先と呼んでおり、システムに障害が発生したときに最初に確認するのは「出荷への影響はないか?得意先への影響はないか?」です。得意先にご迷惑のないよう、出荷への影響を最小化するよう最優先での対応を求められます。
ベンダにいたころも同じように障害対応は経験してきましたが、障害影響が長引くと直ちに自社のビジネスに影響するという緊張感はベンダにいたころよりも、より強く感じています。
これから取り組んでいきたい仕事はありますか
海外を含む全拠点で利用できる、クラウドサービスを活用したグローバル共通基盤の構築を考えています。
IT基盤に求められるビジネス要求は日々、高度化・多様化し続ける一方、IT技術も日々進歩し続けています。最新技術の情報を追い求めながら、村田製作所のビジネスを支えるIT基盤はどうあるべきかを考えながら常に情報を集めています。
昨年4月から海外拠点のインフラ担当からなるグローバルサーバインフラ標準化プロジェクトを立ち上げ、グローバル共通基盤の構想の検討を進めています。これまでは各拠点で必要な基盤は各拠点でまかなうということが行われてきましたが、これからは各拠点において共通で必要なコンポーネントはグローバル共通基盤として提供することで集約が図れるのではないかと考えています。
もともとは、海外拠点のインフラ担当を京都に招いてGlobal Server Infra Summitなる名前でグローバル共通基盤について直接ディスカッションしようというイベントを開催予定でした。しかし、昨今の事情により現在はMicrosoft Teamsを利用したオンラインでのコミュニケーションに代わっています。定例会議は時差を考慮して3回に分けての開催になるなど大変なことも多いのですが、このような状況下においても検討のスピードを緩めることなく推進を続けています。
グローバル共通基盤ではビジネス側からの要求に対して、いつ、どんなときに、どんなロケーションでもアプリケーションが実行できる柔軟な基盤を目指しています。
05. 働き方や社風について
コロナ対応で変化したことはありますか
テレワークの環境や制度が整っていることもあり、コロナ前後で大きく変わったことはありません。困ったときはTeamsでメンバと気軽に相談できますので、直接会って話ができなくて仕事に差し支えるということもほぼないです。
インフラチームにはどんなタイプの人が多いですか
インフラチームにとって障害は間違いなく敵なのですが、障害が起こると急にスイッチが入る人は多いと思います。障害をいかに減らすかという活動は常に行っているわけですが、決して障害はゼロにはなりません。そのため、発生してしまったときには、いかに早く復旧させるかというのがインフラエンジニアとしての腕の見せ所になります。どんな状況におかれても、前向きに捉えて、業務影響を最小化するように障害を取り回せるという人は多いと思います。
ベンダでのインフラエンジニアの経験がある人であれば、インフラ運用に関するノウハウを村田製作所で活かすことができることがたくさんあると思います。
残業はどれくらいですか
多くて月30時間くらいです。私は業務の性質上、夜間や休日のトラブル対応を行うこともあるため、スーパーフレックスという仕組みで働いています。一般にいうフレックスという仕組みもありますが、スーパーフレックスには、フレックスには定義されているコアタイムがありません。
障害対応のために残業となってしまった分は、別の日は勤務時間を短くするなど柔軟な働き方ができます。このあたり人によって好みはあるかもしれませんが、勤務時間を柔軟にコントロールできるのは良い仕組みだと思っています。
新しい技術は独自で勉強されているのですか
私は、基本的に自分で勉強するということのほうが多いですが、有償無償問わず、社外の研修を受けることができる仕組みは整っていますので、学びたい人は自分自身が学びたいことを学べる環境があります。もちろん、その学びがどのように業務に活かされるのかという說明は求められますし、その研修で何を学んできたのかという報告も必要になりますが、自分で探してきた研修を受講することができます。
私は基幹システムのインフラ担当でvmwareの仮想化基盤を利用していることもあり、vmware社の最新情報をチェックする意味も込めて同社の最も大きなイベントであるvmworldに参加しています。日本にいてもローカライズした別のイベントで情報は得られますが、世界で最初の最新情報に最も早くアクセスできるというのはエンジニアにとってはとても良い機会だと思っています。
英語学習を支援する制度もあります。業務では英語が必要となるシーンも多く、英語の勉強をしている人は多いと思います。英語のスキルをはかるためのTOIEC IPは社内で受けられますし、業務上、海外拠点に出向することが必要になったが、英語のスキルに不安があるというケースでも、出向前に数ヶ月フィリピンで語学研修を受けることができるなど、英語学習の支援制度は整っています。
最後に村田製作所へ転職を検討されている方へメッセージをお願いします
やれること、やるべきことが山ほどあります。その中で、自分自身でどんな世界を作り上げたいのか、それがどのようにビジネスに貢献するのかを描き、說明できれば、大きな裁量をもって仕事をすすめることができます。
もちろん、最初からできるにこしたことはありませんが、英語はまだちょっと自信がない、最新のクラウドサービスの動向にまだついていけていないなど、少し自分に不足があると感じていても、自ら学び、立ち上がろうという人には惜しみなくたくさんの機会が与えられます。そんな環境に関心があれば村田製作所でぜひ一緒に働いてみませんか。