企業インタビュー
[ ソニー株式会社 ]
【ソニーセミコンダクタソリューションズ】世界トップシェア/イメージセンサーを開発する「大阪オフィス」の現状と今後・中途採用について
01. 会社概要
イメージセンサー、マイクロディスプレイ、各種LSI、半導体レーザーなどを含むデバイス事業を展開。中でも金額シェアトップを走るイメージセンサーはモバイル向けを中核として、車載やセキュリティカメラ、ファクトリーオートメーションなどの新規領域における成長が期待されています。
02. 大阪オフィス設立について
2020年4月1日に大阪オフィスを設立された背景についてお聞かせください
当社のCMOSイメージセンサーは多くのモバイル機器に搭載されており、世界規模で需要が拡大しています。今後も市場拡大が見込まれるモバイル機器やIoT市場向けCMOSイメージセンサーの設計開発能力を強化し、製品ラインアップの拡充を図ることを目指して大阪オフィスを設立しました。当社にはすでに厚木と福岡に開発拠点があり、優秀なエンジニアが集まっていますが、大阪オフィスを拠点として関西の優秀なエンジニアも獲得していく計画です。
大阪オフィスではどれ位の設計者が働いておられますか
約95名の設計者がいます。そのうち10名が立ち上げのために関東や九州から赴任してきた設計者なので、大阪で採用した設計者が大半を占めています。
大阪のビジネス街である中之島にオフィスを構えた理由はありますか
他事業所と連携するのに往来しやすい場所を考えました。設計領域から立ち上げていますが、いずれ全ての商品プロセスを担える組織へ拡張する計画がありますので、顧客と打ち合わせする際にも利便性が良い場所を選択しています。
現時点(2020年末)での大阪オフィスの業務内容を教えてください
モバイル機器向けCMOSイメージセンサーの画素設計、回路設計、実機評価を大阪オフィスで担っています。CMOSイメージセンサーは画素フォトダイオードで光を電荷として蓄積し、アナログ回路で電気信号として取り出し、デジタル回路でクリーンなデータにして出力します。
人材リソースの強化は計画通り進んでいますでしょうか
想定以上に順調に進んでいます。
当初の計画では最初の1年で50名体制を目指していましたが、設立して半年ほど経った段階でエンジニアは90名を超えており、当初のリソース計画の倍で推移しています。関西の優秀なエンジニアを多数採用できたため、事業計画も半年前倒し、大阪チーム主体の商品開発がすでに始まっています。
今後の組織体制の構想をお教えください。
中期的には大阪オフィスを200名規模の体制にして、複数の商品を同時に開発できる規模に拡大したいと考えています。まずは設計から立ち上げていますが、商品プロセスの一部分です。将来的には大阪オフィスを商品企画から顧客サポート、製造までを完結できる自立した組織にすることを目標にしています。
大阪オフィスの雰囲気はいかがですか
自分たちで大阪独自の基盤を作り上げようという雰囲気があります。
例えば、大阪オフィスのデザインは若手エンジニアたちが企画しコンセプトデザインをしました。厚木や福岡では効率性を重視し、設計カテゴリごとに集まり、席を固定して開発を進めていますが、大阪はABW(Activity Based Working)というコンセプトに基づいて空間設計された環境で業務を行っています。チームでエリアを固定せず、業務内容に最適化されたエリアを自身で選択するスタイルです。一人で集中したい時、2~3人で議論したい時、ブレインストーミングしたい時、それぞれの業務に適した場所を選択可能です。エンジニアにとって良い商品を作り出すためのアイデアを発案しやすい環境になっています。こうしたオフィスを若いエンジニアたちの提案で作り上げたことを誇りに思っています。
また、このような職場で働くメンバーも”面白い”仲間たちが集まりました。
様々なバックグラウンドを持ったエンジニアが集結し、多様性のある組織となっています。経験してきたアプローチやスキルは違いますが、それぞれが異なるベクトルを持ちつつ、一つの大きなベクトルを作っているイメージがあります。
これは関西特有かもしれませんが、ちょっとしたことでも議論して解決しようとする方が多いです。少しでも気になることがあれば、コミュニケーションして課題の本質を理解した上で問題解決していくという雰囲気があります。将来が楽しみな仲間たちです。
大阪の拠点ならではのオリジナリティとは具体的にどのようなものですか
CMOSイメージセンサーの付加価値は「想像力」から生まれます。モバイル機器がユーザーにどんな使われ方をされているか、ユーザーの不満は何か、OEMメーカーが課題だと思っていることは何か、先回りし想像し、解決策を提案していきます。
大阪オフィスの活発なコミュニケーションの中から、オリジナリティ溢れるアイデアが発案されること期待しています。今、大阪オフィスで開発しているものが商品化されれば「世界初」のCMOSイメージセンサーができますので楽しみにしていてください。
03. イメージセンサーの将来や魅力について
ソニーのイメージセンサーが世界トップシェアになった背景をお教えください。
当社はイメージセンサー技術でブレイクスルーを何度も起こした歴史があります。個人的な意見ですが、ソニーではやりたいことはやってみようという文化があり、その挑戦の積み重ねがイメージセンサーの強みとなっていると考えています。そして、挑戦したいと思うエンジニアがたくさん集まっているからこそ出来ているとも思っています。
モバイル向けセンサーの将来をどのようにお考えでしょうか
モバイル向けセンサーは人間と行動を伴う限り、進化し続けると思います。ビューイングだけでなくセンシングも融合させてQuality Of Lifeを更に向上させていきます。
イメージセンサーの開発に携わる面白さをお教えください。
社会への貢献とユーザーにKANDOを提供できることです。
現在はまだまだ通過点であり、イメージセンサーは様々な環境に拡大していきます。モバイル機器も形を変えて身の回りに溶け込んでいます。イメージセンサーはAIと融合して私たちの生活を大きく変えてくれるでしょう。世の中を驚かすようなKANDOを生み出すダイナミックな開発に携われることが面白さだと思います。
04. 中途入社の人材について
どんなキャリア・志向を持った方が活躍されていますか
いろいろな経験をされた方が集まっています。
まずは イメージセンサーの開発経験があり、世界最先端のセンサーを開発したいとの想いで入社された方々です。前職の経験を基に、当社のやり方をうまく吸収して主体的に仕事を進める人は活躍しています。
次に、大規模LSI開発に携わっていた方々です。半導体のロジック設計やアナログ設計を経験されていた方は、入社後の教育期間を経て、設計に貢献してくれています。特に仕事に上手くフィットされる方は前職で全体を見るような経験してきた人たちです。全体を見つつ細部を見るというような「視点を行き来させる経験」を持つ方は課題認識も早く、必ずしもイメージセンサーの経験がなくてもすぐに活躍されています。
活躍しているエンジニアに共通することは、好奇心が強く、主体性を持ち周囲に働きかけて、自分が納得するまで本質を探究するタイプの方です。中には自分の担当だけではなく、隣の領域にも興味を持って話を聞きに来る社員もいます。当社ではこうした行動を抑制せずに推奨する文化があります。
05. 働き方について
コロナへの対応はどのようにされていますか
コロナ対応は今一番重視しています。毎日の感染リスク状況を把握し、迅速に判断しています。現在、大阪では感染者が増えているので出社率を制限して、テレワークの比率を上げています。一回目の緊急事態宣言が出た時はテレワーク環境が揃っておらず、効率が落ちた時もありましたが、今では、業務効率を落とさずテレワーク可能な環境が完全に整いました。中にはテレワークで効率が上がったというメンバーもいます。ABWとテレワークを上手に組み合わせて大阪オフィスならではの働き方改革を推進していきます。