企業インタビュー
[ クオリカプス株式会社 ]
医薬用ハードカプセル・製剤関連機器事業国内トップシェア! 【クオリカプス(株)(三菱ケミカルグループ)】社長インタビュー 新たな経営計画や事業ビジョン・求める人材像について
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01. 会社概要
三菱ケミカルグループとして、「医薬、健康食品用ハードカプセル」と「医薬品製剤関連機器」の2つの事業を手がけるクオリカプス株式会社。前者のハードカプセル事業においては、品質に対して非常に高い評価を得ており、医薬用ハードカプセルでは国内1位、世界でも2位のシェア実績を収めております。後者の機械事業においても、国内のほとんどの製薬メーカーに同社の機械が使用されており、シェアを拡大してきました。
今回は、2020年7月に代表取締役社長に就任された松村様に、今後の事業展望を中心に、求める人材像について語っていただきました。
02. 松村様のご経歴について
まずはプロフィールをお聞かせください。
大学では合成化学分野を専攻し、卒業後は大手食品系メーカーの研究所で薬品の研究開発に10年近く携わりました。その中で「研究だけでなくビジネスもしてみたい」という想いが芽生え、アメリカのビジネススクールへ2年間留学し、MBAを取得しました。帰国後は5年程、コンサルティングファームにてキャリアを構築し、元々のホームグラウンドであった薬品・ヘルスケアの分野へ戻りました。医薬品・医療機器を扱う外資メーカーでは、日本およびアジアパシフィックでのビジネスに携わりました。その後、「外資で培った経営ノウハウとリーダーシップを活かし、日本の企業を成長させたい」という使命感のもと、クオリカプスを含めた日系企業で仕事をするようになり、現在に至ります。
03. 経営計画について
どのような計画になりそうでしょうか。
5年後を創るためには10年後、20年後を見据えるべきです。今だけでなく、クオリカプスは将来どのように成長していくのか。将来のマーケット、競合、技術がどのように進化していくかも見据えた上で、「5年後に我々がどうなっていたいのか」というビジョンを描くことが重要です。その上で、「ビジョンに到達するため」には何が必要か、現状のギャップは何かを考えています。「マーケティングは?」「生産はどうするか?」「開発はどうするか?」さらにそれらを支える「人材はどう確保・育成するのか?」と色々な打ち手を考え、社員たちが「これは達成できる、絶対にやってみたい」とワクワクするような経営計画をつくりたいと考えています。
5年後、どのようなビジョンをお持ちでしょうか。
現在、三菱ケミカルホールディングスグループでは「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」を目的とした「KAITEKI実現」をビジョンとして掲げています。その中で当社は何ができるか。従来の定義にとらわれない、大きな視点で考えています。従来のカプセルの定義は「ある効力を持つ物質を封じ込めて保存し、体内の必要な場所へデリバリーして溶出する」でした。この定義を人体からさらに拡げることで、医薬品・健康食品を超えた様々な業界でも応用できる可能性があります。
例えば三菱ケミカル社の若手が発表したアイデアは「タイムリリースできる肥料」。クオリカプスのハードカプセル技術と三菱ケミカルの素材を応用し、ある条件下で肥料を徐々に土壌へとリリースできる肥料ハードカプセルを開発するアイデアです。既存の市場を大切にしつつ、分野を超えたアイデアが、従来にない視点を持つ若手の間からさらに出てくることを期待しています。
既存市場である医薬品・健康食品分野でも、顧客の様々なニーズに対するソリューションをハードカプセルという形でいかに具現化するかという点で、より進化していけると考えています。例えば胃だけではなく小腸や大腸など、薬を適切なタイミング、場所へデリバリーできるようなハードカプセル。これまで積み上げてきた当社のノウハウと、三菱ケミカルの多様な素材を組み合わせて、体内における溶出のタイミングをコントロールできるような今までにないハードカプセルを開発していきます。また、高齢者も正しく服薬できる服用タイミングがマーキングされたハードカプセルなども、5年後を見据えた中で開発を進めているプロジェクトの一つです。
セールスに関してはどのような取り組みを推進していかれますか。
顧客が最終的に、ハードカプセルとその製剤関連機器で何を達成したいのか。そこをしっかりと把握し、最適なソリューションを提供することがセールスの役割であり、最大の醍醐味だと思います。例えば健康食品のメーカー様から「大きさはこれくらいで、色は赤のカプセルを作ってほしい」と依頼された場合ですが、言われたままのものを作って持っていくだけでは、セールスの役割を果たしているとは言えません。「なぜ、その大きさなのか?」「なぜ、赤がいいと思ったのか?」「その形態で、本当は何を達成したいのか?」を考え、達成したい事に対して、「その形態は果たして正しいのかどうか」というところまでを突き詰めて会話し、顧客に提案する。そんなセールスを推進していきたいですね。
できる人だけが経験則に沿って行うという暗黙知ではなく、組織の中で形式知として定着させ、継続的に発揮できる仕組みを作っていきたいと考えています。そのためには、マーケティング機能の強化も必要です。顧客のニーズがどのような前提で発生しているのか。市場や技術は今後どのように進化していくのか。競合はどのように動いているのか。そうした情報をしっかりと統合し、マーケティングとセールスの両輪で回していく仕組みを構築したいと思います。
また、セールスという「プッシュ機能」も大切ですが、顧客が自ら見に来てくれるような「プル機能」も強化していきたいです。例えば東京、スペイン、アメリカといった拠点にショールームを開設し、我々の機械とハードカプセルの生産工程を直に見ていただきながら、顧客と一緒に次世代のカプセルをオープンイノベーションの形で創出していく。顧客自らが相談しに来てくださるビジネスモデルを作っていきたいと構想しています。
04. 今後の展望について
エリア展開に関しては、今後どのように進めていかれるのでしょうか。
現在、日本の奈良、アメリカ、スペイン、カナダ、ブラジル、ルーマニアに製造拠点を展開しています。医薬品・健康食品共に、当社への需要が大きく拡大していくエリアや国はどこかという観点で、より地域軸でのセグメンテーションによる展開を今後も進めていきます。医薬品に関しては、例えばアメリカが挙げられます。製薬の中心国であり、グローバル製薬大手のみならず注目すべきベンチャー企業も多数あります。クオリカプスとしては川下だけではなく基礎研究の段階から我々のソリューションを提供するために、技術営業が積極的に情報収集と提案活動を行う拠点の開設などが考えられます。
また、最終的な医薬品の消費マーケットとしては、やはり今後はアジアが大きく拡大していきます。中国、東南アジア、インドといった人口拡大の著しいマーケットに対し、どのように我々のソリューションおよび製品を提供していくかが今後の鍵になっていくことでしょう。世界のどこに顧客が存在し、どのようなニーズがそこにあるかを見極め、技術とセールスを含めた我々の部隊がいかにカバーしていくべきかを考える必要があります。
生産・開発に関しては、どのような発展を目指していかれますか。
日本国内においては、製剤関連機器の開発・製造拠点である「いまご事業所」を新たに開設しました。5年後を見据えてキャパにゆとりを持たせた規模にしましたので、その能力を活かし、次世代・次々世代の生産機械の開発を加速していきたいと考えています。また、そのためには社内だけでなく、産学共同など社外との共同研究・共同開発といったアライアンスの推進も必要になるでしょう。生産に関しては、やはり全世界における生産の最適化が必須であると考えています。世界規模でのマーケットニーズの拡大を見据え、どの地域で何を作り、どの顧客に提供するかをグローバルな視点で策定していかねばなりません。
経営計画を達成していくための仕組み作りに関してはいかがでしょうか。
全グローバル拠点における標準化はなかなか困難ですが、一定の基準を作り、それに沿った生産・開発・セールス活動を各国の拠点で展開していきたいと考えています。仕組みそのものに関してだけではなく、教育を含めた制度が必要になってくると思います。
05. 社風や中途採用の求める人物像について
大事にしている企業風土、人材に対する考え方についてお聞かせください。
どんなに良い「戦略」と「ビジョン」を作っても、最終的に実行を担うのは「人」です。会社の最も重要なアセットは「人」であると考えています。ビジョンの実行を一人ひとりが100%自分事として考え、オーナーシップを持って推進していける。そのような仕組み作り、風土作りが経営者の仕事だと自負しています。例えば、現在進めている当社のミッション・ビジョン作りにおいては、社内の様々なメンバーを巻き込み、共同作業で策定を進めています。400人全員が直接携わることは物理的に困難ですが、何らかの形で策定に関わり、ミッション・ビジョンに対しオーナーシップを感じられるような作り方をしています。当社が「何のために存在し、何を行い、どんな方向へと向かっていくのか」。全員が自分事として共有し、将来の姿をイキイキと描き、自分と会社の使命を共通化できるような組織を構築していきます。
今後、どのような人材が重要になりますでしょうか。
既存の社員は長く在籍している人が多く、高い経験値と知識を有しています。一方で、その成功体験から外れたことになかなか踏み出せない、という面があるかもしれません。なので、これから入社する方は「何か違うことができないか」を常に考え、積極的にチャレンジしていただきたいと思います。「リスクを取ってチャレンジする以上、失敗しても構わない」。これは私が常々、社内に向けて出しているメッセージです。これまでのゲームと明日からのゲームは全く同じではなく、変わっていくことは世界の流れから見ても必定です。昨日の成功体験が、明日の成功には必ずしも繋がらない時代が来ています。そうした危機感を持ち、「何を変えねばならないか」「どんな新しいことをやるか」を考え、チャレンジすることに対してワクワクする。そのような方を強く求めています。
特にキャリア採用者には、異なる職場で積んできた経験値からの新たな発想に大いに期待しますし、アイデアや活動に対して上下の垣根なく称賛するような文化も醸成していきます。社内アワードといった、褒める仕組み作りはぜひ進めていきたいですね。
最後に、応募を検討されている方へのメッセージをお願いします。
これから何かにチャレンジしたい、何か違うことをしたいと考える方にとって、当社は「ワクワクするような場」になります。これまでの他社での仕事経験を活かし、ぜひ違う視点でクオリカプスを見ていただきたいですね。そして「こんな風に変えてみてはどうか」「こんなことをやってみませんか」という考えを社内で積極的に発信してください。社外から入ってくる、あなたという新しい風が当社にとって大変重要です。
06. 【取材を終えて】
今回の取材を通じて、「クオリカプスを今後どのように進化させていきたいか」という松村様の想いにふれることができました。
クオリカプスの面接に行かれた方々は、「いい会社ですね」「一緒に働きたいです」と、口を揃えておっしゃられるほど魅力的な会社です。中には、大企業の内定を辞退してまでクオリカプスに入社された方もいらっしゃるくらいです。
松村様からのメッセージにもありましたように、「未知なるものに挑戦したい!」「もっといいものを作りたい!」と考えている方に是非エントリーしてほしいです。